カテゴリ:旅
金曜日は午後休をとり、妻と二人、ロードスターで宮浜温泉の『石亭』へと向う。
毎週のように週末になると海旅を重ねる私を静かに見守り、そして支えてくれている妻への感謝の気持ちを込め、そして諸般の事情により少し早いが結婚記念日を兼ねて、近場の旅館でゆっくりゆったり、週末の時間を過ごそうと思っている。 *** この『石亭』は人気の旅館であり、数ヶ月前にようやく予約を取る事ができた。 手書きの手紙とともに事前に送られてきたパンフレットで見た宿の様子に、期待は膨らむばかり。 二人とも、指折り数えてこの日を待っていた。 *** 夕方、まだ明るいうちに宿に到着。 玄関で迎えられ、部屋に案内される。 部屋が広い。 予約時に二人用の部屋は満室だったため、4人部屋なのだが、それにしても広いなあ! メインとなる部屋は、京間だが20畳を越える広さ。 それに、海が見渡せる続部屋が二つと、外の景色を眺めながら入る事のできる檜風呂のバスルームまでついている。 そして部屋の窓からは、瀬戸内海と宮島が、そして遠くに甲島まで見渡せるのだ。 なんとも贅沢な空間。 客室に置かれているものや、宿泊客へのメッセージが記されたものなどなど、様々なものに、気配り、心配りが感じられ、この眺めの良い静かな部屋に居るだけでうれしくなる、本当に好い宿である。 *** 庭を散策すると、旅館も景色の一つとして溶け込んだ、これまた絶景。 宮浜温泉。 さすがに地元なのでその名前は知っているものの、今まで来た事が無かった。 うーん、こんな近くに、これほど良い所があったなんて! まさしく、これぞ『瀬戸内の癒しの空間』である。 *** 散策後、部屋の風呂は狭いので、宿の温泉へ。 風呂から上がると、景色を眺めながら休憩できる部屋で、準備してある『きき酒』を試す。 氷を敷いた盆の上に、十種類ほどのオススメのお酒が冷やしてある。 これを自由に試してみて、夕食の時のお酒を注文するようになっているのだ。 これは、良いシステムだなあ。 妻とともに、『これはこう、あれはどう』と、様々なお酒の味の違いを楽しんだ。 *** 夕食。 『ひなまつり』の月だからであろうか、『白酒』の食前酒から始まった。 前菜から始まり、デザートまで。 小イワシの刺身、オコゼのお造り、穴子、牡蠣、ロース肉の味噌焼きなどなど、海の幸、山の幸、様々な料理が献立に並んでいる。 こんなに沢山たべられるかなあ? 妻と差しつ差されつ、食事を楽しむ。 テレビも付けず、かすかに聞こえる音量で、モーツアルトやマイルスデイビスを流し、久し振りの差し向かいの一時。 料理もおいしく、旅館オススメのお酒もこれまた旨い。 一つの料理を食べ終わると、絶妙のタイミングで、次の料理が運ばれてくる。 食べている最中でもなく、食べ終えて間が空く事も無く。 これにはただただ二人ともびっくり。 これぞプロの仕事である。 *** デザートを食べ終えたのは、なんと2時間後。 久し振りにゆっくりと贅沢な時間を過ごすことができた。 妻も満足し、喜んでくれた。 そして、その事がなによりもうれしい。 *** 再び温泉に入り、夕方『きき酒』をしたラウンジに行くと、宿のご主人が『一杯どうですか?』と、湯上がりのお客さん達に奨めている。 私も妻も、『それではいただきます』 運ばれてきたのは『汁粉』 妻はうれしそうだ。 なんとも心憎いサービスではないか! 宿のご主人と、少しだけ話しをさせていただいた。 この宿ができてから今に至るまでの歴史、宮本常一に関すること、地元にショップもあるシーカヤックの事。 このご主人は、そのショップの店長もご存知だった。 *** 瀬戸内らしい景色が堪能できる『生野島』や、お気に入りの『岡村島』、しまなみの楽園『生名島』でのテント生活は最高に楽しい。 リーズナブルな料金で海の幸がたっぷり堪能できる『伯方島の民宿さんわ』も、湯治場の風情が残る貴重な温泉場、別府『鉄輪温泉の貸間旅館』も、もちろん好きだ。 でも、ここ『石亭』には、また別の世界がある。 ご主人や、そこで働いている人達を含む宿全体から伝わってくる、心配り、気配り。 そして部屋の窓からの美しい眺めとおいしい料理。 しずかに、ゆったりと流れる時間。 布団に横になり、『かむろ復刻版 第1巻』を読みながら、石亭の夜は静かに更けていった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 3, 2007 05:14:11 PM
コメント(0) | コメントを書く
[旅] カテゴリの最新記事
|