カテゴリ:本
えっと、非常に評価に困る作品です。SFなんでしょうか。いえ、ファンタジー?いや、でも設定はSFですよ。人は既に一億にも満たない人数になり、科学技術も失われており、インターネットも無い。ホモ・サピエンスは既に人類としての地位を退いていて、旧人類とされている。これはまだSFだ。だが、新人類。それがなんと「妖精」。
話はつまらないわけではなく、平均身長10センチ、三頭身で高い知能を持つ享楽主義の妖精と言う種族が今は地球を支配している。話はつまらなくもないし文章の質も悪くない。いや、田中ロミオだしむしろ良いんだけど、何だろう。不思議すぎる包容力があり、なんだか全てを誤魔化されているような気がしなくもない。 何とも自分が今まで読んだ作品の中では一番不思議な作品。人類は既に絶滅寸前と言うところで普通の人ならば人類が盛り返す話を書くような気がするんだが、それがない。人は既に繁栄を諦めている節があり、最初の話で主人公が通っていた学校が閉鎖するという描写もあり、そろそろ本当にやばいんだなぁ、と言う事を実感させる。卒業生の人数は12人と言う絶望的な人数であり、しかも人口減少に伴い、学校の合併が多く行われて子供たちがその学校の寮に住むのが当たり前の時代でもある。その学校に12人。どれほど減ったのかがよくわかる。 そんな風な状況の中での妖精と人間とのほのぼのを真っ向から書いた田中ロミオ氏は勇気があるなぁ、と思った。 実際つまらないわけじゃない。ただ、面白いかと聞かれると無言の笑顔で返すしかない作品でした。でも2巻が出たら買うんですけどね。信者ですから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.24 21:51:05
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