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テーマ:DVD映画鑑賞(14216)
カテゴリ:ホラー映画、好きです。
昨日、『X-MEN2』をテレビで観ながら、下書きしたら、酒も入ってたからか、今読み返すと、かなりネタバレしてるんですが、眠くて疲れたので、書き直す気力もない。
なのでご注意を。 『幽霊団地(仮)』撮影中、次々と起こる怪異。 その影に蠢く闇。撮影現場を包み込むこの奇怪な雰囲気。それらはすべて「ある出来事」に端を発する怪奇現象であった。 と、まぁ、これが『実録心霊シリーズ 撮影現場 映画「隙魔」より』の大まかな内容です。 撮影現場の怪談はとみに有名で(マスコミへの露出が多くなるから当然だが)、前回の『四谷怪談 祟りの正体』にもいくつかそんな怪談が収録されている。 本作では、お祓いがなされていないために怪異が起こった様に描かれている。これはこの手の怪談ではよくあるプロットで、お祓いをした後は「霊障」は消えるとされる。しかし、怨霊の恨みの深さ、現世の人間との関係によっては焼け石に水なのは前回も書いた通り。 あまりにもいいタイミングで事が起これば嫌でも我々はその怪談を想起せずにはいられない。そして、それは記憶なり、記録なりに、消えることのない足跡として恐怖を刻み込む。 何度となく、そんなことが起こることで「怪談」は活力を失うことなく、幾たびも時を超えて蘇えり、増殖して終わることがない。 最近では、『デスノート』関連の出来事、マンガ家の逮捕、撮影監督の訃報が想起できる。このような偶然が重なれば、当然、「何かあるのではないか」となる。ただし、原作が「死」にまつわる話でも、それに力点が置かれている物語ではないので、さほどの波及力は持ち得ないのだろうけれど。 因みに、作り物の物語に祟りも怪談もないように思えるが、初代三遊亭円朝の翻案による『怪談 牡丹燈籠』が祟った話を小池壮彦は収録しているし、オリジナルホラーをつくる際にもお祓いを済ませるのはもはや伝統の域に入っているだろう。 さて、本作の制作はArt Port、制作協力は円谷エンターテインメントと、この手の作品では名前を聞かないところ。 だからだろうか、「よく勉強しているなぁ」と。 ブロードウェイ、ジェネオン エンタテインメントなんかの心霊フェイクドキュメンタリーを踏襲していて、トドメに『邪願霊』と、ハズしてない。 副監督が足が痛くてびっこを引いているのなんかは、四谷怪談にまつわる怪談などを意識しているのだろうし、心霊フェイクドキュメンタリーに必要な要素は全て詰まっている。 唯一、ハズしているのは、構成・演出の本田隆一の資質による。 本田は『ウォーターメロン』『脱皮ワイフ』で、すっとぼけた容貌そのままな味のある物語を作ってきており、本作にもその影響は随所に垣間見ることができる。 まずは、撮影現場で次々と怪奇現象が起こる前半と本田が事件の解明を始める後半では全く雰囲気が違うことに直ぐ気が付くだろう。これは、ドキュメンタリー風とドラマ風の相違と言える。 恐らくこれは狙ってやっている。 メイキングが心霊ドキュメンタリーなってしまうというプロットに対比させたものかどうかとか、意図は分からないけれど。 実のところ、後半(撮影終了後)以降のハジけっぷりは、ほとんどコメディで、前半のスタッフたちによる怪奇現象を語るくだりでも、女優の山口美也子が 「背中がのしかかられているように痛くて・・・」 と喋った後、「針治療と指圧を受けたら憑き物がとれたみたいに軽くなって、ウフフ」とか言っていて、オイオイとなる箇所もあるけれど、後半では、霊に怯えて逃走した女性スタッフに電話取材するシーンでは、 「撮影現場に黒い影がいたんですよ。」 「どんな霊だったんですか。」 「黒っぽくて、多分・・・、男性だと思うんですよ。」 「顔とかも見えたんですか。」 「いえ、見えませんでした。顔が真っ黒い感じで・・・。」 「地黒の人ってことですか。」 「いえ、そうじゃなくて。」 そりゃ、当たり前だろう(笑)と。いや、この後も何事もなかったように、淡々と会話は進むんですよ。 その後はすべての会話、リアクションともに、脱力。 後半は爆笑し続けてたんだけれど、オチは一筋縄にはいかない。 これは個別に考察するに能うる問題なのだが、オチがばれるので(バレてもいいんだろうけど)別の機会に、別の形で。 宣伝効果や真実味の強化(安く1本つくることもできます)の意味を持つことができるメイキングを兼ねた心霊フェイクドキュメンタリーという心境地を拓いた作品なので、珍品の臭いは漂うものの、評価すべき所は評価すべきですね。 ただ、残念なのは、真実味の強化に意識が向いていてなくて、肝心の宣伝対象である『隙魔』を見かけたことがないんですけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年09月11日 22時14分30秒
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