最終電車
PS1のノベルタイプのゲーム。弟切草やかまいたちの夜のように、選択肢によってシナリオに変化して行く一言で言えばヴィジュアルノベルですが、製作会社のヴィジットはハイパーノベルと呼んでいますね。 新品を八百円で購入したのでやってみましたが、これは八百円なら十二分に元が取れる内容です。 キャラクターもなかなかたっていて良かったです。主人公石岡君(デフォルトで名前がついてますが、変更できます)は愛すべきバカ、というところが素晴らしい(笑)。 一方ヒロインの名前は畠山美由紀。最近着々と地歩を固めてきている歌手の畠山美由紀さんと同姓同名ですな。 舞台がたった八両しかない電車なので、一つ一つの話が短く感じますが、まあいいでしょう。 このゲームは主人公の乗った最終電車が事件に巻き込まれ・・・という形のゲームなのですが、シナリオの一本一本が短めの代わりにバラエティーに富んだシナリオが数本入っているという形。 選択肢によってホラー、アクション、恋愛、ギャグと方向性が変わってくるのですが、登場人物のメインの五人はほぼ全てのシナリオに顔を出します。 またシステム的には路線図という特殊なセーブ図があるために難易度は結構低いです。『冥界封印編』 本筋のホラー編でなかなか面白いです。 起こる事件などは西洋的ホラーの系譜に沿っていますが、その根には日本的なオカルト・神話が根付くという感じで興味深い造り。 ルートはいくつかあって、ベストエンディング以外にも、いくつかの脱出ルートがありますね。 これらのルートで一番怖いのは実はベストエンディングとならないルート(時間をロスすれば簡単に見られる)での携帯電話かな。鳥肌が立ちました。 他にもいろいろ雰囲気を盛り上げる描写があって、特に地下の無人駅で数体のゾンビのような奴がふらふら歩いているところなんて、サンゲリアを髣髴とさせてとっても素敵。『幽霊電車編』 ネット上で人気があるのが「冥界封印編・鎮魂の章」のルートです。本編とは設定がまるで違い、結末は二つ(しかも安直にラストの選択肢で変わるだけ)。しかしこのルートの肝はストーリー。幻想的で切ない物語で、心に残る名編だと思います。『生き埋め編』 そのまんまな話ですね(笑)。こちらは本編と同じ設定下で、たまたま本編での事件に電車が巻き込まれなかった為に生き埋めになったという形。 時間制限のあるアクション物で、時間を無駄にしていると(具体的には無駄な選択肢を選んでばかりいると)ゲームオーバーになってしまうのでクレバーに進めることが必要になります。『列車強盗編』 これもそのまんまな話(笑)。しかし一般民間人が強盗にどうやって立ち向かうか頭を悩ませるくだりや、立てた策が成功した後の一般人ゆえの心の揺れなどがしっかり描かれているし、お約束ながらも最後の展開は結構燃えます。『恋の最終電車編』 短い恋愛物です。『最終戦隊編』 いわゆるギャグ物です。なんかもう、題名で想像がついちゃいますよね(苦笑)。でも突っ込みや最後の兵器が結構面白かったりします。『銀河鉄道編』 この作品で一番面白いのは、この「銀河鉄道編」かもしれません。「冥界封印編・童歌の章」のルートの途中から行く上に、他のエンディングをすべてみた後でないと見られませんが、猛烈に無軌道で投げやりで、しかもオチがどーしよーもないという素晴らしさ!勢いだけで無茶苦茶に作った話という感じで、このノリについていければ腹を抱えて笑えるでしょう。 とまあ、ホラーオンリーの作品ではないのですが800円という値段の割にはかなり楽しめるお得なゲームといえます。 ちなみにPS2でリメイク版が出ていますが、シナリオが一本加わっただけでシステム周りとかが変わったわけでもなければ、従来のシナリオに加筆があるというわけでもないようです。 しかも加わったシナリオというのが作者が作った話ではないため、旧来のファンには違和感があるということです。値段も高いし、はっきりいってPS1の方をやれば十分だと思います。