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DJ Kennedy/life is damn groovy

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May 10, 2010
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カテゴリ:Just Chitchat
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「まずはお酒が美味しくなりますよ、グリルドチキン・ハニー・ボルサミック・ソース」


そう言うは地獄のシェフこと我父である。ついに、出たか。


母の為だ、今日はノリノリで行くしかない。「パパ、今夜はどちらのお料理?」
「おお、よく聞いてくれました、今夜はイタリアンね、ママがトメイトを好きだから。
まぁ、温かいうちにおあがんなさいな」


とは言うものの。目の前には、グリルしたチキンにこげ茶色のソースが絡めて
あり、サイドにはそれはそれは、茹でてマヨで食べたらどんなに美味しかろうと
思われる新鮮なアスパラガス(が同じソースで絡まっちゃってる)、トメイト、ポテイト、
スクウォッシュのガーリック・ソテー。別のプレイトには魚介とルッコラのカルパッチオ。
それから、昨日作っておいたというチーズのパイもあった。これは父があるレストラントの
シェフから教えて頂いた(から当然美味しい)母の大好物。写真を撮ればよかった。


父は、ドレッシングだけはとても上手で、殊にカルパッチオのソースはいつも
とても美味しい。この夜は、母の希望で3種類のシトラスを使った甘酸っぱい
ソースで、爽やかな酸味が初夏らしかった。見た目もとても華やかで、ここでも
父は「どう、見てごらん。きれいじゃないの。パパはアーティストだなぁ」と。


なかなかのカルパッチオの先には、ついに。
母、セバスチャン、私はよし!と悪人どもとの対決に挑むが如く、目の前の
プレイトに取り掛かる。ふむふむ、お野菜は、良い。父にしては上出来だ。が。
やはりDaddy Chefは私達を裏切らないのである。チキンのソースの、甘いこと。
ダイニングルームに響き渡る父の鼻歌。デイヴィッド・ラフィンか何かを歌って
上機嫌だ。方や、どう考えても、チキンともアスパラガスとも合わないこの過剰に
甘いダークなソースに食が進まないのである。




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ご大層な名前のそのチキンのお味を説明するなら、まず「甘い」そして「ただ甘い」
母、夫、私の共通する見解は「ハニーの入れ過ぎ」そして良い具合に利けばなかなか
美味しかったであろう、ボルサミック・ヴィネガーの酸味がすっかり飛んでしまって、
かえって甘さばかりが引き立っていた。そしてワインの火の通し方もイマイチで、
アルコールがチキンに浸透してしまっているようだった。


いや、私達は皆父を尊敬しているし、彼は話をしてもかなり楽しい人物であるので
一緒に食事をするのは大好きだし、決して父を小バカにしようなどとは思っていない。
大事な大事な父である。が、どうしても、本当にどうしても父の料理に着いていくのが
ツライのだ。


すると追い討ちを掛けるように父が出て来てこう言うのだ、「さて今夜のお料理は
どうかな」この場合、父の中では答えが決まっている。「パパ、最高!」可哀相な
私達には、自由な発言権などないのである。なのに続けてこれも必ず言ってしまう、
「あのね、正直に言ってね。パパは味見もしてないの。プロ並みとは言え素人だから」
そう。父はプロ(だって味見はするしレセピも絵を入れてしっかり書く)気取りで
味見もしなければ、ナント残酷なことに、自分は絶対に自分の料理を口にしない。


よーし、ここは唯一、父の弱点である私が皆の代表として、この苦悩を訴えてみよう
ではないの。ママ、セバスチャン、私が今、あなた方を自由な味覚の世界へ誘うわ!


「そうねぇパパ、イタリアンのディッシュにしては、甘さが強いかも知れないよ」


しかし。Daddy Chefは絶対だから、娘の一言も一蹴する。「そりゃそうでしょ。ハニー
を使ってるんだから。ハニー(=母)の為にハニーで味付けしてるんでしょ、分かる?」


分かる?って、パパ。
もう何も言うまい。父の気の済むようにさせるしかない。いや、それはいつもなのだが
今夜は母のお祝いだと言うのにこの料理を「美味しいわ、パパ」なんてお世辞と一緒に
飲み込まなければならない母が不憫でならなかった。が、とにかくこの場は私達夫婦が
何とか乗り越えて、いや盛り上げていくことが何より母の為。可哀相なセバスチャン、
「美味しいよ、パパ」と言ったが最後、「そうかね?さすがセバスチャン分かってるなぁ。
じゃあYouには特別におかわりね」ええ?それはいくらなんでも酷過ぎるよ。可哀相に、
彼の大食を計算に入れて大量に作っておいた「地獄のグリルドチキンなんちゃらソース」を
セバスチャンは、私達の倍量平らげなければならなかった。
(深夜彼は、大正漢方胃腸薬を飲んでいた。)


