テーマ:最近観た映画。(40134)
カテゴリ:感想
アベマで無料放送記念に。20年ぶり……か、これ? ※広告です。案件ではありません。 「坊主、お前の未来。返すぞ」 100点のアニメ。不満がどこにもない。子供としては純粋に楽しめて、大人が見てもドラマとして、はっとさせられる凄い作品。 ……ただ、子供の時は分かりやすい敵役がおらず、なんかもやもやした気もする。悪役が分かりやすい『ヘンダーランド』とか『アクション仮面vsハイグレ魔王』の方が好きだった気も。そりゃ、そうだ。子供に、酒の味を分かれと言うようなもんやし。
要するに、子供でも楽しめるように味付けされてるんだけど、実体は大人特効な作品ってことだと思う。テーマ的にも、演出的にも。 今見ると、『クレしん』らしい下品さがちょいちょい受け付けないところはあるけれど、でも、その代わり、シリアスシーンが無茶苦茶、刺さる。その辺のバランス感覚が絶妙。 ぶっちゃけた話、この作品に悪人はいない。 勿論、子供目線だと、イエスタディ・ワンスモアは悪なんだけどさ。でも、それって相対的なものでしかない。客観的にみれば、未来に絶望し過去に戻りたい悲しい大人達と未来に進みたい無知な子供達の思想戦争なのだから。もし、これを悪だと決めつけるなら、革命も宣教も全部、悪になるよ。社会を壊す、思想を壊す、常識を壊すことを悪だというのならね。 責任を放棄してノスタルジーに浸り美しい過去にしがみ付いて現実逃避している大人達は傍から見ればグロなんですけど、でも、そこにあるのは悲哀なんだよね。もう戻れない、取り返せない、無知で自由で幸福で希望に溢れていた子供時代の幸せよ、もう一度……! それに対して、子供達は一方的に「無視するな!仕事しろ!飯作れ!(責任から逃げるな、現実と向き合え)」って返すんだから、そりゃ敵視もするわな。なんだてめー邪魔すんじゃねえ(==# ……結局のところ、彼らは「子供に戻りたがっている大人」であって、「本当に子供に返った大人」じゃないんだと思う。だから、子供達に対して攻撃的だし、疎外する。決して仲間として扱わない。本当に子供に戻ってるなら、子供達と同等で付き合える筈なのに。でも、それはしない。 だって、彼らは「本物の子供」じゃないから。 要は、ごっこ遊び。中盤で、しんのすけ達がスナックで大人ごっこするシーンがあるんですけど、あれの逆をやってるんです、大人達は。だから、車の運転は当たり前のように出来る(しんのすけ達は身長的に出来ないのに)。でも、攻撃手段は稚拙極まりないというチグハグさ。 子供達からすれば親が自分達の世話をしてくれる(社会的責任を果たす)のは当然のことだと言いたいし、間違いとは言えないんだけど、でも、大人達の視点からすれば「なんで、私がお前らの面倒を見なきゃいけないんだ!私だって自由に生きたい!仕事したくない!!遊びたい!!!」って思うのは、それはそれで自然なのよね。一個人としては。勿論、それは無責任なんだろうけど、一生、子供に縛られる親、社会に縛られる大人ってなんだろうね……。 この作品は、その辺をきちんと描いたうえで、決して説教臭いことは言わない。「大人は子供を守るものだ」とか、そういう理屈っぽいことは言わせず、「大人になる幸福」「明日を生きようとする意志」も描いて、こっちも捨てたもんじゃないよって、劇中の人々(と観客)に訴えさせる。「俺の人生は、つまらなくなんかねえ! 家族がいる幸せを、あんた達にも分けてあげたいぐらいだぜ……!」 この流れがね、本当に上手いと思う。 終盤、子供であるしんちゃんに懸命に走らせて、大人である自分達はエレベーターで楽々、昇っちゃった時点で負けなのよ。あそこで、ケンも汗水垂らして一緒に階段を駆け上がってたら、勝負の行方は分からなかったかも。けど、それが出来るキャラじゃないよなぁ……(^^;
やろうと思えば、本作と同じ内容を『ドラえもん』とかでもやれなくはないんだろうけど、やっぱ、『クレしん』だからこそ出来たネタだと思う。のび太のパパやママに、これやらせてもね。『クレしん』映画が野原一家の物語だからこそ味の出たネタ。逆に、『のび太の結婚前夜』とか『おばあちゃんの思い出』が出来るのは、SFである『ドラえもん』の方だから。『クレしん』でやる内容じゃない。それが作品毎の特色だと思うよ。 閑話休題。 リアタイ当時は気付きませんでしたけど、ケンのCVって津嘉山さんだったんですね。そりゃ、良い声だわ。渋い。渋すぎるぜ……! あと、みさえとしんちゃんの声、聞くと、どうしてても、パッフィーと菜織がチラついて仕方ない……だってさー、いや、どっちも好きなんだけど(^^;
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最終更新日
2024年11月03日 11時18分01秒
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