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DJ Kennedy/life is damn groovy

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March 18, 2010
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カテゴリ:Homesick



  STPD033.jpg




夫と居る限り決して忘れることのない、St. Pat's Dayの思い出。


私の親友に、とびきり男らしくハンサムな、本当にDenzel Washingtonも
マッ青のイイ男がいる。そのカートは、勉強もバツグンにでき、学生ながら
鍛え抜かれたバディも美しく、実はかなりの私好みだったりした。



            DW.jpg



出会って間もなく一緒に遊ぶようになり、食事や学校帰りのお三時、ドリンク、
映画、お買い物、週末に宿題がどっさり出ると、泊まりに来たりもしていた。
程なくセバスチャンも合流し、私達は一緒にいてとても楽しかった。

そしてある時、ふと思った。セバスチャンと私が二人で出掛ける約束をすると
例え他に用事があってもカートは着いて来た。私は実は、少し自惚れた。
それどころか、セバスチャンとカート、どちらを選ぶか夜中になるとひとりで
妄想三昧、顔からマグマが大噴出の愚かなおめでたさが連日炸裂していた。


3月に入ると、セバスチャンと私は、気がつけば毎日会っていた。本当は
別に恋人がいたのだが、セバスチャンとの時間を作る為にその彼と別れた
あたり、私の本気も伺える。



      2036.jpg



ある日の深夜、というより明け方に近かったと思う。電話の音に飛び起きると、
相手はカートだった。

「どうかしたの?」

こんな時間の電話に「ハ~イ!」なんて能天気な人間などいない。私は
不安で心臓がばくばくし、体調の異変か、事故や事件に巻き込まれたか
(当時のNYは現在のように安全ではなかった)、とにかく勝手に先走り、
彼に話をさせないでいると、

「待てよ、そんなんじゃないって」

彼の声は落ち着いている。だったら何だというの?こんな時間に人を叩き起こして。

「うん、今思い立ったから言っておく。そろそろ決着をつけないか?」


*毎回のようにこんなくだけた話ばかりしており、おそらく多くの方がKennedyは
  どんなワルかとお思いかと心配なのだが、本人子供の頃は見事なナード(Nerd)、
  現在に至っても未だドラッグ・フリー、タバコ・フリー、ドライバーズ・ライセンスだって
  日本で言う「ゴールド」であるので、どうか誤解のなきよう・・・と必死なところがまた
  怪しさを助長している気もするが。


St. Patrick's Dayの夜セバスチャンが迎えに来ると、二人でダウンタウンへ向かった。
カートが一緒でない意味はまだ、その時点では分かっていなかった。とにかく現地集合、
9時半に間に合わなければ10時半には席に着いておくように、という不可解な話だった。


セバスチャンは場所を聞かされており、店のドアの前に立つと、大きなスーツの男性に
私だけ「おまえはだめだ」と言われた。「私21を越えてるけど?」そう対抗すると男性は
私を見て「ふっ」と鼻で笑う。子供に見えるのだろうか?セバスチャンが「カートの友達
なんだ」と言うと何故かあっさり通してもらえた。店内はゴシック系のインテリアがちょっと
悩ましげな、でも人で溢れかえっていてもどこかしっとりとした空間が気に入った。




     greenfacedwith.jpg



運命の?10時半が来た。
店の奥、ベルベットのカーテンがすばやく開き、"Happy St. Paddy's Day!!"と大声で
叫びながら何体もの、いや何人もの緑色した怪物たちがぞろぞろと現れた。後で聞けば
この日に因んでオズの魔法使いに出て来るあの魔女のコスプレで登場したのだと言う。

けれど、どう見ても魔女というより20人のシュレックだ。



          schrek.jpg


そして、シュレックの中に見覚えのあるIncredible Hulk(超人ハルク)が1人いる。
あれはカートだ。ハルクは、いやカートは私達を見るなり笑顔で近付き、「あなた達、
アイリッシュじゃあないわね?」とニンマリすると、私の頬にはグリーンのペイントを
指でこすりつけ、横に座るセバスチャンには、そのペイントを自分の唇に塗りたくり
彼の頭を押さえつけいきなり濃厚なキスをお見舞いするではないか。



           incrediblehulk.jpg


まぬけな私はここでようやく気が付いた。カートの言った「決着を着ける」とは、私を巡る
セバスチャンと彼の間のことではなく、彼と私のセバスチャン争奪戦という意味だったのだ。
彼は今、私に向かい不敵な笑みを浮かべて「女の闘い―Woman to Woman」と言った。
何と宣戦布告。私の胸はにわかにざわつき始め、もうここは酔って全てをぼやかすしかなかった。




幸か不幸か、私に軍配が上がった。



だから言うわけではないが、私は清々しく感じたのだ。あの夜どういったかたちでも、
セバスチャンの為にカミングアウトしたカートはやはり男らしい、いやこれぞ女の潔さ。
そして真剣な思いを伝えたであろう彼の誠実さにも。またあれから随分経つけれど、
その時のことを決して私の前で口にしないセバスチャンの男気もなかなかであると
我夫ながら私は感心している。

ただ妻としては、今も「私の愛のメサイア」と夫に投げキッスを送りながらこちらに向ける
カートのあの不適な笑みには正直微妙。


私達が結婚すると、今や「彼女」となったカートがお祝いのパーティを開いてくれた。
が、その時のコスプレは20人の老婆。クリクリのグレイ・ヘアに老眼鏡をかけ、
それはどうも、女は老いれば「こう」なるぞ、あんたホントにこの女でいいのか?
というカートの、往生際の悪いメッセージが込められており、結局私達が結婚した
ところで、カートと私の女の闘いに終わりはない。




Blondie.jpg WildCherry.jpg 5000 Volts.jpg Sylvester.jpg



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Last updated  March 19, 2010 01:08:13 AM
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