秘密の原っぱの空に向って、きのうもきょうも、大声で歌った。歌詞などないから歌というほどのことでもないか。口から流れ出るに任せて、「あ」の音だけでメロディーをつないでいった。いつものオカリナと違うせいか、小鳥たちは静かだ。聴き入っているんだろうか、それとも羽で耳をふさいでいるんだろうか。朝の静けさの中を声がこだまする。目をとじて、両手を広げて歌うと、勇気がわいて声はどんどん大きくなっていった。どこまで届くだろう。音の高低にはある種の力があるような気がした。言葉のない歌だからこそ、気持ちが乗ってゆくのか。喜びも寂しさも、いろんな気持ちがひとつになって、メロディに乗って広がってゆく。2、3分も歌っただろうか。生意気にも十分に歌い切った気がして、そのまま静かに立っていた。閉じた目の中で、空の友が微笑みながら拍手をしている。よく見ると、大勢の友がいた。みんないっしょに、聴いていてくれたんだ。
空があるように、あなたといたい。
山元加津子「宇宙の約束」
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 24, 2007 03:56:00 PM
もっと見る
|
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
エラーにより、アクションを達成できませんでした。下記より再度ログインの上、改めてミッションに参加してください。
x
Profile
kazesans
風の吹くままカメラマンのこころの旅日記
|
Category
(58)
(214)
(54)
(36)
(11)
|
|