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車筆太

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2006年08月26日
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 想像以上の量に、夏の尻尾も見えてきて焦り気味ですね。

 今までも何度か書いてきたように、日本の心霊モノにおいて、心霊ドキュメンタリーは確固たる地位を獲得したと言える。
 定番の心霊特番によりリアリティを持たせるため、ドキュメンタリーの手法を用いた。
 もちろん、「残酷映画」ブームから『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を経て、その手法が洗練されていく過程があったのは言うまでもない。

 小池壮彦に「90年代における心霊版フェイクドキュメンタリーの到達点」と言わしめた『ほんとにあった!呪いのビデオ』はビデオを狂言回しに、その後の心霊ドキュメンタリーを評価する際の基準を提供した。
 
 因みに、呪怨の家に友近が潜入する『史上最強Jホラー 日本の怖い夜・特別編』(オチのショボさ以外は傑作なのでDVD化希望)、『幽霊インタビュー』、『呪怨2』の酒井法子の家は、『呪いのビデオ』シリーズの『6』『special』の家と同じですね。
 友近が海水を浴びる押入れの所に、幽霊がビュンビュン飛んでたりします。
 『5』『6』『special』は続きモノで、第1弾の白い着物の女を何度か取り上げたこと(カニパーティなどに参加)の再生産なんですが、格段にうまくなってます。

 以下、いつも通りネタバレあり。
 
 さて、そんなこんなで、今回は心霊ドキュメンタリー2本立てです。
 まずは1本目。
 『ほんとにあった!呪いのビデオ リング編』。
 同じ日付に「消えろ」という男の声と男の姿のノイズの入ったビデオが相次いで投稿されたことで、取材を始める検証シリーズっぽいんですが、意外な展開の連続で最後まで観ることができる。
 
 「ビデオに写っている人が1人自殺する」法則を見つけて、まだ自殺者の出ていない家庭に突撃取材。
 はじめは喜んでいた家族も、次々に判明する新事実にビビリ、横柄なスタッフの態度にブチ切れ(笑)。
 幽霊の追跡(ほとんど鬼ごっこ)、『ピーピー兄弟』の北川さおりが家族によって拉致、新幹線との無駄な競争(妙に盛り上がるスタッフ)と、ぶっ飛んだ展開が続く。
 
 こう書くと唯の変な映画なんだが、少しずつ新事実を開示していく手際は、さすがに『呪いのビデオ』シリーズの賜物。
 「ナンダコリャ」といった展開もあるものの、心霊ドキュメンタリーの基本は押さえてある。
 失笑と脱力感、そしてラストの虚無感まで、なかなか一筋縄にはいかない作品です。
 
 これを観て気付いたのだが、初期の頃からずーっと出演している巨漢の横田直幸。
 今回も、幽霊の追跡途中で早々にギブアップ。
 「過酷な環境の中での危険な捜索という極度の緊張状態に耐え切れず脱落した」とナレーションの中村義洋は言っているが、まぁ、デブだからだろう。
 この横田さん、実は、『呪霊』にて教授役で出演。キャラがいいからか、結構人気あるのね。

 ところで、パッケージにもなり、本編でもちょこっとイメージシーンで登場する女子高生。本編とは全く関係ないのだが、何でしょうか?
 ひょっとして、これも幽霊なのか!?
 
 ハイ、2本目。
 『女呪霊』。
 流出モノのAVに登場した霊のお話。こちらは本当に女子高生が出てきます。
 裏AV業界への潜入ルポの予定が、途中で見つけた幽霊の映像がスゴ過ぎて、そちらに掛かりっきりになっているうちに、出来上がったシロモノはオカルト色が強すぎてお蔵入りになった、という映像が呪われているのか、作った奴の頭の中が呪われているのか、眩暈感だけは強い作品です。

 そういう経緯があるので、バイブを振り回す女子高生(この背後に幽霊がという不条理)、延々アエギ声が聞こえる中でアニキに「事務所に来いや」と恫喝されるスタッフなど、映像の方も狂気じみてますな。
 ただ、肝心の幽霊の映像はかなりのデキです。
 逆さ吊りの幽霊も、『エクソシスト』ばりにクルクルと頭の回る幽霊も、水着?姿の幽霊も、どれも良い。
 
 登場人物もヘンだ。
 ・取り寄せた心霊映像を観て驚くアホそうなプロデューサー。
 ・「あんまり詳しいことは言えませんですけど」を繰り返す違法ソフトのブローカー。それっぽいなぁ。
 この人、意外と辛口なんですよね。
 「そうとう悪い」「見覚えがある」「こんなの売らない」など自己言及的な発言が続く。
 上の『呪いのビデオ リング編』にも「ヤラセなんでしょ」の発言があったりして、このテのでは自己言及的なのが流行なのかねぇ。
 ・主婦業の片手間に霊能力者もやる主婦。
 予算がないとはいえなんでこんな人物に映像鑑定を依頼したのか?
 しかも、匿名だからモザイクの上、やる気が感じられん。何故だ?

 さらに、恐ろしくイラツク言動の人達。
 制作会社のディレクターを筆頭に、女優紹介業者と喋り方も、態度も、考え方も、全てがムカツクという素晴らしさ。
 後味の悪さでは、『ファニーゲーム』だとか、『レクイエム・フォー・ドリーム』だとか、『レネゲイド』と同じくらいですな。
 『ゆきゆきて神軍』を観たときのなんとも言えない居心地の悪さを、別の形で再現したとも言えないか。言えんか。
 
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最終更新日  2006年08月27日 05時26分59秒
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