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DJ Kennedy/life is damn groovy

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June 8, 2006
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カテゴリ:Just Chitchat

今夜は、とても良い夜だった。
知人のお誘いで、我が家から車で1時間程の千葉県松戸市にある「21世紀の森」というそれはそれは大きな公園で催された「蛍の夕べ」を楽しんできた。

蛍というと、私の中では、独立記念日辺りから暑い夜、しかもだいたい午後8時から8時半の間のみのちょっともったいぶったショーを披露し、8時半を過ぎると見事に全員森へ帰ってしまう、とても大切な夏の風物詩であるものだから、6月の初めに見られるなんて、夫も私もかなり不思議な気持ちでいた。

7時半頃に現地に着き、入り口を抜けて広くゆるいスロープを下りると、全く電灯のない森の道へと入って行く。子供連れの家族や若いカップル、仕事帰りにスーツのままで待ち合わせる夫婦など多くの人で賑わっており、足元はおぼつかないもののゆったりとしたペースで歩くことができ、ちょっとしたお祭り気分だ。

途中、既に帰路を進む年配の男性グループが「蛍より人の数の方がずっと多いよ」と誰に言うでもなく苦笑し告げて行って、私達を含む「これから組」のかたまりは「あー、やっぱり」とその言葉に一瞬疲れが出た。

しかし、2,3分歩くと進行方向右側、深い森の手前に、見たこともないような光が、一つ、二つ、漂っている。

これは、何故?

私がこれまでアメリカで見てきた蛍は、光る時間は1秒足らずで光はオレンジに近いイエロウだ。でも今、そこここでその小さな存在をアピールしている灯火は、とてもはかなく青白く、それでも2秒程も光るのだ。色を失ったような空と森を背景に、モノクロのフィルムでも観るかのような色合いで、蛍はとても美しかった。

さっきの男性はシニカルなことを言っていたが、蛍は相当数おり、暗い森を舞台に、いくつもの星座を描いていた。

高い木々の間から見える空は、意外にも明るくて、今すぐ絵の具でその色を出してごらんと言われても、同じ色はなかなか出せそうにないなと思った。その印象も私には強烈で、その空をふら~っと飛ぶ蛍が何故かとても羨ましかった。

帰り道には、新たに私の身体がとても喜んでいることに気がついた。呼吸をするたび、酸素の中に詰め込まれた命みたいな、健康な緑の香りが胸の奥へまっしぐらに舞い込んで来るのだ。ひんやりとした瑞々しい空気、けがれのない自然の優しさを、あの場にいた全ての人が繊細に感じ、森に感謝できると良いのにと、どうしてだろう、少し悔しい気持ちで夫に訴えた。夫は、ニューヨークの家で夏の夕暮れ、窓から入る風の香りに似ていると、何度も深呼吸して懐かしんでいた。

短い時間ではあったけれど、人の思惑やお金のにおいのない、とても和やかな夜を過ごせたことを幸運に思った。

ただ、今も分からないのは、せっかくきれいな夜を与えてくれている蛍を、小さな子供をせかして捕らせようとしている親が多かったことだ。

蛍が地上で送る時間は、たった14日だと言う。本当なら、その儚い一生を子供と同じ目線で見つめ命あるものに愛を持って接する心を育んであげる絶好の機会であるはずなのに、「ほら、そっちじゃないよ、すぐそこにいるじゃない!」と大声張り上げ子供を煽り、小さな手の中におさめた蛍を母親に見せようと近づけた途端「こっちに持ってこないでよ~」と逃げる。何の意味もないじゃない。

彼女には、できることなら、ただただ「きれいだねぇ」というシンプルだけど優しい言葉を子供と一緒に繰り返し、自然の中に生きる姿こそが美しいのだと諭してあげて欲しかった。





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Last updated  June 9, 2006 01:03:26 AM
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