|
カテゴリ:カテゴリ未分類
少し厚めのその紙の隅をそっとめくり、切り目にそってはがしていく。
カレンダーをめくる朝がきた。 江利はこの時間が、とても好きだった。 紙を破らないように注意するのにはわけがある。小学校三年生になる長男の良太が、この カレンダーをとても気に入っているのだった。表に描かれている白くまやアシカのイラストも 可愛いが、裏には切り取ると封筒になるように工夫もされている。 ゆっくりはがしていくと、新しい月が現れた。 八月の始まり。 江利は八月のカレンダーをじっと見る。 ライオンの親子やフラミンゴが笑っている。良太がまた喜びそうだと思い、嬉しくなる。 八月の最初の日の空は、青く澄み渡っていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|