ドイツでマルチリンガルを育てる

心療専門医から渡された質問表を記入しているのだが、質問が膨大だし細かすぎて面倒くさくなってきてしまった。例えば行動面では「親指のおしゃぶり」「爪を噛む」「夜尿症」「夢遊病」「白昼夢」「嘘をつく」「嫉妬」「どもり」「不眠症」「赤面」「摂食障害」から「自殺願望」「万引き」「放火」「喫煙」「飲酒」「ドラッグ」まで５０項目ぐらいあって、該当する場合は何歳から何歳までその行動が見られたかを記入する。宿題には平均何分掛かるか、誰が宿題の面倒を見ているのか、幼稚園、学校での様子、好きな科目、苦手な科目、将来の夢、何して遊ぶのが好きか？誰と遊ぶのが好きか？どこで遊ぶのが好きか？遊ぶ時の様子はどうか？何歳で寝返り/おすわり/歩けるようになったか、何歳から自分のベットでねられるようになったか、育てやすかったか、育児に関してどう感じていたか、夫婦間で争うことはあるか？あるとしたらどういう内容か？テストでいい点をとってきた時どんな褒美をあげるか？悪い点の時はどんな罰を与えるか？どんな罰が一番子供自身に堪えるか、両親の所得、家の大きさ、部屋数、住んでいる町の規模・・・こんな質問が２２ページに渡って細かく書かれている。

昨日は医者の指示に従い薬を２錠飲ませた。
昼食時に友だちから電話があり、プールにいこうと誘われた。
ニコちゃんは「すぐに迎えに行くよ」と答えた。
「なんで３０分後とか言わないの？お昼を全部食べてから行きなさい」と言うと、「時間がない」とパニック。
次に「水着がない」とパニック。前日も別の友だちとプールに行ったので、自分で干していたはず。
日焼け止めを塗りなさい、自転車の鍵は持ったの？自転車に乗る時はヘルメットをかぶりなさい。と指示した。自転車に乗る時は子供はヘルメットをかぶらないといけない規則なのだが、ニコちゃんはしょっちゅう忘れる。しかし「早く友達を迎えに行かなくてはいけない」と焦っているので、私の指示で余計パニックになってしまう。そもそもプールに行く途中に友達の家があるわけではないのだから、現地集合にすればいいのに、ニコちゃんはいつも「僕が迎えに行く」と相手に言う。友達も家で待っているのだし、何分に行くと約束しているわけではないので、５分遅れたところで問題はないと思うのだが、友だちから電話があるといつもパニックになってしまう。薬を２錠飲んでも何の変化もみられなかった。

朝学校にいくときもそう。「朝ごはんを食べてから行きなさい」「歯を磨きなさい」「早く着替えなさい」「今日はスポーツがあるよ。」「鍵を持った？」「今日は先生にXXを渡してね」などと声を掛けると、パニックになってしまう。短時間にたくさん指示されると頭の回路がショートしてしまうようだ。

金曜日に恵子が戻ってきた。
「ニコちゃんの面倒を見てあげてね」と頼むと「わかった」と言われた。「えー、嫌だよって拒否されるかと思ってた・・」と言うと「嫌だけどしょうがないでしょ」と言われた。
１週間前に恵子と賢浩とスカイプをした時もニコちゃんのことが話題の中心だった。二人共すごくニコちゃんのことを心配していた。二人共優しいお兄さんお姉さんだなーと思った。

アメリカにいる間、恵子は賢浩の化学のテスト勉強をみてあげたそうだ。その結果、前回７点（Note３に該当）だったのが１３点（Note１に該当）にジャンプアップ。現在賢浩は数学ではクラスでトップの成績で、学校の紹介で数学の家庭教師のバイトもしているらしい。結構いいバイト料をもらっているそうだ。あの怠け者だった賢浩がここまでになるとは想像しなかった。
アメリカに行ったのは大正解だった。義姉の賢浩に対する特別待遇ぶりは度を超えている。
しかし義姉夫婦はニコちゃんの面倒は見たくないとはっきり言っている。
義姉は「ニコには軍隊のような厳しい規律のところで生活させたほうがいい。そうでないと彼の生活態度は治らない」といって、イギリスにある元軍人が教えているという学校に通わせることを強く勧めてくる。

私は「戸塚ヨットスクール」のことを思い出した。あの学校は体罰等で問題になったように記憶しているが、今の私のような立場におかれた親が藁をも掴む気持ちで子供を託したのではないかと想像する。当時は「なんでこんな学校に子供をいれてしまうのだろう？無責任な親だ。」と思っていたが、今なら理解できる。子供の長所を伸ばしてあげるのは難しいなーとつくづく思う。