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テーマ:海外生活(7772)
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今朝、道を歩いていたら、知らないおじさんに挨拶をされた。
田舎なのでこういうことはよくある。 こちらも当然挨拶を返すわけなんだけど、今日のおじさんは挨拶をしながら立ち止まった。 何か言いたそうな顔。 なんだろう? 道を聞くってわけでもなさそうだし・・・まさか宗教の勧誘なんてことはないよなぁ・・・と不思議に思っていると、おじさんが口を開いた。 「ご主人の具合はどう?」 夫の具合???? すこぶる良いけど。 大体、うちの夫はこの町では全然知られていなくて、知り合いなんて私も知ってるごくごく近所の人と、それから夫の若い頃のサッカーのチームメイトだったという私の知らない(もしくは、1度見たきりで覚えていない)人たちが何人かいるけど、こんなおじさんじゃない・・・。 おじさん、私を誰かと勘違いしてる? それともまさか、やっぱり変な宗教 「いいですよ」 と答えると、おじさん、 「また倒れたって聞いたもので・・・」 あ、やっぱり誰かと勘違いしたんだ。 勘違いだと言う旨伝える。 それにしても、一体誰と間違えたんだろう? この辺に私みたいなアジア人っていないし・・・。 「え? 君、家具職人の家の息子さんの奥さんじゃないの?」 ・・・なるほど。 うちの隣のおじさんは家具職人で、その息子は3年前に倒れている。公立の病院には見放され、親は何千万という大金を払ってプライベートの病院で治療をさせた。今はほぼ普通の生活が出来るけど、いまだに左半身は完全には上手く使えない。 その彼の奥さんが、小さい頃イタリア人夫婦の養女となったペルー出身の人。 私はペルー人じゃないっての 2週間くらい前、隣の家に救急車が来たの。 何かと驚いて外を見ると、隣の家のおばさんは庭に出て電話でなにやら支持をしている。 親の仕事を手伝っている上で書いた具合の悪かった息子は門を開けながら、救護員と話をしている。 隣の家のおじさんは開いたドアから見える事務所内で、横たわった人の側についていた。 何事かと聞く暇もなかったけど、とりあえず、隣の人たちが無事で安心。 倒れてたのって、誰? お客さん?? 野次馬は好きじゃないので、私は家の中に引きこもった。 すぐにヘリコプターの音がした。 隣の息子が、「家の裏に降りられないか?」と救護員と話しているのが聞こえた。 そのうちヘリコプターは遠ざかり、どうやら500mほど先のチェントロのサッカーコートに降り立ったらしい。 うちの辺にヘリコプターが降りられるような場所はないから。チェントロ付近で何かがあると、ヘリコプターはいつもそこに降り立つ。 緑十字の救護員たちが救急車でヘリコプターのプロの救護員を迎えに行く。 ちなみにイタリアの救急車は日本みたいに消防署からは出ません。消防署は別物で、Vigili del fuocoと言うの。 Vigili del fuocoは「消防隊」。なので、日本語の消防署にあたるのは、「caserma dei vigili del fuoco」なんだけど、この辺の人たちは皆、普通、Vigili del fuocoと呼ぶ。 この消防署、一体何処にあるのか私は知らないとこの間兄にメールで話したところ、「彼らはいったい何処から来るんだ? 火事になったらどうするんだ?」と言われた。 火事ねぇ・・・。私、イタリアで家や建物が火事になってるのって見たことないんだよねぇ。 今まで見たことのある火事って、山火事だけ。 Vigili del fuocoはそういう山奥に車で入って行けるよう、ジープのようなオフロード車で出撃。 普段巡回しているVigili del fuocoの赤い車も、いつもオフロード車。 救急車は、各町にある(であろう)Croce verde(緑十字)やCroce Rossa(赤十字)などから出るんだけど、彼らは皆、ボランティアの人たち。 仕事の後や、定年退職した後、余った時間を利用して参加するボランティアなの。 当然彼らは、救護のコースを受けて試験にも通らないといけない。各緑十字などには医師の免許を持った必ず一人はいないといけない、などの決まりはあるけど、必ずしも救急車になんにでも対処できる救護員が乗っているわけではない。 そういうときは、病院からヘリコプターで救護員がやって来る。 じきに到着したヘリコプターの救護員たち、登山をするような大きなリュックを背負っていて、事務所でなにやら始めた。 やがて、意識が回復して、結局病人は救急車で病院まで運ばれた。 隣の人たちと話をする間もないまま、私は子供を幼稚園へと迎えに行った。 その帰り道、ヘリコプターが降り立ったサッカーコート付近で、「この町のスポニチ」と呼ばれているスポーツ新聞や週刊誌が好きそうな話題が好きなおばさんに出会ってしまった。 開口一番、「家具職人のところで何があったの? 誰が倒れたの?」と訊ねられる。 うっわー。家具職人の家で何かあったんだって、もう知ってるんだー。と関心。 「当たり前よ。サッカーコート周辺は人の山だったのよ」 うっわー。何もしないうわさ好きの野次馬って、うっざー。 「それでね、救急車に家具職人の家の奥さんが乗ってたでしょ? だから、家具職人の家に何かあったのは分かってるの」 って言われても、私だって誰が倒れたかなんて知りませんから。とりあえず、あの家の家族は皆無事だったみたいだけど、お客さんか、それか、たまに手伝いに来ているおじさんかもしれないですね、と答える。 「あなた、隣に住んでるんでしょ? 何も見なかったの?」 見ませんでしたね。ちょうど、救急車が来たとき、私、友達の家に行くところで、隣の家の人たちが全員無事なのが確認できたからそのまま出かけちゃいましたし・・・と答えておく。 確かの子供を幼稚園に迎えに行く前、友達の家に用があって寄ったし。 午後になって、隣のおばさんに話を聞くと、たまに手伝いに来るおじさんが、仕事の話をしに来て話していたら急に倒れて救急車を呼んだんだそう。 それが、2週間前のこと。 知らない人の間では、隣の息子が倒れたということになっているんだろうか? 2週間くらい前に救急車が来たとき倒れたのは彼だと思っているのか? と話しかけてきたおじさんに訊ねると、そうじゃないのか? という返事。 隣の息子は元気で、あのとき倒れたのは、たまに手伝いに来ているおじさんだという旨告げる。 「ああ、じゃあ、とにかく君は彼の奥さんじゃないんだ? 似てるから、そうかなと思って・・・」 いえ、全然似てません! 彼女、肌の色がもっと濃いし、ペルー人と日本人じゃ、違うでしょ? 「いやいや、自分たちから見ると似てるよ。ペルーと日本・・・同じアジアだからねぇ」 同じじゃないってば、おじさん。ペルーはアジアじゃないんだよ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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