カテゴリ:ボーイズ・ラブ
こんなに泣けたのは、久しぶりです。
これはBL界の「おしん」「遠山の金さん」「マイフェアレディ」「シンデレラ」を全部合わせたようなお話です。 これだけだと“何だソレ?”って思うかも知れませんが、読んだら納得していただけるかと思います。(笑) 『舞踏会の夜に華は綻ぶ』橘かおる/小山田あみ ガッシュ文庫 2007年7月10日発行 八岐真の母親は平民の出であったが、山岐子爵家の正式な妻として迎えられ、真は嫡男として生まれた。 しかし、そんな幸せな家庭も長くは続かなかった・・。 真が9歳の時に母親が病死すると、今度は事業に失敗して財産をなくしてしまう。 そこに資産家の伯爵令嬢が美男だった父親を見初めて、強引に嫁いで来たのだ。 義母は、子爵家の貧窮を救う代わりに自分の産んだ子を嫡男にしてほしいと迫り、気の弱い父親は戸籍を書き換えて、実母との婚姻は取り消され、真は庶子とされてしまった。 父は「不甲斐ない父を許してくれ」と、改ざん前の戸籍の写しを真の守り袋に入れて渡した。 真は通っていた学習院を退学させられ、勉学の道を閉ざされ、住まいも母屋から離れに移され、雑用や使い走りで一日中こき使われた。 17歳になった真が、いつものように夜遅く使いに出ると大怪我を負った男を見つけた。 見過ごすことができなくて、真は男を助け、自分の部屋に連れて来てしまった。 その男はまだ若く、自分の事を「臣」と名のった以外は、素性を明かさなかった。 毎日、虐げられた生活を送っていた真は、臣の面倒をみることが気持の支えとなっていった・・。 晩遅くまで働かせられ、おにぎり一つしか与えられない真は、お腹が空いていても臣に食べ物を優先させるのだった。 うぉ~ん、真が健気で・・前半は涙、涙、涙だった~。 健気で可愛い真を臣は好きになる。 ある日、臣は真のお守りの戸籍の写しを盗んで消えてしまった・・。 裏切られたと思った矢先、子爵家に宮内庁宗秩寮から呼び出しがあったのだ。 改ざん前の戸籍の写しが宗秩寮総裁のもとに届けられたという・・真と義弟と、どちらが真の嫡男なのかを審議するという。 義母は真を離れに閉じ込めてしまった。 臣は真を救い出し、都築男爵家の別荘へと連れて行った。 迎賓館で開かれるパーティで真と義弟の二人のどちらが、子爵に相応しいか検分されることになり、真は臣と都築によって華族としての教育を受けることになった。 知らないところで話が急に進んでいくことに不安を覚える真であった・・。 頼りは臣だけ・・なのに臣はよそよそしく未だ素性を明かさない。 一体、臣は何者なの? 臣はすごく高貴な感じがするのに、なぜ着流し姿で街へ出て、危ないことをしているのだろう? 不安な真は、臣に一緒に寝て欲しいとねだるが、先のことを考えた臣は真を諦めさせようと、欲しいのは身体だけの関係で重いのは嫌だと告げた。 しかし、真は言った・・身体だけの関係でもいいと・・。 舞踏会を明後日に控えた日、臣を追ってきた不審な輩から臣を救うために真は利き腕に怪我をしてしまう。 これでは審査どころではないと、棄権をすすめた都築と臣だったが、真はどうしても出ると言う。 これは自分をここまで応援し、協力してくれた都築と臣への気持ちに応えなければならないという真の決意だった。 臣はどこかで見ていてくれる・・そう信じて臨んだ舞踏会に、どよめきとともに現れた北城侯爵という男・・。 それは「金さん」(笑)・・いや「臣さん」だったのだ! 果たして、真は子爵と認められたのか? そして北城侯爵が真と共に生きようと選んだ道とは・・? 臣さんは、並々ならぬお方ではないかと想像していた通りでしたが・・、真はどうなってしまうのだろう・・最後まで気が抜けないお話で、一気に読んでしまいました。 私の満足度★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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