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江利より三才年上の良も早起きだ。毎日五時半には起きる。
結婚してから今日まで、江利は一度も良を起こしたことがない。良は目覚まし時計なしで、 自分で決めた時間に起きることができる特技がある。 江利は感心し、何故そんなことができるのかと聞くと、良はへへへ、と照れ笑いをし、 まあ、誰にも一つはとりえがあるさ、と言った。その時の良の笑顔を、江利はとても可愛らし く思い、何度でも見たいと思ったのだった。 良は笑顔は可愛いが、普段は口数が少なく、おはようとかただいまとかの挨拶以外は ほとんど、おお、という返事だけですます。見かけが一昔前のお侍のような風貌なので、初対 面の人には怖がられることが多い。 良は朝ごはんをしっかり食べると、行ってきます、と言い玄関にむかった。そして、靴を はきながら、 「紀子さんに、近いうちに伺いたいと電話をしておいて。」 と言った。 江利は、うん、分かった、と答え、久しぶりにまた紀子に会えることを嬉しく思った。 紀子の家に行くときは、またお弁当を持って行こう。 良に庭の剪定を三年前から定期的に頼んでいる紀子は、江利の手作り弁当を大喜びして食べ る江利の年の離れた友人でもあった。 さあ、今日もがんばるぞ、と江利が思ったとたん、奥の部屋から大きな声がした。 「おかあさ~ん、良平がおねしょしているよ~。早く来て。」 長男の良太の声だった。江利が急いで子どもたちのところへ行くと、まもなく二才になる次 男の良平が、にこにこ笑っていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.08.03 19:57:23
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