仮面の男
フランスの歴史上の謎とされている、鉄仮面。 バスティーユ監獄につながれていた謎の人物。 アレクサンドル・デュマをはじめ、多くの作家がこの鉄仮面を題材に物語をつむぎ、多くの研究家がその正体を探ろうとしているのですが、現在でもその正体については明らかにされていないようです。だからこそ物語の題材になっているのでしょうね。 そして鉄仮面と同時代のヒーローといえば、ダルタニャンと三銃士。 私はてっきりデュマが創作したヒーローだと思っていたのですが、ダルタニャンは実在の人物で、その生涯をデュマがふくらませて書いたのが『ダルタニャン物語(三銃士・二十年後・ブラジュロンヌ子爵)』なのだそうですね。ネットで調べて初めて知りました。ちなみに、三銃士と同じ名前の銃士隊員も実在しているようです(ただし、その性格や人生は完全に創作のようですが)。 昨日、だいぶ前に購入してから放置していた、こうした鉄仮面と四銃士を題材にした『仮面の男』のDVDをみました。 ダルタニャン物語のブラジュロンヌ子爵編、鉄仮面の章をモチーフに作られたのよう映画ですが、デュマの作品とはだいぶ物語が違っています・・・というか、大幅に違うような気がします。 鉄仮面の正体も微妙に違うし、オチは完全に違うし、なかなか大胆な改編がなされているといえるのではないでしょうか。 さて、本作品、レオナルド・ディカプリオ主演作品であり、ディカプリオはさすがの存在感を示してはいますが(二役を演じ、さすがの演じ分けをみせます)、はっきり言ってしまうと周りに食われています。 周り。そう。中年になった四銃士。 とにかく中年四銃士がめちゃくちゃ渋くて格好いいです。彼らをみることができたので、それだけでも見た甲斐があったように思います。 ダルタニャンにガブリエル・バーン。 アラミスにジェレミー・アイアンズ。 アトスにジョン・マルコヴィッチ。 ポルトスにジェラール・ドパルデュー。 うーん、すごい組み合わせですねー。 それに、若き日の四銃士を題材にした映画は多いですが、中年期の四銃士を題材にした映画はこの作品くらいしか思いつかないことからすると、三銃士ファンには一見の価値があると思います。 ですが、題材良し、役者良し、燃える場面あり、なのにどうしてかひどく平板な印象を得てしまうのが欠点かな。理由はよくわからないのですが、せっかくの素材を生かし切れていない感じがします。女性陣もアンヌ・パリローをはじめきれいどころを揃えているのに、その魅力を生かしていない感じを受けます。 脚本が問題なのかなあ・・・?