DJ Kennedy/life is damn groovy

　



　　　　　　　




CNNで放送されている美しいメモリアルを観ながら、画面のボトムに浮かび上がる犠牲者の名の中に友達を見つけることがとても切ない。365日のうちのたった一日が何人もの大切な人達の命日になるなど、あってはならないことだ。彼等のことも、あの日の恐怖も私は決して忘れない。



2001年9月11日は良く晴れた日で、郊外の家で私は8時半頃からお洗濯を始め、9時前だったと思う、東京の母からの電話で事件を知った。間抜けな話だが、すぐにTVをつけても最初は火事かと思った。母がセバスチャンを心配し、私は取り敢えず母との電話を切ると、ロックフェラーセンターで働く夫に電話をかけた。が、ミッドタウンの彼の会社にもその時はまだ詳しい情報が入っておらず、詳細が分かり次第連絡を取り合おう、と言って電話を切った直後、マンハッタンと郊外を結ぶ橋とテレフォンラインが遮断され連絡が途絶えた。当時航空会社勤務だった夫は対応に追われ、夜、本数を限られた電車で一旦帰宅するも着替えを持ってすぐに会社へ折り返し、三日間帰らなかった。




今、私の手元に1本のビデオテープがある。その朝、後で観ようと思ってドラマの再放送を録画していたものだが、午前9時4分、母と電話で話しながらチャンネルを切り替えており、そこからその日の様子が残されている。最初は、炎上するWorld Trade Centerを、まだNBCも飛行機が突入したことを確認できないまま困惑した様子で「火が出ている」と伝えていた。そのうち、その日OFFだったお天気キャスターとスタジオが電話で話し始め、彼女がNJの自宅からビルに飛行機がぶつかったのを見たと言うと、画面はスローモーションで何度も何度も2機目の突入を検証した。小さな鳥にも見える飛行機が左上から画面に入り、途中で方向転換すると一瞬消え、ビルが爆発を起こした。ここで私はチャンネルを替えたが、CNNもABCも情報は錯綜しており、動揺した私は幾度もチャンネルを替えていてニュースが分かりにくい。そうしてやがて、CNNを観ている時燃えているペンタゴンの映像が入ってきて「これは同時多発テロではないか」と報道し始めた。このテープには、その後のPAでの墜落事件、WTCの倒壊、大統領のstatementなど、裏表ほぼ12時間分が収録されている。これを改めて観ると尚、当時の恐怖と不安を体が思い出す。緊張で筋肉が硬直し、きりきりと胸が痛んだ。



10年経った今日、私は家族とこのビデオを観ながら、「どうか今日は何事もなく」と祈っている。そういえば10年前、事件直後に輸血用血液が足りなくなって私もすぐに大学病院へ駆けつけたのだが、私はご存知のとおり極度の貧血で「あなたの血は要らない」と追い返されるどころかあの非常時に「栄養を取って帰りなさい」とジュースとケーキまで頂いて帰る始末、自分自身に情けなくなり、家へ帰る途中教会に立ち寄り、神父様に尋ねたのだった。



「私のような者にできることは何なのでしょうか」



すると神父様は私の肩に手を置いて、優しく答えてくれた。



「遺されたものにできることは、


1．彼等の魂の為に祈り、心の平和を誓いなさい。

2．いつまでも彼等を愛し続け、覚えていてあげなさい。そして、

3．命を粗末にせず、いつも彼等に誇ってもらえるような人生を送りなさい。


そうすれば、きっと彼等はあなたに微笑みかけてくれるよ」




twitterの友人達も、今日は一生懸命アメリカと世界の平和を訴えている。世界中の人がひとり残らず神父様がくれた言葉や彼等の思いを守れたら、どんなにかこの世は平和なのだろう。きれいごとだ、なんて言わないで。それが難しいと分かっていても、今この星で生きているちっぽけな人間達にできることは所詮こんなことくらいなのだから。心の平穏を心掛けて、正しく、テロや戦争のない幸せな社会を探していこう。志半ばで、悔しい思いで人生を終えなければならなかった善良な人たちの為に、それから次の世代へもっとずっと平和な世界を残してあげられるように。




そうそう、トップの写真は、ハドソン川のNJ側から私が撮ったNYのダウンタウンだ。10年前の9月10日までは、島の先端ににょきっと2本、New Yorkersが愛したビルディングが立っていた。