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今日も他人事

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2024年05月13日
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カテゴリ:アニメ
苦痛に耐えられぬ時、観るがいい。
素面で観ると、もっと、しんどくなるかもしれぬが、ストゼロと一緒に決めると人生楽しくなるかもしれぬぞ(グビグビ


■機動戦士Zガンダム(TV版⇒新訳)


「カミーユが男の名前で何が悪いんだ おれは男だよ!」


根本的に『機動戦士ガンダム』という物語に続編が必要だったのか?と問われたら、多分、要らなかったになると思うんですが、じゃあ、『機動戦士ガンダム』の続編として『Zガンダム』以上に相応しい作品があるのか?と言われたら、多分、ない。
結果、割と色んなものが台無しにされてるんだけど、完璧に美しく纏まった単発作品(『機動戦士ガンダム』)に無理矢理、続編を作ろうものなら、どうせ何をやっても叩かれる。だったら、って感じで、この辺は生みの苦しみを感じた。そりゃ、「あんなに良い終わり方をしたのに、続編なんか作らない方がいいと思います(by飛田さん」って言いたくもなるでしょうし、なにより言われてる方がそれを感じてそうではある(苦笑)

それでも、人は一生懸命、作らねばならんのだ。金の生る木を。食えなきゃ、生きていけないからね……(--



ただ、それでも『Zガンダム』という作品が好きなのは「大戦中」ではなくて「大戦後」という復興期の中で描かれる地球連邦の内紛の最中、カミーユという鬱屈を抱えたカミソリみたいな少年が自分から反政府運動(テロ)に身を投じて、かつての大戦の生き残り(シャアやアムロ、ブライト)達と共に戦っていくんだけど、でも、それを正しい事(幸福への道標)として決して描いてないところに生真面目さを感じちゃう。後々、『Vガンダム』で「子供が戦争をするもんじゃない」って台詞があるんですけど、前作でなまじアムロを通じて「戦争の中で漢として成長した少年」を上手く描いちゃったからこそ、アンチテーゼとして造形されたんじゃないかって気も。勿論、TV版の最後を知っているからこそ言える話ですけども。



ちなみに劇場版(新訳)は、かなり劇中の事件を端折る形で再構成されており、かつ、終盤の展開や台詞にも色々、差異が生じているため、TV版を見てから、2周目のつもりで観るのをおススメします。悪い作品では無いんですけどね。ただ、TV版の持ってた毒々しさは大分、薄まっちゃった気がする。それが良いことなのかどうか、正直、私には今でも分かりません。


■新世紀エヴァンゲリオン(旧劇⇒新劇)


「みんな僕をいらないんだ……。だから、みんな死んじゃえ」


娯楽と哲学と鬱がテンポ良く混ぜ合わされた90年代屈指の問題作。伊達に社会現象にはなってねえぜ!

丁度、中学生の頃に、この作品に出合ってしまったことが、私の人生をオタク道へ確定づけたのは間違いないと思う。



実際、普通にエンタメロボアニメとしても良く出来てる名作なので、多分、19話(男の戦い)ぐらいまでは楽しく見れちゃう。




で、20話以降から、なんかジメジメしてきてしんどくなる。そして、劇場版で頂点に。「もうやだ、もうやだよ……」

……いや、まじでね、割と好みの男の子キャラが寝ている娘で見抜きした挙句、「最低だ。俺って……」とか言い出す場面を見せられた作品は後にも先にも、これ一回だよ(苦笑)



ちなみに、『シト新生』は1997年春公開でしたので、当時の私はピッカピカの中学一年生だった模様。なんと、シンジ君の方が、ちょこっとお兄さんだったのだ。そんな、線が細くて、色々、ナイーブで、ちょっと見ていて不安になる、緒方恵美ボイスな一つ上の男の子な先輩が映画館のスクリーン上で「はぁ、はぁ……うっ」でドピュッってやっちゃうシーンを見せられたら、どうなると思う?なんかもー色々、情緒おかしなるで(==



後、この流れ、好き。あの、キャッチコピーで殴り合うの、やめてもらっていいですか(^^;


■進撃の巨人
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「……なぁ? 向こうにいる敵……全部殺せば……オレ達、自由になれるのか?」


正直、漫画1巻が出た時には絵が好みじゃなくて読む気は無かったんですけど、「主人公が巨人化する」って聞いた辺りから興味持って、以後はアニメ経由ではまり、先日、最終回まで視聴完了。逆に、初期から読んでた私の友達は巨人化するようになってから読むの止めた模様(「そっちを求めてたんじゃない」とのこと)。



