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カテゴリ:子供
恵子から「私の実験成果もペーパーに載せてもらえることになった!」とメールがきた。
一時は「もう時間がなくて間に合わない。断念しようと思う。」とすごく落ち込んでいたが、なんとかいい結果になったようで、私まで嬉しい。 一体なんの実験をしていたのか全然わからないのだけど、目に見えない不純物が混じっていただけで失敗してしまうそうで、何度も心が折れそうになっていた。 先日車で恵子のところに行き、分厚い本やファイルをダンボール5箱分ぐらいうちに持ち帰った。 私もこの3年間でたくさんの参考書や税法典、授業で配られた資料が分厚いファイルを山積みにすると1mぐらいの高さになるが、恵子の勉強量はその比ではなかった。 賢浩は鼻の手術経過も良好で、先日抜糸をした。 今日はハイデルベルグ時代の幼馴染のところに遊びに行っている。 手術後2-3日は家でおとなしくしていたが、それ以外はほとんど家にいない。 家にいる時は、スマホでゲームをしているか、ビールを飲んでいるかで、持ってきている学校の宿題も何にもしていない。1ヶ月しかいないのでまだ我慢できるが、一緒に生活していたら、私の血管は切れていたかもしれない。 ドイツでは16歳から飲酒喫煙は合法。でもやっぱり高校生が家で昼間からビールを飲んでいるのはすごく違和感。アメリカでは飲めないので、ドイツで飲めるだけ飲んでいくつもりらしい。 にこちゃんの行動は相変わらず振り切っていて、頭痛の種。 ピアノの練習をしなさいと言うと「あとで」と言われる。「じゃあ、何時から始めるつもり?」と聞くと、「1時間後の14時からする。」と返事をする。14時に「約束の時間だよ。」と声をかけると、しぶしぶピアノの前に座る。そうするとだいたい友達がうちに遊びに来たり、電話がかかってきたりと邪魔が入る。邪魔が入らなくても、練習を真面目にはしてくれない。「何回弾いたらいいのか?」「何分練習すればいいのか?」と必ず聞かれる。にこちゃんの練習している曲なんてすごく短くて1分もかからない。「できるようになるまで」という命令の仕方は彼には曖昧すぎて、「そんなの無理」と喚かれてしまう。「10回練習して」というと「10回なんて多い。5回にして」というし、「30分練習して」というと、「長すぎる、15分にして」とまずは交渉から始まる。それでも「短い曲なのだから10回弾いても10分もかからない」と言うと、適当に10回弾いて「ハイ終わり」とやめてしまう。時間を決めると、今度は1曲弾くごとにレゴのカタログを見たり、おもちゃで遊んだり「休憩」がはいり、時間が来たら「はい、30分たった」と練習をやめてしまう。ピアノに限らず、宿題も似たり寄ったりの状況。 また、バレバレの嘘を平気でつく。キャラクターのカードを集めているのだが「うちの前に新品のカードが束になって落ちていた」「友達が僕の古い(ヨレヨレで破けている)カードと新品を交換してくれた」「このお菓子は友達が買ってくれた」「友達が必要ないからと言って小銭を僕にくれた」「うちの前に5ユーロ札が落ちていた」・・・・ 子供がどこで何をしているのか把握するのは本当に難しい。 賢浩や恵子の行動範囲もにこちゃん以上に把握していないが、恵子のことは100%信用しているし、賢浩も他人の迷惑になることはしていないと思う。しかしにこちゃんについては、どっからクレームが来てもおかしくないような気がする。 今日はドイツ語コースの最終日で、授業のテーマは「生物的に見た男女の違い」だった。 女性は狭く深く付き合いを好み、男性は趣味など共通のテーマをもつ人たちと大勢で集いたがる。女性は危険回避を好み、男性は危険を顧みず自分の目標に突き進む傾向にある。女性は読んだり話たりするのが得意で語学に堪能、男性は立体的に物事を組み立てるのが得意。女性は左右の脳を両方使い物事の全体像を捉えようとするが、男性はどちらか片方の脳を集中的に使い、物事を正確に捉えようとする。男性の方が数学が得意で、方向感覚も優れている。 これらの男女差はY染色体の有無によって生み出されているという研究結果が出ているそうだ。 もちろん個人差があるのだが、にこちゃんが本を読まず、語学が堪能ではないのも、典型的な男の子なんだと思って、私も忍耐強く接しなくては・・と授業を受けながら思った。 授業の最後に先生は「どんな学校時代をすごしたか?」という話を一人ひとりに聞いた。 ルーマニア出身のFさんとクロアチア出身のNさんは小学校2年生から第1外国語としてドイツ語を勉強したと言った。Nさんはドイツに来てまだ2-3年なのになんでこんなにドイツ語が話せるんだろうと思っていたが、だからか、と納得した。Fさんは私と同じぐらいの年だと思うが、ロシア語ではなくドイツ語が学校の必修科目だったと言ったのでびっくりした。彼女のお姉さんはロシア語が必修だったらしいが、Fさんの時代からはドイツ語になったそうだ。チャウセスクの時代だが、共産党であってもロシアとは敵対していたらしい。 Fさんにとって、ドナウ川は他国との国境で、見知らぬ世界との境界線のイメージだそうだ。 学生時代、ドナウ川を泳いで向こう岸に渡ろうとして捕まった同級生がいたそうだ。ドナウの向こうはセルビアで、そこのドイツ大使館に逃げ込んでドイツへの渡航が成功した人もいたそうだが、大抵の人は失敗したとのこと。 ルーマニアもクロアチアも今ではEU加盟国だから、渡航に何の制限もない。 それに引き換え、スイスは隣の国とは言え、EU加盟国ではないので、色々不便だ。 恵子が日本語能力検定試験を受けるためにデュッセルドルフにバスで行ったときに、スイスとドイツの国境で検査のために1時間半も足止めを食らったと言っていた。郵便料金も電話料金も国内、EU圏内とは別料金になる。特に郵便料金は日本と送るのと同じカテゴリーになるのが不思議だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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