母と私はこっそり彼に「ごめんね」と手を合わせると、ふにゃけた笑いで「いいのいいの」


父の罰ゲーム、いやディナーがようやく終わり、私達が持っていったイチゴのシャーロットと
パステルカラーのマカルーンでお楽しみのコーヒー・タイムがやって来た。ケーキの上に
載った、ピンクのチョコレイト(甘酸っぱいレモンの風味)でできたカーネイションがそこここに
散りばめられ、それをひとつひとつ丁寧にピックすると、父はいちいち「はい、プレゼント」
「はい、お嬢さん(みのもんたみたい)」と声を掛けながら母のお皿に移していた。


実家に行くと恒例なのだが、ディザートが終わると、ダイニングルームから、普通は
リビングルームへ移るのだろうが、我が家では父の書斎へ行く。ここには古いレコードが
まるでレコードで壁が作られているくらいに並べてあって、どんなカフェより良い音楽に
出会うことができ、良い音楽はコーヒーの味も引き立ててくれる。




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そして、この部屋でコーヒーを飲む時のメイン・イベントとなっているのが、老夫婦による
彼等の青春物語である。半ば無理やり聞かされるのだがこれ、けっこう楽しい。昨夜は
二人のなんと「麻雀談義」だった。


今の今まで知らなかったのだが、父に麻雀を教えたのは母なのだと言う。一瞬驚く。
何でも母は、子供の頃に中国人の友人家族から伝授されたのだそう。彼女は港区、
当時はまだ麻布区と言ったらしいが、麻布で生まれ育っており、実家界隈には各国
大使館や外交官の家が立ち並んでいた(今もそう)。そんな環境での少女時代なので
話を聞けば納得したわけだが、それにしても少女の雀士?ファンキィである。夫などは
「ママのファミリーはマフィアの出身か」と徐に尋ねて爆笑を誘っていた。


そして、麻雀の話になると、もう私達夫婦の参加できるパートはない。聞き慣れない
中国語?が飛び交う。キャンニャンリャン・シャンピャンリー(こんな風に聞こえた)。
何の話をしているのか私達にはひとつも理解ができず、仕方が無いので地獄の
ディナーのお口直しにお菓子を食べたりしていたが、彼等は一向にお構いなし。


セバスチャンが父のコレクションからリトル・ミルトンを選んで二人で踊り狂っていようが
いつまでも二人で盛り上がり、時折私に「コーヒーおかわり」娘をウェイトレス代わりに
こき使いしまいには「いいねぇ、二人が居てくれると動かなくて助かるわ。毎日母の日
だと嬉しいなぁ」といい気になっていた。


けれど、私はそんな母ののんきは言葉に、楽しそうに会話する両親の様子に、そして
一生懸命彼等の会話に入ろうとするセバスチャンの素直さにも、感謝が溢れ出た。
私の幸せの根元はここ、家族にあるのだと再認識できてとても幸せだった。


家族は居て当たり前。私は、正直に言うと、母や父がこの世から、私より先に
いなくなることなど考えもつかなければ、そんなことは有り得ないと思っている。
おそらくそういった現実に対する恐怖からの発想なのだろうが、こんな日でないと
家族の有り難味やいつまでも両親と共に笑い合える幸福感など、改めて実感
することはできない。しかも成人して、家族という、人が初めてその身を置く小さな
社会の外に出れば、新しい社会の中で生き人間関係を築いていくわけだから、
そうそう家族を中心に考えることなどできなくなって、家族、殊に親への感謝を
伝える機会など激減してしまう。ましてやこの年齢になっても子供の頃と何ら
変わらず両親に甘ったれている私だから、普段の分まで思いの強さが押し寄せる。


そうか、母の日、父の日は、勿論感謝の日であるわけだけど、家族の絆をもう一度
確認する為に設けられた日でもあるのかも知れない。


何にせよ、これが今年の母の日で、これが私の、愛すべき母と父である。



 Daddy Chefの鼻歌はこれ。    もう踊るほかない私達はこれ。 
  DavidRuffin.jpg        LittleMilton.jpg

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Last updated  May 11, 2010 02:45:00 AM
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