テーマ:読書(8606)
カテゴリ:三国志・水滸伝
※広告です。案件ではありません。
「若造が」 先生の本を読んでると、必ず、このフレーズが頭に浮かんでくる。若造が。 劇中の男が独り言ちているようにも聞こえるし、それを読んでる私が、そう言われているようにも感じる。 とにかく、先生の小説というのは、一言で言えば、そういうものだ。これは現代小説でも、時代小説でも、歴史小説でも、変わらない。多分、作中で一貫して貫かれている何かが、そう思わせるのだろうと思う。ある意味で、先生の本というのは全部「北方謙三」で、その強引さが好きで今も読み耽っているのかもしれない。本人にそう言うと怒られるかもしれないけど、実に作家性の強い作家だと思う。なにしろ、あらゆる題材が全て「北方謙三」になるのだから。エージェント・スミスもびっくりだよ。
そんな訳で、北方先生です。多分、人生で一番、影響を受けた作家さんなのは間違いないと思う。あと一番、読書に時間を費やしたのも。 ちなみに、今日は『水滸伝』4巻を読んだ。言うて、パラ読みだけど。 二十年前から何度も読み直しているので当然、大筋は覚えているのに、改めて読んでみると細かい所は覚えていなかったりして、実に浸れる。不思議なものである。そういう本が、ひい、ふう、みい……全部で五十冊ぐらいある。幾ら何でも多過ぎだ、『大水滸伝』シリーズ。大学時代の愛読書だった『三国志』全13巻が可愛く見えるレベル。まぁ、読むけど。 ちなみに、先生の本に初めて触れたのは、実家の近くにある玉川図書館で見つけた『三国志』2巻。何故、2巻からかと言えば、当時の私は『三国志大戦』で董卓おじいさま&董白にどっぷりはまってた頃で、とにかく、その辺りの関連書籍を図書館で読み漁っていたのだ。 残念ながら、北方先生の『三国志』に出てくる董卓おじいさまは低俗な悪党(というか、やられ役)でしかなく、そういう意味では期待外れだったのだが、代わりに、他のキャラが軒並、格好良かった。まず、呂布。劉備も、曹操も格好良い。二巻から初登場の孫策もまた格好良い。格好良い。格好良い。とにかく、格好良いの嵐である。そして、面白い。あっという間にメロメロになってしまった。 その後、図書館で全巻借りて読破したけど、それでも足りず、結局、社会人になってから全巻買い集めてしまった。ちなみに何冊かは一度、手放したけど、また、読み直したくなって買い直してしまった(お馬鹿)。 あれからもう20年近く経つ。早いもんである。 ちなみに最後に買ったのは、『岳飛伝』十七巻。『チンギス紀』は、まだ読んでない。というか、『岳飛伝』を自分の中で消化しきれていない感じがもやもやしてて、中々、手を出せないでいる。まぁ、縁があれば、いずれ読むじゃろうて。多分。私が死ぬまでには。間に合わなかったら、縁がなかった、ということで一つ。 さて、そんな北方先生の小説、いきなり『三国志』全13巻を読め、とか、『水滸伝』全19巻を読め、とは流石に言い難いので、個人的に取っつきやすいのを三つ紹介しておきます。なんかの参考になれば幸い。 ■棒の哀しみ 「もう、何も言わねえよ、川野。何も言わねえ」 裏社会で生きる孤独な中年ヤクザの物語。情事もあれば、抗争も陰謀もあるけれど、それらは、どれも小道具でしかなく、全て主人公・田中の主観、内面を描く為の材料に過ぎない。この本を読んだ時に、ようやく『三国志』や『水滸伝』といった歴史的題材をどうして、ああ言う風に描いたのか、描けたのか、なんとなく掴めた気がしました。なんとなくですけどね。 北方先生の現代小説は『捕獲』とか『檻』とか『抱影』など色々読んでみたものの、後にも先にもこれが一番好き。なんでかね。 ■黒龍の柩 「こんな時代だ。正しいことがなにかなど、誰にも見えちゃいない。だから、あんたはあんたなのさ。そして、俺は俺」 新選組の土方歳三が坂本竜馬や徳川慶喜、勝に小栗といった幕末の要人達と裏で結託し、内戦回避と蝦夷地建国に奔走するという歴史解釈&物語展開に舌を巻く。そこに至る過程として、時代の流れに取り残され消えていく新選組の面々、史実通り夢破れる蝦夷地建国など、時代の敗者となることを宿命づけられた人々の生き様に悲哀を感じずにはいられない。でも、好き。最後のオチに、思わずニヤリ。 ■血涙 「いい戦ではないか。楽しくなるほど、いい戦だ」 『楊家将』の続編にして後日談。 悲劇の英傑・楊業の息子達が運命の悪戯により敵味方に分かれ、互いの誇りと意地を賭け、壮絶に殺し合う。文字通り、血の涙を流しながら……。 『大水滸伝』シリーズで活躍する呼延灼、楊志の祖先達や舞台となる宋や遼といった国家について詳しく知る意味でも、おススメの一品。 後、余談ですが、少し前から、ラジオ番組を放送されていて、私も仕事の後にお酒をチビチビ舐めながら聞いてたり。
昔、エッセイで読んだ話もあれば、初耳の話もあるので、一度、聞いてみてはいかがでしょーか d(-- お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年09月10日 20時41分02秒
コメント(0) | コメントを書く
[三国志・水滸伝] カテゴリの最新記事
|
|