もう何年前の話になるか、忘れてしまったのだけど。
それなりに健康な体なのだから、人生で一度ぐらい献血をすべきではないか、とふと思ったことがあった。
とはいえ、すぐに決断はつかず。何しろ、注射は苦手だ。
相当に葛藤した末「経験してみるかー……痛いの怖いけどー……」と自分を言い聞かせ、駅前に向かう。
意を決して献血車に並び、順番を待った。「1回だけ……1回だけ……」と緊張しながら。
いざ順番がやってきた私は献血車に呼ばれ、中に入って座席につく。
私の視線の先では、先行者が血を抜かれていたらしく、私はうーと目を背けていた。
よっぽど緊張していたのか、嫌そうな顔をしていたのか、年配の女性スタッフの方が声を掛けてきた。
「今日は止めておきましょうか」
私は首を縦に振った。
その時、私が覚えたのは、安堵だった。正直、心底ほっとした。
こうして、私の人生初の献血への挑戦は未遂に終わり、以後、献血に行くべきかどうか思い悩む事も無くなった。
……思うに。
本当の私達は「もう頑張らなくていいよ」「無理しなくていいよ」という誰かの言葉をどこかで待ち望んでいるのかもしれませんね。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年04月17日 10時58分28秒
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る