カテゴリ:競馬の話
2005年8月28日、私は小倉競馬場にナゾちゃんの応援のために来ていた。
到着したのは6R直前で、もう室内の席は空いてないだろうと外の座席でレースを見ていた。 その時に勝った馬に騎乗していたのが上村騎手だった。 私の後ろに大学生くらいの若者が3人座ってレースを見ていたのだが、彼らが思わず叫んだ。 「かみむらかよ!」 心の中で「違うよ、うえむらだよ・・・」とこぼす。 それほどに彼の知名度は低かった。 今年の夏だったか、「サタうま」という番組の企画の中で、上村騎手と小牧騎手が シャンプーハットとボウリングをするというものがあった。 そこで私は上村騎手が目を患っていて手術をしたこと、騎乗依頼が減少して途方にくれていた 時に橋口調教師が手を差し伸べてくれたこと、だから橋口調教師のために恩返しをしたいと 思っていることを知った。 (小牧騎手も同様に橋口師に恩義を感じていると語っていた。) スリープレスナイトはその橋口厩舎の馬で、父がクロフネだがどうやら父に似ず鹿毛だ。 「眠れぬ夜」という名がどういう由来なのか興味があったので調べてみたら、 黒船来航時の「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず」という狂歌に 由来しているのだそうだ。しゃれた名前だなぁ。 その彼女が上村騎手を背に重賞を連覇し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでスプリンターズSに 登録してきた。もちろん目指すは人馬共に初のGI制覇である。 レースはまさにスリープレスナイトの横綱相撲だった。 GI馬も牡馬をも蹴散らす圧勝だった。 向こう上面あたりで馬を止めた上村騎手は、愛馬の首筋を抱きしめ、顔を埋めてねぎらった。 馬止めまで帰ってきた上村騎手は、馬を下りると真っ先に橋口師に抱きついた。 その目には涙が溢れて止まらない。 計量に行くまでに何人もの騎手や関係者の方々と抱き合った。 沢山の人が彼のGI初制覇を祝福していた。 何故だろう、見ていて思わず涙を禁じえなかった。 奇しくもこの日は橋口師のお誕生日だった。 いい恩返しになったに違いない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月05日 18時36分49秒
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