結構、アップテンポの激しい作品で、話が大きく動く部分(女型の巨人戦とか、ライナーの爆弾発言とか、市街地奪還作戦とか)は非常に面白いんですけど、人間同士でグダグダやってる辺りは、正直、あんまり……という感じ。




ただ、時々、さらっと入ってくるギャグとか、キャラクター同士のやり取りとか、人間社会や歴史の暗い部分から目を逸らさずにきちんとSF要素も混ぜ合わせつつ、一本のお話として描き切ってるのは凄いな、って。もし、十代の頃に出会ってたら、凄い振り回された気はしますね。寧ろ、三十代で出会えて良かったのかも。


■虐殺器官(映画版⇒小説版)


「これが、ぼくの物語だ」


まず、先に言っておくと、この作品は是非、劇場版を先に観てください。

そうすると、おそらく、多くの人は「どうして、主人公(クラヴィス)はこんな選択をしたのだろう?」と思われることでしょう。

そうしたら、次に小説版を読んでください。そこに答えが記されています。

逆に小説版を読んでから、劇場版を見ることはおススメしません。何故なら「こうなったかぁ…」という感じになるに違いないからです(^^;

とはいえ、劇場版の出来が悪いとかではないのです。まず、映像描写は圧倒的です。特に本作のテーマでもある「虐殺」を赤裸々に描写しているため、グロが苦手な人にはかなりしんどいと思いますが、これは作品として必要な描写であり、そこから逃げずにきちんと描かれているのは寧ろ、制作側の頑張りを感じました。まぁ、これは、三部作全部に言えることではあるのですけども。

物語的な意味でいくと、クラヴィスの内面描写や彼の抱えているトラウマが一切、省かれてしまっており、おそらく片手落ち感は否めないと思います。初見の私でもそうでしたし、小説版を読んでたら猶更でしょう。しかし、そこを半端に映像化するのではなく、断念して、映像作品としてのテンポを優先したのは、それはそれで納得できます。ただ、やはり、物語として見ると、欠けている部分があり、そこは小説を読んで補う他ないかと。



なお、主人公の相棒であるウィリアムズが終盤、ある行動の末に「この世界がどんなにくそったれかなんて、彼女は知らなくていい。この世界が地獄の上に浮かんでいるなんて、赤ん坊は知らないで大人になればいい。俺は俺の世界を守る。そうとも、ハラペーニョ・ピザを注文して認証で受け取る世界を守るとも。油っぽいビッグマックを食いきれなくて、ごみ箱に捨てる世界を守るとも」って台詞を吐くんですけど、これが、凄い印象に残ってるんですよね。正直、クラヴィスのどの台詞よりも。なんか、あそこで「え、お前、そういう奴だったのか」ってビックリしたんですよね。



これって、普段なら主人公ポジが吐く台詞なんですよ。自分の愛する妻と子供の為に、彼女達が暮らす社会(祖国)の平和を守るために、自分が命を懸けて世界の危機に立ち向かうっていう。

でも、そこで実際にやってることが、社会(祖国)の平和を脅かす可能性を秘めた致命的な真実を口外しようとした民間人の頭をぶちぬいて射殺するっていうね。

かといって、ウィリアムズがやったことは悪なのかっていうと、そうも言いきれない。祖国の社会的秩序を守るという意味では、おそらく善なんです。ウィリアムズ本人もちゃんと「家族の為」にやるべきことだと割り切ってますから。実際、私も、ウィリアムズと同じで、銃を持たずに散歩できる社会、ポリコレだとかなんだとか気にせず創作を楽しめる社会、千円以下で天丼や寿司を食いたい時に食べれる社会、頭が痛くなったらバファリンや葛根湯をすぐに飲める社会で、これからも生きていきたいですし。

けど、それって、主人公であるクラヴィスにとっては、自分がずっと抱え込んでいた罪悪感から救済される唯一の可能性(と自分が信じているもの)を断たれたに等しいんですよね。

結局、ある社会にとっての善悪と個人にとっての善悪は、全く違うのだと否応なく思い知らされた作品でした。

その上で、最終的にクラヴィスが何を選択したか……は、劇場版と小説版から、皆さんの目でお確かめください。

彼が何を抱え、何を苦しみ、何に縋り、何を求め、何を失い、その末に何を突きつけられた結果、あの行動を選択したのか。それを嚙み締めてください。

全てを読み終えた時、きっと、あなたも少し気持ちが和らぐことでしょう。ソファでピザを食べながら(--








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最終更新日  2024年08月08日 22時56分21秒
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