DJ Kennedy/life is damn groovy

　　　



ハワイ時代の友人からの小話。


彼女の友達アリスが、ミシシッピからニューヨークに越して来た。
しばらくは家の片付けに追われ、気がつけば愛猫チャンプの毛が伸びている。
ふさふさの毛がトレイドマークのチャンプだが、ミシシッピと違ってここはNY.
この子も少しはおしゃれさせなくちゃ。アリスは大急ぎでトリミングを探した。

これまで暮らした田舎町と違ってNYのサロンはとてもスタイリッシュ。彼女は大いに
喜んで、でもいつも夏が来るとそうしているように「ライン・カットでお願い」と頼んだ。
ラインカットとは、毛をシャギーにそいで、ボトムラインを揃えた、人間で言うと
グラデイション・ボブのようなスタイルだと言う。

2時間後、サロンからの電話で息を弾ませ迎えに行ったアリス、一瞬目の前の猫を
チャンプと分からなかった。「うちの子はどこ？」「は？この子ですけど・・・」

アリスはみるみる泣き顔になった。「ライン・カットって言ったじゃない！」
スタイリストもここはプロの意地、そうそう簡単に譲るわけにはいかない。

「ちゃんと言われたようにしたじゃない、ほら！どこから見てもライオン・カットよ！」

ら・い・お・ん？　アリスは一瞬かたまった。私はライン、と言ったのに。

悲しいかな、アリスの南部訛りがNYのスタイリストには「ライオン」に聞こえてしまったのだ。
できることなら元に戻してあげたい、戻して欲しい。けれどもどう考えたって、これが元に戻る
には、おそらく冬を越さなければならないだろう。秋になったらスウェターを買ってあげようと
決めた、アリスだった。

チャンプは今、百獣の王として・・・・・うらめしそ～に、人間を見ている。

　
　　　　　　　　　　　　　　　　



今夜は第4回、DJ Kennedy&楽しいロック野郎sの選ぶ春のSoft Rocks.


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