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午前1時45分に僕を含む13人を乗せ離陸したこのB-29は、ちょうど日本の『四国』という島に差し掛かっていた。 ここまでの道のりは穏やかで、幾分居眠りをする余裕さえあった。 爆弾倉の入り口に呼び出しがかかり、中でこれから投下準備作業を行う為の警固に当たってしばらくすると興奮気味にパーソンズ大佐とモーリス・ジェプソン陸軍中尉、フィアビー少佐が出て来た。 三人とも無言で出てきたが、顔には安堵の様子が伺える。 「ご苦労だが、このまま目標地点に入るまでここの警固を頼む。」 パーソンズ大佐は僕ともう一人兵士にそう言い残して立ち去った。 警固にあたっている僕の反対側に立っているのはどうやら1階級下の1等兵のようで、残されてしばらくの後僕に小声で話しかけてきた。 「無事にこの作戦が終われば、私達は『銀星章』もの間違い無しでありますね…。」 少し根拠を理解できないで居るふうの僕の顔を見て彼は一言付け加えた。 「ぃぇ…ただ昨夜『銀星章』という言葉をジェプソン中尉とフィアビー少佐の会話から漏れて聞こえてまいりましたので…。」 それ程の『大作戦』ということなのか…。 そう思いながら爆弾倉の扉を振り返った時、機内放送がかかった。 それは、機長のディベッツ大佐の声だった。 「諸君、我々の運んでいる兵器は世界最初の原子爆弾である」 その時の僕は、未だ『原子爆弾』というものが、どんな爆弾なのか全く知らなかった。 広島原爆投下まであと1時間15分…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年08月06日 19時48分24秒
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