テーマ:旅するシーカヤック(153)
カテゴリ:あるく、みる、きく
久し振りに、読書三昧の週末。 『別冊太陽 宮本常一、忘れられた日本人を訪ねて』、『新編 琉球弧の視点から(島尾敏雄)』そして『種田山頭火(村上護)』
『琉球弧の視点から』 先週の下関で内田正洋さんが紹介していた、『ヤポネシア』という言葉を創った島尾敏雄。 二週間ほど前、たまたま街に出た時、いつも寄る古書店で見つけ、『琉球弧』という言葉に惹かれて手にとってみた。 ただその時は、興味を引いた他の本を購入したのだが、先週末の内田さんの話しを聞いてその本の事を思い出し、再び古書店を訪れて購入したものだ。 2週間、よくぞ買われる事なく残っていてくれた! 『種田山頭火』 先週末、下関でのイベントの事をブログに整理していたとき、一通のメールを受信した。 『Amazon.co.jp から種田山頭火?うしろすがたのしぐれてゆくかなどのおすすめ商品のご紹介』 これは偶然とは思えない。 まるで、下関に横断隊メンバーが集まり、ユージさんに山頭火が降りて来たことをお見通しであるごとくのお勧めメール。 Amazon恐るべし! という訳で、即購入したもの。 『別冊太陽 宮本常一』 生誕100周年を記念して出版された本であり、これまた購入してから知ったのだが、下関でご一緒させていただいた、南山大学の後藤明先生も、『移動する日本人』という章を書いておられる。 まさに、下関の海洋文化セミナーから続く、いや沖縄の糸満でのホクレア到着からつづく、いやいや、瀬戸内横断隊からつづく、一連の縁が、本となって集大成となったような週末である。 *** 『別冊太陽 宮本常一』より、 『(前略)大切なのは、宮本の精神を”継承”することです。宮本は常々、民俗学は過去を振り返るための学問ではない、よりよき未来を拓くための学問だ、と言っています』 『宮本の旅で最も訪れる回数が多いのは、当然ながら瀬戸内海だ。 終生みつづけることになるこの海について宮本は、『内海をしらべることは結局一つ一つの島を歩いてみることから始めなければならない』ことを実感する』 *** ↑ 尺取り虫方式の瀬戸内横断で、東側ゴールとした『兵庫県の家島』にて 私が宮本常一の著書を知ったのは、尺取り虫方式での瀬戸内横断(兵庫県、家島~山口県、下関)が終わり、日本海北上編へとつながる『古代人ツアー』を企画してくれた、エクストリームNさんから教えていただいたことが切っ掛けである。 ↑ 家島で偶然出会ったやんちゃな女の子達は、手漕ぎフネで海を渡って来た怪しい私を、温かく迎えてくれた ちょうど、東側ゴールとなった家島での子供達と楽しい一時を過ごした事や、家島の旅館の方と知り合いになったこと、また西側ゴールとなる関門海峡を越える前日にテントを張らせていただいた埴生漁港で、副組合長さんの奥さんなどに親切にしていただいたことなどが重なった時期であり、シーカヤックの旅を通じて様々な人と出会い、話しを聞かせていただく事の面白さや楽しさを感じ始めていた時であった。 ↑ 下関の綾羅木を起点に、日本海を北上していく古代人ツアー ↑ 日本海を望む、小さいが美しい漁港で出会ったかつての漁師さんからは、思いもかけない興味深いお話を伺う事ができる、至福の一時 宮本常一の世界は決して過去の事ではなく、自分の力で海を漕ぎ、テントを積んで尺取り虫のように旅を続ける私たちの目の前に、同じような世界がリアルな現実として存在している事を知り、『あるく、みる、きく_旅するシーカヤック』という、私の海旅のスタイルにつながって行く事になる。 『縁』とは、本当に不思議なものだ。 縁は、そこにあるべくしてある。 縁は、そうなることが必然だったとしか思えない形でやってくる。 ↑ 時には、急激に荒れ始めた日本海で、ゴロタ浜に緊急避難することもあった ↑ 島根半島の小さな海岸では、地元で生まれ育ったおばあさんに、かつての暮らしの様子を聞かせていただいた 『別冊太陽 宮本常一』より、 『私の場合には、箇条書きのような形で話しを聞くことはほとんどない、できるだけ相手に自由に話してもらう、話してもらうというよりも話し合う、だから単なる聞き手ではない』 ↑ 日本海には、小さいながらも美しい漁港があり、経験豊かでこころやさしい人々が今も住んでいる *** 宮本常一はこう言っている。 『記憶されたものだけが記録にとどめられる』 『その人が一番話したい事の中に、知りたい事がある』 『旅にまなぶ』 佐野眞一さんは、『宮本”再発見”の第一段階は終わった。 われわれに残された次の課題は、宮本の精神をどう活かして行くかである』と言う。 内田正洋さんは言う。 『それは、ホクレアを感じたやつの責任だ』 『あるく、みる、きく_旅するシーカヤック』 そこにどんな答えがあるのか、いや、答えがあるのかどうかすらわからないが、宮本常一があるき続けたように、私も漕ぎ続けたいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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