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カテゴリ:ホラー映画、好きです。
フランケンシュタインの怪物、ドラキュラ、狼男は、米国ユニバーサル、英国ハマーの恐怖映画によって、造型、設定など、有名モンスターとして人口に膾炙してるわけですけど、日本では、藤子不二雄Aの『怪物くん』の三人組としての方が、ピッタリくるんじゃないかと思います。
私の場合は、『フランケンシュタイン』も『吸血鬼ドラキュラ』もずっと後で観ましたし、小説を読んだのはさらにずっと後、『狼男』に関しては、『狼男アメリカン』『ハウリング』などを一通り観て、『モンスターレガシーコレクターズBOX』の中の『狼男レガシーBOX』でのこと。ガイ・エンドアの『パリの狼男』も読んでませんしね。 「がんす ざます フンガー」 というわけで、アニメにもなって日本人に膾炙しているのはやはり怪物くんの三人組なのではないかと。 月見うどんの卵を見て狼男に変身したり、気は優しいけども力持ちだったり、日光に当たったところだけが焦げたりとか、安孫子さんのキャラ作りの巧さだったりするんですけど、こういう細かい設定もこの作品からの影響が大きくて、恐怖の対象というよりは愛着が湧くんですよね。 向こうではこの辺りに、アボット&コステロがはいるのかな? というわけで、懐かしい三人組の勇姿を。 http://www.youtube.com/watch?v=UouH85QGl2E おっと、間違えた。しかも、OPだし。 正しくは、こちら。 http://www.youtube.com/watch?v=1g3XAg0btL8 怪物くんの三人組とは違う怪奇映画のほうの話もほんの少しだけ。 ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物には、それぞれブラム・ストーカー(ポリドリの『吸血鬼』も)とメアリー・シェリーという生みの親がいます。 “串刺し公”ヴラド3世をモデルにした所謂「ドラキュラ」像が確立されたわけですけど、実際のところは、平賀英一郎『吸血鬼伝承―「生ける死体」の民俗学』を読むと分かるように、民間伝承と「伯爵」のイメージとに大きなギャップがあったりします。 それはさておき、原作を下敷きにしたルゴシの『魔人ドラキュラ』、リー&カッシングの『吸血鬼ドラキュラ』どちらも原作とは趣が違うんですよね。もちろん、『ドラゴンVS7人の吸血鬼』となると全くの別物なんですけど。 これはフランケンシュタインの怪物も同じで、言わずと知れた怪奇俳優ボリス・カーロフの名演、ジャック・ピアースの特殊メイク(狼男もそうですね)、これで決まりです。 原作よりも映画の方が、イメージとして、恐怖のイコンとして、残っているのは、視覚に訴えかける映像の優位というのにとどまらず、各役者のハマリっぷりにあるんですよね。 リーのドラキュラ伯爵は、傾きかけたハマーを再び復帰させるほどに素晴らしかったですしね。世に残るにはそれなりの理由があると。 ところで、狼男は民間伝承などをモチーフとして物語の骨子が作られていて、明確な原作というものがないんです。しかも民間伝承なので、狼憑きといったもっと素朴なものなんですな。 それに、満月の夜に変身したり、銀の銃弾を受けると死ぬとかといった設定を加えて『狼男』を作り上げたのが脚本のカート・シオドマクというわけです。 同じく後の狼男映画に多大な影響を与えた(特に、影響を監督自らしゃべりまくっていた『狼男アメリカン』は原題も同じ)『倫敦の人狼』もありますが、これは一般的に知られているとは言い難いんで今回はパス。『狼男レガシーBOX』のみで、単品販売なしがさらにイタイ。 因みに、後世の狼男映画の狼にかまれて人狼になるとか、普段とのギャップに苦悩する悲劇だとかの約束事を決定付けた映画です。 『ゴリラの花嫁』の監督でもあるこの方、続編の『フランケンシュタインと狼男』にて、既に、2人目の狼男と五人目のフランケンシュタインの怪物を対決させるという所業をやってのけている偉大な方です。 因みに、『フランケンシュタインと狼男』にフランケンシュタイン博士は出てきません。つまり、フランケンシュタインはモンスターの名前なわけです。 さらに、六人目のフランケンシュタインである『フランケンシュタインの館』では、フランケンシュタイン・ドラキュラ・狼男に、キチガイ博士とせむし男を加える特盛ぶり。この方向性は、七人目のフランケンシュタインであり、最後の狼男である『ドラキュラとせむし女』にも継承されるんですな。 さて、ここからいよいよ本題のエロアメコミに入りたかったんですけど、やっぱり長くなりすぎたので、来年につづく・・・。 <付記> 狼男として人口に膾炙している設定をカート・シオドマクが生み出したことは上記の通り。 ただその容姿については、いまひとつ固定したイメージがないように思います。 『狼男アメリカン』『ハウリング』なんかは、変身シーンをモロに描いたというだけで、それはそれで狼男の持ち味ですし、映画としてはいいんですけど、変身シーンのインパクとしか残ってなかったり、『ウルフマン』では元から狼狼してますしね。 んっ。「オイ、オイ、ロン・チェイニーJrやポール・ナッシーがいるだろうがっ」という声が聞こえてきますな。 確かに、五度にわたり狼男に変身し、その己の運命を呪う悲劇を見事に演じたロン・チェイニーJr、ポール・ナッシーは『ワルプスギスの夜 ウルフVSバンパイア』『Dr.ジキルvs.狼男』『狼男とサムライ』などなどで狼男役を濃ーく演じてますからね。 ただ、問題なのは、新旧の差こそあれ、日本人として考えると、弱い。 ユニバーサルの一連の『狼男』はちょうど大東亜戦争当時で、設定が音に聞こえたのみので、劇場未公開なので膾炙したとはいいがたいですし、ジェス・フランコこそ最近はソフト化されているのでそれなりに名を知られていますけど、独自の雰囲気を漂わせる6、70年代スパニッシュホラーでは、アマンド・デ・オッソリオもレオン・クリモフスキーもポール・ナッシーもなかなかお目にかかれませんからね。 つまり、前者はホラーファン、後者はユーロトラッシュファンしか知らないと。 実際、私程度では『吸血鬼ドラキュラ対狼男』とか『Frankenstein's Bloody Terror』とか『Curse Of The Devil』とか『Werewolf Shadow』とか、観てないのが山ほどありますからね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年12月30日 16時58分37秒
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