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テーマ:ヘヴィメタルを語る(673)
カテゴリ:オンガク
14時40分ちょうど、Inis Monaのテーマが流れ、メンバーたちがステージ上に登場した。
ここですぐにバグパイプ・笛奏者がいないことが分かった。 Noooooooooooooooooooooooooooo!!!!! 「Inis Mona」の最初のバグパイプのパート(以下も)、SEで流れてるだけだぁぁぁ!!!! メンバーがひとり足りないにも関わらず、Eluveitieはそれをものともせず、ライヴを進める。 1曲目の「Inis Mona」は、2ndアルバム『Slania』からの最初のシングル。印象的なアイリッシュトラッドのメロディを用いたもの。 同じ舟歌でもTyrが用いるフェロー諸島の土臭い舟歌とは一味違う。Eluveitieが使ってるのはケルト音楽だからね。 Eluveitieの音楽には民俗音楽要素が限りなく自然に溶け込んでいる。と言うのも、演奏するメンバーが、特に曲を書くメンバーが民俗音楽のミュージシャンでもあるため、現存する民俗音楽をアレンジしたり、自分たちで民俗音楽を書くことが自在にできるから。 Eluveitieの魅力は、主旋律がしっかりと印象に残る民俗音楽のメロディであること、それらが伝統楽器によって演奏されていること、それから、ベースになっているメタルの部分がそういった旋律にとても合うメロディックデスメタルであること。 メタルでは主要楽器となっているギターが彼らの音楽ではほとんど伝統楽器を支える側に回っていて、メタルとしてだけ見ると物足りない部分もあるのだけど、この辺はフォークメタルバンドにありがちなことだし、だからこそフォークメタルなんだろうしね。 フロントマンであるクリゲルはもちろんのこと、2人の女性陣も積極的にオーディエンスをあおっていた。 新しいベーシストのケイはほぼ不動。 過去のビデオでは旧ベーシストのラフィが積極的にライヴを盛り上げていただけに、そういう姿を見るとやはりラフィを見られなかったことが残念に思える。 肝心の演奏の方はどうだろう、とベースに耳を傾ける。 野外のフェスティバルということで音が悪くて聞こえにくかったけど、まあ、演奏の方に文句はまったくない。 Eluveitieは若いバンドのはずなのに、ステージを見る限りでは、貫禄のあるライヴ。 演奏自体しっかりしているし、場慣れしている感じを受けた。 数々のフェスティバルなどで多くの経験を積んで来た賜物か。 「Inis Mona」のコーラスの部分は、大合唱とまでは行かなくても、ある程度のオーディエンスの声が聞こえた。 オーディエンスの方も徐々に盛り上がってきて、2曲目の「Grey Sublime Archon」からモッシュが始まる。 この曲は、アイリッシュミュージシャンが作曲したリール(拍子的にポルカに似ているけど、テンポがもっと速い)のメロディを元に作られたもの。ハーディ・ガーディが印象的なメランコリックな曲。 続いて「Bloodstained Ground」。炸裂的に始まるこの曲は、フォークメタルと言うより、速くてメロディックなメロデスの王道の曲だと思う。途中からギターが来そうなところで笛が来るあたりが、Eluveitie。その笛が全部生だったらなぁ、と惜しく思った。 ちなみにライヴではテンポがさらに速かった。 次の「The Somber Lay」もアイリッシュリールのメロディを元に作られたグルーヴ感のある曲で、前の「Bloodstained Ground」と同じくメロデス色の濃い曲。 このあたりの曲を聴くと、前作『Spirit』で見られた限りなく全体に見られた民俗音楽の要素が『Slania』では少し控えめになって、逆にメロデスの部分が少し押し出されてきた感じを受ける。どちらの作品も基本的に同じ路線だけど、そういう理由から、私は前作『Spirit』の方が好き。 でも、「Grey Sublime Archon」「Bloodstained Ground」「The Somber Lay」の3曲も『Slania』の中では好き。キャッチーなメロディが印象的な「Inis Mona」も良いけど、この辺の曲はフォークメロデスバンドEluveitieならではの曲だと思うんだよね。 「The Bomber Lay」は笛3本立てで始まるんだけど、バグパイプ・笛奏者がいなかったため、ヴォーカルのクリゲルとハーディ・ガーディ奏者のアンナのみで笛を演奏していた。 続く「Your Gaulish War」は前作『Spirit』からの曲で、私がEluveitieに興味を持つことになったきっかけの曲。メロディがとても印象的。 笛のパートをオーディエンスが歌っていた。 「時間がないからこれが最後の曲」というMCに、オーディエンスは「Noooooooo!!!」と返事。 ライヴの最後の曲は「Tegernak?」。伝統的なジグのメロディを用いて作られたこの曲は、思わず踊りたくなるような軽快なリズムで始まる。 オーディエンスの一部が肩を組み、輪になって踊ると言うか、跳ね出す。 ステージ上でもヴァイオリンのメリやクリゲルがステップを踏んで、オーディエンスに「踊れ!」と言っていた。 30分ほどのステージが終わって、オーディエンスは満足した表情。 一般的なバンドのオフィシャルグッズのTシャツやCDは15ユーロで売られているものなんだけど、今回、EluveitieのTシャツやCDは20ユーロで売られていた。 高いにも関わらず、ライヴの後、EluveitieのTシャツを着た人、CDを手にしている人を結構目にした。 と言うことは、イタリアのオーディエンスに受けたってことだよね。 ライヴが終わってしばらくしてから、メンバーたちが観客エリアに入ってきて他のバンドを観たり、ビールを買いに行っていたりしたんだけど、その間、ほぼ絶えずファンにサインを頼まれたり写真を頼まれたりしていた。 と言うことは、イタリアのオーディエンスに受けたってことだよね!?!? メンバーによると、笛・バグパイプ奏者がいなかったからMAXな状態ではライヴができなかったけど、それでも少しは宣伝になったから良い経験だったという。 また早く、今度はぜひとも完全な形でライヴを観てみたいものだな、と心から思った。 Eluveitieは私に、Amon Amarthを思い起こさせる。 と言うのも、私がAmon Amarthを知ったのは1999年。当時はほとんど周りにAmon Amarthを知る人がいなかった。 このバンドは良い良いと人に勧めつつも、2003年に観にいったライヴのときは、オーディエンス50人ほどの寂しいライヴだった(でも、バンドのクオリティが高かったため、少ないながらもオーディエンスは盛り上がっていた)。 それが今では、すっかり成功したバンドとなっている。 Eluveitieも、私の周りに知る人はほとんどいなかった。でも、徐々に成功への道を確実に歩いているなという気がする。 Amon Amarthくらいビッグなバンドになってもらいたい。そのくらいの価値があるバンドだと思う。 セットリスト: Inis Mona Grey Sublime Archon Bloodstained Ground The Somber Lay Your Gaulish War Tegernak? フェスティバルで撮ってきた「Bloodstained Ground」のビデオ 魔笛の国のスラニア/Eluveitie 曲目タイトル: 1. サモン~冬~ 2. 生命(いのち)の息吹 3. イニス・モナ~伝説の島~ 4. 偉大なる支配者 5. アナガンティオス~春~ 6. 血染めの大地 7. 翳りゆく季節 8. スラニアの詩 9. ジャイアモニオス~夏~ 10. タルヴォス~黄金の牛~ 11. 歓喜のヘルヴェティカ 12. エレンビヴォス~秋~ 13. サモン~冬~(アコースティック・ヴァージョン|ボーナス・トラック) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 2, 2008 01:10:24 AM
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