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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2018年05月05日
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カテゴリ:子供
担任との話し合いがあった。
1回目はこちらからお願いして機会を作ってもらったが、今回は担任から話し合いをしたいと要請があった。

ギムナジウムでは担任が二人いる。小学校と違い教科ごとに先生が代わるので、担任といえでも毎日顔を合わすわけではない。だからニコちゃんが学校でどのように過ごしているのかというのは、結局は自分の受け持っている授業中の話に限定されてしまう。
A先生はドイツ語とスポーツを受け持っているベテラン女性教師。B先生は英語を受け持ってる若手の男性教師。
まず、薬をのむようになってなにか変わったか、という話になった。私は「変化は見られない」と答えた。夫は「少しは穏やかになったように思う」と言った。A先生は「少しは落ち着き始めたように思う」と言い、B先生は「何の変化もない」と言った。そもそも飲んでいる量が少量すぎるし、最近再び飲み始めたばかりで、妥当な感想だと思う。

A先生は「ニコは最前列に座っています。みんなに向けて話した後、もう一度ニコに個人的に説明しないと理解しません。例えば、数あるプロジェクトの中から自分が好きなものを3つ選ぶという課題を2週間前に与えました。他の生徒はすぐに3つ選んで提出しましたが、ニコからのリアクションがなかったので、「プロジェクトを選んで提出して」と話しました。すると1つだけ選んで提出しました。「3つだよ」と更に追加で指示を与えないと3つ選んで提出することができないのです。」と言った。「とにかく彼は書くことがすごく苦手で、罫線に沿って書く、枠の中に書く、ということができません。また問題が1から10まであっても、3番や4番を飛ばしてしまうことがよくあります。わざとすっとばしているのではなく、単純に彼の眼中に入っていないのです。空間認識力が弱いのだと思います。」と言った。私は心の中で大きく頷いてしまった。

ニコちゃんは4年間ピアノを習っているのに、いまだに音符が読めない。ト音記号の最初が「G」の音ということはわかっているので、いつもGを起点に音符がどこの位置にあるかを数えている。なんでパッと見てわからないんだろう?とすごく不思議。これも空間認識力のなさがなせる技なんだろう。

ニコちゃんは現在学校のカウンセラーと隔週1回の割合で面談をしている。カウンセラーは「授業中一人でする作業の時はニコは気が散らないようにヘッドホン(工事現場で使うようなもの)をしたほうがいい。」と提案したそうだ。校長は「一人のためにヘッドホンを買うお金はない。」と答えたそうだ。夫は「指定していただければ私達で買います」と申し出たが、既にカウンセラーが自分で用意するという話でまとまっているそうだ。先生は「クラスでもきちんとニコの状況を説明するつもりです。そうでないと一人だけヘッドホンをしているとどうしても冷やかしたりからかったりする子供が出てきますから」と配慮をすることも話してくれた。

椅子の話になった。それで先日ニコちゃんが車の中で言ったことを話した。先生は「学校ではいつも同じ教室で授業を受けているわけではないので、教室を移動するごとにニコ用の椅子を持ち歩くのは現状では難しいし、ニコのために特別な椅子を購入することも難しい。しかし私たちもどうすればニコが集中できる環境になるかを考えてはいます。」と言った。

また「ニコには常に授業中ニコのそばにいる人が必要だと思います。体に障害がある場合、そういう人がつくことはあるんですが、ADSで補助員がつくということは今までに経験がないです。要望を出すためには保護者に用紙に記入して貰う必要があります。補助員を望むのであれば記入用紙を送りますので、書き込んでください。」と言われた。もちろんそういう制度があれば是非お願いしたいと伝えた。

私は「ニコにはギムナジウムは難しすぎるので学校をかわったほうがいい」という話をされるのかと思っていた。しかし先生たちからは全面的に支援するという姿勢が感じられ、一人の問題児のためにここまでしてくれることを本当にありがたく思った。

夫が「ニコは今、MinecraftというPCのゲームにはまっています。それだと集中して計画的に物事をすすめることができます。」という話をした。B先生は「子供がPCゲームに夢中になるのは、達成すればボーナスが貰えるような仕組みになっているからです。しかし実際の社会では3分ごとに課題をクリアして次のステージに移ったりボーナスが貰えたりはしません。」と言った。
A先生は「ニコがどんなに頑張っても、残念ながらギムナジウムでは褒美がもらえるレベルではないんです。」と言った。B先生は「A先生は、レベルを下げた学校にいけば、そこそこできると考えているのですか?僕はそうは思いません。ニコはバカではないのです。でも集中力のせいでいろいろなことが難しいのです。だから支援が不可欠です。」と言った。その言葉にA先生も同意していた。

私は「宿題や学校の勉強を見てあげることはほとんどしていません。本人が宿題をしたといえば、それ以上は追及しません。」と伝えた。先生は「どうか家でも宿題を見てあげてください。」と言った。私は「宿題を見ると、あまりにもノートが汚いので、どうしてもちゃんとさせたくなってしまう、そうすると何故やり直さないといけないのかとわめきちらして手のつけようがなくなるのでできません。」と答えた。先生は「全部とは言わず、毎日一つだけでもきちんと見てあげることはできませんか?」言った。

夫は「僕は家では妻が厳しい分、子供には逃げ道になるような存在であろうと思っています。」と切り出した。私はこの説明を聞く度にうんざりする。すごくずるい言い訳にしか聞こえない。
「これは実は子どもの問題ではなく、僕たち夫婦の問題なんです。ニコはとばっちりを受けているだけなんです。」と月曜日のカウンセリングに影響されたのか、話が脱線し始めた。「母親は子供の面倒をみるより自分の部屋にこもって動画を見ているんです。」「母親の注意の声のトーンが怒鳴り口調だから反発したくなる気持ちもわかります。」「僕は平日は殆ど家にいませんがニコと母親の関係は悪くどうやって過ごしているのか心配しています。」「僕が家につくとすぐに母親から子供の愚痴を聞かされます。疲れて帰ってきてそんな話は聞きたくないです。なんで子供の良い点を話さないんだろうと不思議です。」というような内容で、穴があったら入りたいぐらいだった。この人と一緒にいるのは難しいと感じた。先生もこんな話をされても困るだろうと思った。先生は「教育方針が一致していない夫婦は案外多いのですよ。」と大人の対応をしてくれた。前々から空気を読めない人だとは思っていたが、これほどまでとは思わなかった。ADSは遺伝によるケースが多いと聞いたことがあるが、元凶はここにあったんだと腑に落ちた。





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最終更新日  2018年05月06日 15時03分56秒
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