DJ Kennedy/life is damn groovy

つい先日、3月にお話したエンペラー・ゴールドの件でドレイクから
一報が入った。


「もしかして、俺が見つけちゃったかもよ、例のビア」


彼も親友に気を回せるところを見ると、どうやら今回の婚活はうまく
いっているのだろうと思いつつ、彼の話を聞いてみると、そのビアは
現在中国の富裕層にかなり人気があるのだそう。


「同じ名前だった？」

「俺は中国語なんて分からないもん、名前が同じかどうかなんてなぁ。
　ただ心当たりがあるって言われただけなんだけど」


とにかく、ひとつでも欲しかったエンペラー・ゴールドの情報だ、
10年の時を経て再会近しか？


「仕事先の知り合いに聞いた話だけど、今度もっと詳しく聞いとくよ。
　おまえ、次（NYに）帰ってきたらダニエルズ（NYの四つ星フレンチ）1回な」

「いいよいいよ、2回でも3回でもOKよ」


いつになくドレイクに頼り甲斐を感じて私は次の報告を待った。




　






早くも翌日、彼から電話で「これからFAXするから、心して待て」と言う。
私はもう、気が気ではない。もしもあの時のバーテンダーがこのビアで
ビジネスを成功させ、今や中国を代表するビアに成長していたとしたら？
そうしたら、私達はあのビアの、最初のウィットネスと言えなくも無い。


なんだか急に胸が騒いで、ドレイクからのファクスが流れて来た瞬間に
私はそのラベルか何かを見て何と言おう、「やあ、こんにちは」が良いか
「久し振り」か、「君も出世したな」こんなこと言えやしないが、とにかく
一刻も早く再会し、すぐさまセバスチャンにテキスト（携帯メイル）しよう！
そう思っている時、電話がファクス・モードに切り替わった。


ドレイク、よくやってくれたわ！


なあんて言葉、軽々しく口にするんじゃなかった。ドレイクはやっぱり
ドレイクだった。


いや、ドレイクの責任などではない。彼は私が10年以上も追い求めている
このビアを、いつも心の片隅に貼り付けてくれていたのだから。けれど
私は、ファクスが流れた時、つい"No Way!!"(うっそー）と嘆いてしまった。


ドレイクは、彼の専門である株式投資に関する事項以外に中国はもとより、
日本の知識もゼロだ。日本語を話す私が友達にいたって、私は彼に日本語を
教えたことなど1度もないし、日本の話も殆どしない。学生時代の友達なんて
そんなものだもの。互いの共通した興味で盛り上がるくらいのものだもの。
仕方がない。それに、私達はそれでずっと、ハッピーなフレンドシップを
キープしてきたのだから、彼を責めるのは間違いだ。


いや、そんなことよりファクスの内容である。


それは確かに中国語で書かれたラベルだった。


「三宝楽碑（←部首が違うがこんな字）酒」


見たことも聞いたこともない名前、文字。


エンペラー・ゴールドとは名前が違う。いや、売り出すまでの行程で
変えられた可能性だっていくらでもある。しかし、決定的に私を落胆させた
のは、その文字の少し上に、それより何倍も大きく書かれたローマ字だった。





「SAPPORO」





なんだぁ、日本のサッポロビールじゃん。って感じである。


「ドレイク、これね、日本のビアなのよ」

「へ？中国のだって言ってたよ」


けれど、どう頑張ったって日本の、しかも日本を代表する老舗麦酒なのだ。




　
　　　　　　　　　　　　　　Oops!　これはNY生まれのブルックリン・ラガー




こんなあっさりした結果で良いのか。ドレイクに詰め寄りたい気持ちを
必死に抑えて、「また何か分かったら教えてもらえる？」とだけ言った。
それから勿論、Thank you.も。


昨日、知人に尋ねたところ、どうやらこれだと言うことが判明した。




　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なるほど。



夢と言うのは現実にならないから夢なのか。そんなことはないと
信じながら、また明日からエンペラー・ゴールドのチェイスを私は続ける。



みなさんも、もし「エンペラー・ゴールド」という名前の中国産ビアについて
何かお知りになられましたら、DJ Kennedyまで是非ご一報ください。

I'll be waiting!　　　　　　Love, DJ Kennedy




深夜のビアならSlow Jamに限る。

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