DJ Kennedy/life is damn groovy

　　




日本で観たことはないのだが、アメリカではひとつの番組を「マラソン」という
呼び方で1話から最終話までを何度も通して見せることがある。最短でも
12時間は続き、場合によっては翌日もその番組ばかり流れていたりする。


カウチポテイト（ポテイトチップスを抱えてカウチ＝ソファに座りじっとTVを
観ているような人）にはたまらない夜が来る。私の友人にも表彰したいくらい、
TVドラマのマラソンを予告で知ると数日前から食べもの・飲みものを蓄え
その日に備えて仕事も残さないというキング・オブ・カウチポテイトがいる。


因みに彼は科学者だが、日頃大学にこもって研究を続けるならリフレッシュは
パークでフリスビィでもすれば良いのにと言っても、これが一番のストレス解消
なのだと返されてしまった。





　　　　　　




Pleasantvilleは、Classic Sitcom（昔のコメディ・ドラマ）と90年代に生きる
兄妹の、目覚め、自我の確立、成長、旅立ち、そんなものを描いている。


この作品は、Tom Hanksの"Big"を作ったGary Rossが脚本・監督をしたファンタシィ。
それを知って、楽しみに映画館に行った。


私は普段、映画館へはひとりで行く。涙を流す映画だとメイクが崩れてしまう
からというのが最初の理由だったのだが、徐々にひとりで映画を観る心地良さに
味を占めてしまった。


ところがこの映画だけは最初にひとりで観て、両隣に座った、やはりひとりで来て
いた観客達（どうも映画館では、ひとりで観る人達がかたまる傾向にあるらしい）
と「よかったね、ああ、最高だったよ」と良い気持ちの涙を流せたという経緯が
あり、あとから夫に声を掛けて一緒に行ったのだった。この映画なら、観た後で
する話もCozyで良いだろうと思ったのだ。




　　




変化・自由・新生・再生・成長・門出。勿論それだけではないのだが、心の奥で
目覚められないでいる勇気だとか元気だとか、そんなものを求めている時には
少なくとも小さじ1杯分くらいのスパイスとなってくれる、まさに春のような映画。


様々な社会的メッセージが織り込まれているにも関わらずそれらを強引に伝える
ことはなく、むしろコミカルに、和やかに、優しく感じさせるところもこの映画を
好きな理由だ。押し付けがましい映画は楽しめない。


映像も、色彩の変化と作品のテーマが結ばれている為にどのシーンもとても美しい。
好きな場面は数々あるが、開始から1時間6分の、BudとMargaretのドライブシーンは
本当に夢心地。あんな場所を見つけたいと思ってしまう。



4月をバックグラウンドにした、4月らしい、何か心に新しい息吹を
送り込んでくれるお話。




　　　　　　　　　




例によって、ネタバレよりもキーワード。

Pleasantville / 邦題「カラー・オブ・ハート」(1998)　（全編/英語）

Part 1　　　Intro　プレザントヴィル・マラソン

Part 2　　　兄妹チャンネル争い　プレザントヴィル　1958年4月　

Part 3　　　TVで観るままの世界　小さな変化　

Part 4　　　色　広がる変化

Part 5　　　TVの世界が　自由

Part 6　　　コンフリクト

Part 7　　　人々の意識

Part 8　　　大きな変化

Part 9　　　偏見　差別

Part 10　　　権利　希望

Part 11　　　Finale



高評価の同作品サウンドトラックから



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