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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2018年01月01日
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あけましておめでとうございます。
快晴で清々しい朝。でもまだ家族はみんな寝ている。
一人でコーヒーを飲みながら元旦の朝からネット三昧。

昨日は近所に住むヨハネス君家族と夕飯を食べながらそのまま新年を迎えた。
我が家にはテレビがないので、かわりにラジオをつけた。
12時近くになったのでゼクトを用意した。子供にはノンアルコールのゼクト。
外ではバンバン花火が上がり始め、我が家のデジタル時計も0:00になったので乾杯を始めた。しかしその後ラジオでカウントダウンが始まり、なんだかちょっと間が抜けてしまった。
すぐに外に出て、花火見学。
ものすごい数の花火が新年の夜空を彩っていた。
我が家は今年は買わなかった。
にこちゃんはよく荷物が配送されてくる時にダンボールに詰め込まれている小袋に空気が入っているような緩衝材に自分で「中国製爆竹」みたいなことをマジックで書いて、それを足で踏み潰して破裂音を出していた。やることが可愛いなーと思ったが、あれだけ欲しがっていたから本物を買ってあげても良かったのかな?とも少し思った。

ヨハネス君にはお兄さんが二人いて、16歳と12歳。16歳のお兄ちゃんは大人の仲間にも子供の仲間にも入れず、つまんなかったのか、途中で自分の家に戻って、12時間近に乾杯のためにまたうちに来てくれた。12歳のお兄ちゃんとヨハネス君はニコちゃんの部屋で遊んでいた。
ダイニングには大人4人。
いろいろな話ができて楽しかった。

ヨハネス君のご両親は二人共教師。
だから学校の現場の様子をよく知っていて、ニコちゃんのことを相談してみた。
ニコちゃんの場合、「ADHS児にあてはまる項目が多くみられる」という専門家の見解はあるが「ADHS」と診断されたわけではない。だからコンスタンツにある専門機関できっちり検査をした方がいい、といわれた。しかし今まで何度もテストを受けているのに、更にどんなテストがあるというのだろうか?
専門家のレポートには「3-4ヶ月服用してみることを勧める。」と書かれてあるのだが、3-4ヶ月では依存症にはならず、症状が改善しなければやめればいいだけの話で、取り返しがつかなくなるわけではない。だからとにかく薬を試してみたほうがいい、と言われた。重要なのは服用量でそれは医師とよく話し合い、学校とも連携した方がいいと言われた。

ヨハネス君のママはいろいろな学校で教えているのだが、その一つが特殊学校で、普通の学校の授業についていけない子が通う所。ADHSの子も多く、服用している子が薬を忘れた時はひどい状態になり授業にならない、と言っていた。また、ある子は薬が合わず、それに気づかずに2年間服用したため、成長が止まってしまい、未だに年齢に対しかなり小さいままだと言っていた。

シュタイナー系の学校がもしかしてニコにあっているのではないか?ときいてみた。
二人共否定的だった。シュタイナー系の学校は自分のやりたいことがわかっている子(芸術とかスポーツ方面)や自立している子に向いている学校で、ニコのような子にはきっちりした枠組みのある学校の方がむいていると思うという意見だった。

ヨハネス君のパパは他の町のギムナジウムの教師なのだが、彼の生徒に問題児がいたそうだ。何も勉強しないで、成績はいつも最下位。その生徒は学校に来ない日も多かったそうだ。親には子供を学校に通わせる義務がある。無断欠席が続くと学校側は親に連絡をする。しかし親も家におらず連絡がつかない。そういう場合は、児童相談所と警察に報告し、警官が生徒の家まで行って学校まで連れてくることになるそうだ。その子の親には2度も罰金刑が言い渡されたが、状況は改善されなかったそうだ。一度その子にIQテストを受けさせたら、とてつもなくIQが高いことが判明。でも本人にやる気がなく、親も放任なので、ギムナジウムで5年生を1度留年、さらに9年生でも留年。同じ学年を3回繰り返すことはできない。また出席も不足しており、とうとう規則によりギムナジウムに在籍できなくなった。先生方はその生徒に「せめてHauptschuleの卒業資格はとっておきなさい」とアドバイスし、その子は人生で初めて試験勉強をしたそうだ。無事Hauptschuleの卒業資格を取り、Realschuleに移り9年生からやり直し。10年生に進級し、Realschuleの卒業試験にも合格。その後カレッジと呼ばれるギムナジウムに進んだそうだ。普通よりも3年遅れてしまったわけだが、今はきちんと学校に通っているとのこと。ヨハネス君のパパは「後からやり直しが効くのがドイツの学校制度の素晴らしい点だ。」と強調した。
ニコの場合もギムナジウムにこだわる必要はない、地元のRealschuleにもバイリンガルコースがあるから、そこで実力が発揮できるようにしてあげればいい、Realschuleのあとにギムナジウムに行ってAbiturを受けることもできる。道はいくらでもある、と言ってくれた。

ヨハネス君のパパの学校には他にも問題児がいて、この生徒のラテン語の成績は「6」で進級できないことが決まったので、本人はRealschuleに転校したいといい出した。Realschuleにはラテン語の授業はない。だからギムナジウムでのラテン語の成績は進級に必要ないので、ギムナジウムではラテン語が「6」では留年だが、Realschuleに転校すれば進級できるという仕組みだそうだ。逆にいえば、ギムナジウムでドイツ語や数学が「6」だった場合は、Realschuleでも進級はできず、転校したとしても同じ学年をやり直すことになる。

ヨハネス君のパパの学校の生徒で、恵子と同じ州立ギムナジウムに転校した生徒が、半年で戻ってきたそうだ。州立ギムナジウムの子はそれなりのレベルの子ばかりなので、プレッシャーが半端ではなかったそうで、精神的にやんだらしい。実は恵子の同級生にも精神が起因する病気で長期療養や転校した子は何人かいたので、珍しい話ではないと思う。

ギムナジウムでは同じ学年はもう一度勉強し直すチャンスがあるが、2年連続で留年することはできない。トータルで2回までの留年は認められる。留年は11年生でもできるそうだ。12年生でAbiturを受けるわけだが、Abiturの成績が悪かったからと言ってもう一度12年生をやり直すことはできないが、Abiturを受けられなかった場合は、12年生をもう一度繰り返すことができるそうだ。だから体調が悪いとか、勉強不足と感じる子は、たまにわざとAbiturを受けないで、翌年受ける子もいるらしい。そんな話、知らなかった。

Hauptschuleでは卒業試験は4.5以上(6段階評価。1が最高)で合格だそうだ。だからよほど勉強しない子以外は合格するのがそれほど難しいわけではなさそうだ。
ドイツの大学は4以上で試験に通るそうだ。
スイスでは6段階評価だが6が最高。恵子の大学は4以上で合格。ドイツ式に直せば3以上でないと不合格。3.01で試験を落としてしまう。講義レベルも高いが、評価も厳しい。毎日大学のことで忙しそうにしている恵子を見ていると、もっと楽な道を選べばよかったんじゃないかな、と時々思う。

恵子は必要以上にあれもこれも勉強しようとする、賢浩は必要なことだけ勉強する、ニコちゃんは必要なことさえ勉強しない。3人3様だが、それぞれにあった道を見つけて欲しい。





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最終更新日  2018年01月02日 04時52分28秒
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