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もう6-7年前になるのには驚くが、2年ほどNYのハドソン川をフェリーで通勤していたことがある。ちょうど9/11の後の年からで、まだWTCからJersey Cityへ行く地下鉄も修復中だったため、Midtownからフェリーで通わざるを得なかった。
冬のハドソン川は特に印象的で、川上から流氷が流れて来る。大雪になると、ほとんど川が氷で覆われて、フェリーは砕氷船よろしく氷を割りながら進んでいく。夜暗くなるとまるでタイタニック号に乗っているようなもので、何があってもおかしくないような気がしてくる。今考えるとよくそんなところを毎日通っていたと思う。 5月16日にBS2で放送されたBBC制作の「ハドソン川 奇跡の着水」を録画していたのを今朝やっと観た。全員救出されたのが信じられないほどの事故だったとは聞いていたが、見れば見るほど奇跡と言える。機長の冷静な判断はニュースでも何度も報道されていたが、冷静に最後まで全席を見て乗客が残っていないことを確認してからボートに移ったというのだから恐れ入る。 着水後の救出劇でも十分犠牲者が出る可能性があったはず。機体が沈んでいたとは言え、あの冷たい川に飛び込むというのは相当の勇気が必要だっただろう。機内で先頭付近にいたため、先に川に飛び込まざるを得なかったそういった乗客をボートに連れ戻した後、先の機長は自らのシャツを譲ったのだという。 乗客の中には親子で乗り込んでいた人がいて、しかも満席だったため隣の席ではなくずいぶん離れた場所に座っていたため、救出後もお互い生存がなかなか確認できなかったらしい。この父親は着水前に子供が幼い頃の姿が頭に浮かんだそうだ。他にも、着水前には何人もが携帯電話でメッセージを残したり、メールを発信したりしている。 当然のことかもしれないが、いわゆる"life-changin experience"で話をしている乗客が皆今生きていることを感謝していた。この奇跡を「生きることを選んでもらった」と恩義を感じ、何か社会に貢献しなければいけないと感じる、と言う。中には「今の仕事をしていて良いのか」とさえ考える人がいたらしい。 こういうドキュメンタリーに関してはBBCはいつも良い仕事をしていて、今回も日本のよくあるドキュメンタリーのようにナレーターが思わせぶりな語りを入れるのでは無く、乗客や関係者に語らせることでこの事件がいかに複数の奇跡が重なったかを視聴者に効果的に訴えかけている。こういう構成は出演者自身の語りのレベルが高くて初めて成り立つのかもしれない。 また再放送があった時にはぜひ 「ハドソン川 奇跡の着水」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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