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車筆太

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2006年08月12日
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 70年代オカルトブームの火付け役『うしろの百太郎』には、同時に「こっくりさんは止めろ」という深遠なメッセージが含まれていた。
 こっくりさん禁止令が各地の学校で発布され、それはそれは狂乱の時代だったようだ。
 その後も、こっくりさんがダメなら「エンジェルさん」「キューピットさん」「守護霊さん」ならどうだとばかりに名称を変え、形式にもバリエーションを持たせながら、その血脈を保ってきた。
 
 こっくりさんの書籍では、一柳広孝『<こっくりさん>と<千里眼>』がある。シナ版こっくりさんを扱った志賀市子『中国のこっくりさん―扶鸞信仰と華人社会』やウィジャ盤を扱ったストーカー・ハント『西洋版コックリさん―ウィジャ招霊術』もあり、どれも良書なのだが、現在までの興隆を辿るフィールドワークのまとまったものがないのが残念。
 
 さて、この『こっくりさん 日本版』、前年に公開された韓国版『コックリさん』を意識したのは、明白だろう。
 どうも韓国ホラーは気が滅入りそうなので未見。なので、比較はできません。あしからず。

 以下、ネタバレありなので注意。
 無料で視聴可能なので、気になる方はコチラに
 
 冒頭のエグさにまずは驚く。よくやったね、こんなの。
 
 と思ってると、登場人物に今度は驚く。
 いとうあいこ長澤奈央栗原瞳岩川幸司と主要メンバーがみんな特撮畑。ホラーとアイドルの相性はいいので、どうせなら特撮畑で、新しい需要をということか?なんにしろ珍しい。

 珍しいといえば、本編の設定でいくつか目新しい所がある。
 冒頭、「こっくりさん ここは太陽系第3惑星地球・・・」と呼び出すのだが、実はコレ後々の伏線。
 後半、ほとんどゾンビ映画と化すので、これは侵略SFなのではという含みを持たせるためですね。
 だから、エンジェルさまに触れた人が襲われる時、地獄の門みたいなのに引きずり込まれるのは、エイリアン・アブダクションとなる。
 子供たちが徐々に消えていき、猫少年のトシオ君ならぬ、滲んだパンダみたいになるのは、50年代侵略SFの定番である「乗り移り(ボディ・スナッチ)」ともとれる。
 
 他にも、小銭を『リング』のビデオのように呪いの媒体としているのだが、そのせいで後半のゾンビ映画化に拍車をかけてしまったのは、功罪だな。そこにはお隣の恐怖感はないのだから。
 
 恐怖描写が混合しているのも珍しいと言えば珍しい。
 特殊メイクを用いたグロい造型、「Jホラー」十八番の見切れなど、目を疑うような指チャカチャカ、上記の滲んだパンダと、何故にここまで演出のデキにムラがあるのかと。
 演出としては、栗原瞳がヤバ目の絵を書いているところと、窓ガラスに顔、「こっくりさん」とこっくりさんをやってるシーンが良かった。

 ラストは『ターミネーター』と『回路』と『ゾンビ』をミックスしたような感じかな。希望はあります。

 本当はもう1本『ほんとにあった!こっくりさんの呪い~実録・狐狗狸~ 』も観たけど、こちらは簡単に。
 よくできた心霊ドキュメンタリーです。
 必要な要素を盛り込みつつ、徐々に謎を明らかにしていく過程も、構成に緩みが少なく最後まで観ることができる。
 こっくりさん?の造型も、ひび割れ顔に、大きな黒目、身体に薄っすら浮かぶ文字となかなか斬新。
 ただ、恐怖描写として、カメラの手振れを使うのはなんだかなと。
 
 こちらもここで視聴可能

 こっくりさん/日本版 ◆20%OFF!ほんとにあった!こっくりさんの呪い~実録・狐狗狸~ ◆20%OFF!〈こっくりさん〉と〈千里眼〉中国のこっくりさん





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最終更新日  2006年08月13日 02時48分51秒
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