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カテゴリ:子供
にこちゃんの学校では毎日宿題やテストや授業変更などの情報が更新され保護者はネットで確認することができる。ログインするたびに「数学の宿題を忘れた」とか「スポーツで室内シューズを忘れた」などの本人の口からは決してきくことのできない情報を知ることができるので、本当にありがたいシステムだと思っている。ギムナジウムにも同じシステムがあったら「宿題を10回忘れたので居残りを命じます」などという手紙を何度ももらわなくても済んだのになーと思う。しかもその手紙も事前にみせられたことはなく、本棚の奥のほうに丸めて放置してあるのを私が見つけてだいぶ後になって知ったというオチ。学校から保護者あての手紙を子供に渡しても子供が握りつぶしてしまったら意味がない。そういう心配がなくなっただけでもRealschuleに転校させて良かったと思う。
明後日初めての英単語テストがある。普通に勉強すれば「1」は取れるはず。それで一緒に勉強をしようともちかけたがもちろん宿題でもないのに自主的に勉強するはずがない。癇癪を起すのを防ぐために薬を飲ませ、勉強すれば1ユーロ払う、というバカみたいな条件も出した。しかし途中から「気分が悪い」といって自分の部屋に閉じこもってしまった。しかし友達が遊びに来たら、そのまま遊びに行ってしまった。それが土曜日の話。 今日も薬を飲ませようとした。にこちゃんは飲んだふりをして薬を隠した。毎朝学校に行く前に薬を飲ませていたのだが、実は飲むふりをしているだけで実際は飲んでいなかったのだろう。土曜日も本当は飲んでいなかったのだろう。 先週末賢浩が大学町に引っ越していった。自転車とリュックを携え一人で電車で行った。明日から大学の寮に入れるので今週末は夫が荷物を車に積んで賢浩が泊っているホテルに合流した。 賢浩が夫に送ったボイスメッセージが夫から転送されていきた。そして「賢浩はギムナジウム時代に勉強しなったことを後悔している。ニコに自分のようになりたくなかったら今からちゃんと勉強しろと伝えてほしいと言っていた。」とメールがきた。 賢浩のボイスメッセージを聞いた。 「初日はなんとか講義について行けたし、問題の90パーセントはあっていたし、楽しかった。でも翌日は講義の内容もほとんど理解できなかったし、その後のワーキンググループで出された課題も難しかった。教授が「半分以上できた人はいますか?」と聞いたとき、ほとんどの学生は挙手をした。しかし俺はその時点で6問中1問しか解けていなかった。講義についていける気がしない」と半ば涙声になっていた。大学が始まって2日目でこんな洗礼を受けるなんて、びっくりした。恵子に話したら「よくある話。自分のできなさに気づかされて愕然とする人が多いけど、しばらくしたら回りの学生も実は自分とたいしてかわらないとわかると思うよ。心配しなくても大丈夫だけど、かなり落ち込んでいるみたいだから電話しておくよ。」と言ってくれた。 私も賢浩に電話をして「にこちゃんが薬を飲まない」「テスト勉強もしない」ことを告げ、にこちゃんへのメッセージは賢浩から伝えてほしいとお願いした。 賢浩は「ニコ、英単語テストなんで勉強すれば1は手堅くとれるはずだ。ちゃんとママと勉強しろ。俺はギムナジウムの12年生で、数学も物理もクラスで一番だった。自信があったけど、大学に来たら全然知識が足りなくて、もっと勉強しておけばよかったと後悔しているんだよ。今朝も起きてからすぐに勉強したよ。後悔したくなければ今から勉強する習慣をつけるんだよ。そして薬もきちんと飲め。それが自分のためになることなんだよ。」と諭した。しかしにこちゃんは適当に相槌してまともに聞いていなかった。 賢浩はアメリカから帰ってきてからの約3か月間、ほぼ毎日のように友達と飲み歩き、パーティー三昧の日々を過ごしていた。こんなことならもっと勉強しておけばよかったと思っているのだろう。しかしそういう状況におかれて初めてそう思えるわけで、にこちゃんに今の賢浩の気持ちを理解するのは難しい。 にこちゃんの意識を改革するのは至難の業。とりあえず、宿題をこれ以上忘れさせない、テスト勉強をしっかりさせる、というのが私に課されたミッションで、それを遂行するために「私にできること」を考えたほうが手っ取り早いと思う。そのためにはやはり薬の力が必要。医者の指示にしたがうと1錠を一日3回飲ませることになっているが、飲んでいないのに飲んでいるとずっとうそをつかれていて、結局は1錠も飲んでいない状態が続いている。医者には報告しているが、何のフィードバックもなし。電話もつながらない。仕方がないので、明日から量を減らしてみようかと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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