DJ Kennedy/life is damn groovy

今年のValentine's Day、あなたはどんな風に過ごしますか？もうプランはある？




日本では一般的に、女性から男性への愛の告白として贈り物をするけれど、2月14日の
その日に愛する女性へ思いを伝えようと言う勇気ある男性はいるだろうか。






Geraldは、私が学生時代に家庭教師をしていた時の生徒さんで、当時小学5年生だった。
彼は同じクラスのLindaを好きになったと、ある日お稽古中に相談を受けたのだ。



「Lindaに好きだって言いたいんだけど、KateだったらValentine's Dayに何が欲しい？
　何をあげたら喜んでもらえると思う？」


「私はお花が嬉しいな。女の子は誰だって、きっとお花をもらうのが嬉しいと思うけど、
　あなたが彼女を思って選んだものなら、きっと何でも嬉しいよ。ただ、考えてみて。
　プレゼントよりも何よりも、気持ちを伝えることが一番大切よね」



彼は、普段はとても活発だけれど、急に無口になることがある。少しシャイだ。



「そうか、そうだよね・・・」



Lindaに好きだと言いたいのに、実際告白しようと彼女の前に立つ自分を想像しただけで、
Geraldはもう、頭を抱えて机に突っ伏した。ああ、これはだめだ。ここで先生の助け船。
お手紙はどう？の言葉に彼は肩をぴくっとさせて、それから起き上がると可愛い笑顔。



「いいね、それならいいかな」



が、5分も経たないうちに「やっぱりどうかな、かっこ悪い気がする」と弱音を吐く。
まだ小学生だと言うのに、相手の為に、自分がどうあるべきかとも真剣に向き合っている
この子を私は、とても大人だなと思ったのだった。勿論していることはとても幼いけど。



結局Geraldは2月13日、Valentine's Day前日ぎりぎりまで迷って迷って手紙を仕上げ
明日の為に選んだピンクと白のストライプが愛らしい便箋に清書して、チョコレートは
週末に買っておいたという、小さな花束がついた赤いベルベットの箱入りを見せてくれて、
なんと私には、丸いボックスのチョコレートと、ハートのクッションを抱えたくまの
ぬいぐるみをくれた。



「じゃ、頑張ってね」
「え？まぁね」



と鼻先を可愛くふくらませた彼を私は夜、寝る前に思い出して「どうか明日、あの子が
うまくできますように」とお祈りなどしてしまった。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　?Be My Valentine?
　　　　　　　　　　　　　　　





翌週のお稽古。別段いつもと変わりないGerald.こちらから聞き出すのも、と少し心配しつつ
勉強を始めた。そうしておそらく彼も私に話すタイミングを窺っていたのだろう、算数を
終えたところで上目遣いに言う。「聞かないの？」



話し始めると、彼は水を得た魚のように生き生きと瞳を輝かせ、手紙を彼女の前で読んだ
こと、彼女からプレイデイトの誘いをもらったこと、次の週末に二人でモールへ行く約束を
教えてくれた。初めての恋、初めての告白、初めてのデイト。もう少し甘酸っぱい思い出も
二人の中で生まれたかも知れない。そしてやがてこの恋は彼等の成長の栄養というかたちに
変わって行ったかも知れないが、きっと今も心の中に、一番イノセントな思い出として
きらきらと輝いているに違いない。




お裾分けをもらった私も幸せ。
ただふと自分を振り返ってみた。家族以外で生まれて初めて"I love you"と言った相手は
誰だっただろう。同級生や幼馴染に覚えはない。ああ、そうだ。毎夏教会のキャンプでしか
会えなかった、イギリス人の牧師先生だ。限られた時間の中で、毎日の聖書の話をうっとり
瞬きもせずに聞き、キャンプの最終日にほろりと涙をこぼしながら伝えたのだ。その時私、
6歳。ほほう、小娘渋好みとはなかなかやるではないか。






Puppy Loveは歌も可愛い。大人になって聴いてもキュンとなる。

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