ケロサロン

「秘書」という文字と、奈良千春さんのイラストに弱いケロであります。
お小遣いの前借りで買ってしまいました。（反省）


『秘書の嗜み』鳩村衣杏／奈良千春
　ビーボーイノベルズ　２００７年７月２０日発行

総合健康食品会社、株式会社タカセ・ファルマシアの社長秘書であり、秘書室長の厳原誉（いずはら ほまれ）は、その美貌と有能さとクールさとで「氷の秘書」と呼ばれている。
誉はまさに「秘書の鑑」であります。
先代、そして現社長の秘書を長年勤め、「タカセ・ファルマシアの大番頭」と呼ばれた、今は亡き伝説の秘書・久野から見込まれ、徹底的に秘書精神を叩き込まれたのが誉だった。

誉のプライベートも全て社長のために捧げられ、その徹底ぶりは・・ちょっと普通じゃないと思われます。
誉は社長のために一戸建ての広い家を買いました。
いつ何時、急な事態が起こって社長がお泊りになることになるかも知れない・・、そんな時のために誉は休日も家をピカピカに磨く。
社長の好きな食べ物、社長のやっているゲームソフトにいたるまで、社長を理解するために自ら試す。
ここまで社長のために尽くすと、普通は「社長の愛人」じゃないのぉ？と思いますが・・、違ったのです。

そんな誉が最も苦手としているのが、広報部の及川陽大（おいかわ あきひろ）だった。
及川は、誉より４つ年下で、秘書たちにちょっかいを出す色男。
人当たりが良く、皆から人気があるが、誉にとっては掴みどころのない性格のいい加減な男だった。

ある晩、誉の自宅の近所のマンションが火事になった。
様子を見に外に出た誉が会ったのは、なんと大の苦手の及川だった。
訊けば、及川の上の部屋が火事で、部屋に入れない状態だという・・。
気の毒になった誉は、及川を自分の家に泊める。
その晩は及川と飲んで、かなり酔っていた誉だったが、朝起きてびっくり！
誉は、及川の膝枕で寝ていたのだった・・？？？
誉はかなり酒癖が悪いらしい。
過去にも誉の一生を変えてしまうような失敗をしていて、酒を飲まないようにしていたのだったが・・。
及川は、誉の意外な素顔を知り惹かれる。

翌朝、誉が出勤すると社長に、部屋の補修が終わるまで及川を居候させて欲しいと頼まれる。
なんと及川は社長の甥で、次期社長候補だったのだ！
及川は社長になることを決意する。
社長になれば、社長秘書の誉がもれなく付いてきて、自分のために尽くしてくれる・・。（笑）
そんな理由からだけではないのだが・・、それが引き金になったのは確かだ。
誉は、及川をただの軟派な男だと思っていたが、実はまわりの事をよく見ていて、社長の器にふさわしい素晴らしい男だということを知ります。

かくして誉と及川の同居生活が始まった。
Ｙシャツとネクタイ姿にエプロンをした誉・・。
キ、キ、キ・・キュート
及川だけでなく、私もその姿に萌え～！
９３ページ、奈良千春さん挿絵の誉さんをご覧下され～。
軽く眩暈がいたしますっ！
しかし、及川は本当に素晴らしい男でした。
誉を大切に思っているからこその、心温まる行為。（サプラ～イズ！）
誉も堅物だのクールだの言われますが、実はまじめすぎるほどまじめな純粋な男だったのです。
誉は及川に会って、会社の一社員としての秘書の立場を再認識させられます。

ある日、誉の元に『社長さんの秘書』という取材が来て、その有能ぶりが話題になり、誉は一躍時の人となった。
そんな中、誉の過去の過ちがすっぱ抜かれ、逆に世間の非難を浴びてしまう。
誉は会社のために辞職を決意する。
トラウマになるほど、誉の人生を変えてしまった過去の過ちとは・・？

及川は新社長として記者会見に臨む。
最後は感動的でした・・。
久々に攻め側に惚れましたよ。
なかなか面白かった。

私の満足度★★★★☆