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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2018年08月05日
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カテゴリ:子供
学校の夏休みが始まり、朝ニコちゃんを起こして学校に送り出すことをしなくてもいいので、私は7時ー16時勤務に切り替えている。先週は児童心療科の予約が2回も入っていたので、早退せざるを得ず、その日は6時半出勤。朝早く出勤すると道路は空いているし、駐車する場所を見つけやすいし、そして何よりも涼しいので快適。
去年私達の事務所には各部屋にクーラーが取り付けられたのだが、6月から新しく入ってきた同室の人が極度のクーラー嫌い。つけるとすぐに「ごめんなさい。私無理なんです。」と言ってスイッチを切ってしまう。朝早く出勤するのはなるべく彼女と仕事時間が重ならないようにする自衛策でもある。もうひとりの同室のNさんも朝6時に出勤して3時~4時ごろに帰っている。

先週の月曜日、学校庁に電話をした。
担当の人に「ギムナジウムから転校をするように勧められているが、近くの学校にはどこも6年生の空きがない。どうしたらいいか?」と相談した。担当者は「A市(私の住んでいる町)の子供はA市の学校に通うのが原則です。空きがないのはおかしい。コンピューターで見る限りでは空きがある。」と言った。

「B市(私の職場のある町)の統合学校B校が息子にあっている気がしています。B校なら空きがあると言われました。」と言うと、「A市の子供がB市の学校に通うのはおかしいです。もちろん交通費の補助は出しません。A市の子供はA市の学区域の学校に行ってください。」と原則論が返ってきた。
「A市の学区域の学校には全部電話をしたり実際に学校を訪れて実際に空きがないと言って断られました。」と伝えると、「では私から学校に電話をします。どの学校に子供を入れたいのですか?」と聞かれた。「ギムナジウムの担任からは隣町の統合学校を勧められています。」と答えた。学校庁の担当者は「お子さんは自主的に勉強ができますか?」と質問したので「できません」と返事をすると、「そもそも集中力がなくて学校をかわったほうがいいと言われているのですよね?それなら統合学校を勧めません。統合学校は自発的に勉強ができる子が行く学校です。お宅のお子さんにはRealschuleのほうがあっています。」とアドバイスされた。結局その場では私は9月からの学校を決めることができず、改めて連絡すると言って電話を切った。

その日に担当者にメールを送ったが返事はない。もう夏休みに入ってしまったようだ。

木曜日に児童心療科にニコチャンを連れて行ってきた。今まで4回ニコちゃんはそこでテストを行い、その日は結果を聞く日だった。

児童心療科医は「彼は典型的なADSです。彼の知能には何の問題もありません。」と言ってテスト結果のグラフを見せてくれた。5項目あり、WLDという項目が平均よりも優れており、Arbeitstempo(学習(処理)速度)が明らかに平均よりも下だった。他の項目はすべて平均値内だった。
WLDとは「Wahrnehmung ,logisches Denken」(視覚、論理的思考)のことらしい。
論理的思考が平均より発達しているというのは信じがたい結果だった。

児童心療科医から言われたことを羅列すると

「頭はいいが、問題を解くのに時間がかかりすぎる。ギムナジウムの授業速度についていけないので、ギムナジウムから転校すべきだ。」
「セラピーに通わせるのは意味がない。彼は人の話など聞かないから。」
「ここでのテストでは書き取りにはほぼ間違いが見られなかった。見ず知らずの人間が相手だったからだ。見ず知らずの人間の言うことは聞けるが、家族や慣れ親しんた人の話は聞き流しているだけ。」
「いわゆる読み書き障害、計算障害の心配はまったくない。」
「彼に必要なのは「Management」」
「彼をManegementできるのは薬だけ」
「薬が合わないのであれば、別の薬を試す、投与量を調節する、など投薬自体を放棄してはいけない。」
「テストに自分で親のサインを真似て書く、親のサインをコピーして貼り付ける、ということは私もしたことがある。それほど目くじらを立てることではない。」

この児童心療科医自身、昔はAD(H)S児だったと人づてに聞いたことがある。それが今では診療所を構えて人気の心療医になっている。そこまでのサクセスストーリーでなくてもいいので、ニコちゃんも将来ちゃんとした職業につてほしいと切に願っている。

児童心療科医は「彼にはRealschuleの5年生から始めることを勧める。服用をはじめて、9月から心機一転一からやり直せばいい。」といった。私もそう思っている。校長に5年生からなら受け入れられるとも言われた。
しかし夫は「ニコはギムナジウムに残りたい、6年生になりたいと言っている。そしてそれが許されている状態にある。なぜ転校させないといけないのか?転校や留年はそうせざるをえない結果になった時に考えればいい。」とこの後に及んでも言い張る。「一度Realschuleに転校したら、卒業後にAbiを受ける確率は低い。だからGymnasiumに残るべきだ。知能的に問題ないなら尚更そうすべきだ。」という考えなのだ。夫の親族はみな高学歴で博士号を持っている人もたくさんいる。だから「最低でも大卒」という概念にとらわれている。
私も今どき大学に行かないなんて・・・と思っていた時期もあった。しかし私の今の職業は「高卒」資格で十分で、職場に大卒の人はほとんどいない。そして職場の同僚のお子さんたちはほぼみなRealschuleに通っている。そういう中にいるとむしろ大学に行くほうが少数派になる。まずは夫の意識改革から始めなくてはいつまでたっても学校が決まらない。

そして最大の難問はニコちゃんを説得すること。
薬をのむことの必要性は彼は理解してきている。
そしてギムナジウムに残ることの難しさも理解はしていると思う。
しかし「ギムナジウム 6年生に進級」という成績表をもらってきているという事実もある。
いっそのこと「5年生に留年」と書いてあればよかったと思う。
Realschuleへの転校はある程度やむ無し、と本人は思っていても、Realschuleで5年生からやり直し、というのはプライドが許さないようだ。「みんなから、Realschuleかよー!5年生かよー!とからかわれる」と言って、私や児童心療科医の提案を拒否している。ギムナジウムのクラスメートにそう言われてしまうことはある程度予想できる。しかしそれは一時的なこと。2-3ヶ月経てば、誰もそんなこと言わなくなる。ただ5年生に留年させることがいい結果を出すかどうかはわからないところに私のジレンマもある。





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最終更新日  2018年08月05日 20時37分14秒
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