121837 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

片桐早希 おむすびころりん

片桐早希 おむすびころりん

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

片桐早希

片桐早希

Calendar

Comments

総徳@ あんれ~? もう1ヶ月! なんだ、なんだ? ど…

Favorite Blog

Vフォー・ヴェンデッ… New! ジャスティン・ヒーハーフーさん

本を読もう!!VIV… viva-bookさん
FLOWER GARDEN 2 小山千鶴さん
2009.08.02
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 江利はいつも午前五時には目覚める。

 夢もみず熟睡するので、目覚めの気分はとても良い。子どもの頃からずっとそうだ。高校生

の時、級友に一度も夢をみたことがないと言ったら、驚かれてしまったことがある。

 庭師をしている平中良と結婚して、良の横で眠るようになってから、ますます眠りが深く

なったような気がする、と江利は思う。


 起きたらすぐに朝食の用意にかかる。そして、同時に今日一日の食事の献立を考え、できる

下ごしらえを手早くする。

 毎朝のこの時間が、江利にとって幸せなひと時の一つだ。

 近所からもらったもぎたてのトマト、茄子、かぼちゃなどがある。江利の頭の中に、様々な

献立が浮かぶ。


 江利は子どもの頃から、料理が得意だった。

 幼くして両親を亡くした江利は、叔父夫婦に育てられた。叔父夫婦は自営業だったので毎日

忙しくしていた。江利はそんな叔父夫婦のために家事をがんばり、そのことで叔父夫婦に喜ば

れることが何よりも嬉しかった。



 テレビなどで料理研究家という人たちを見ると、その仕事に憧れた。

 高校を卒業して食品関係の会社に就職したが、良と結婚して良の仕事を手伝うために、退職

した。

 江利はそのことを良に告げた時のことをよく思い出す。


 良は江利をまっすぐ見つめ、自分の夢を諦めることはない、江利が料理の勉強を本格的に

したかったら、したらよい。お金は俺が何とかする、と言った。

 あの頃、二人とも本当に貧しかった。良は庭師として働き始めた時だった。

 江利はその時思ったのだ。自分が料理の勉強をしたいと言えば、良はどんなことをしてでも

応援してくれるだろうと。


 あの日からもう十年たったのだ。


 よくがんばったよね、と江利は自分を誉め、そして一人でくすくすと笑う。

 その時、おはよう、と声がして、良が起きてくる。

 五時半だ、と江利は思う。


 良は毎日五時半に目覚めるのだった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.08.02 20:12:16
コメント(2) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X