カテゴリ:ボーイズ・ラブ
冒頭、一行目から私に素っ頓狂な声を上げさせたのは、この本が初めてです。
「僕、このおじちゃんと結婚する!」 小さな男の子が、スーツの裾をしっかりと握ってしきりに訴えていた。(本文から) 『ふしだら者ですが』中原一也/小山田あみ リンクスロマンス 2009年12月31日発行 いきなり見ず知らずの幼稚園の男の子に、そう言わせる男の人って・・?! 私の期待感は最高潮ですよ! でも、実はこの男・・皆川修平は、区役所の『なんでもやる課』にお勤めの、サエない38歳のおじさんだ。 ルックスも良いわけでもなく、パッとしない修平は、何故か老若男男に異様なほどにモテまくる 他人は勿論のこと、自分でも何故こうもモテるのか不思議がっていたが・・修平には一つだけ心当たりがあった。 それは修平がまだ小学生だった頃・・修平がうたた寝をしていると、机のところで『小さいおっさん』(すみません、本文では『妖精』でした・・)がスナック菓子を食べていて、修平は怖いながらも妖精を捕まえようと追い回した。 するとその晩にすごく恐い形相の妖精が修平に乗っかかり「よくもコケにしてくれたなぁ。お前なんか、同性に言い寄られる魔法をかけてやる。一生男につきまとわれる魔法だ。ザマーミロ!」と、ギーッギッギッギッギ・・という変な笑い声を残して姿を消した・・。 はぁ~っ何ですかソレ 私はこの時点で、読む気が失せてしまいました・・。 あの中原一也さんが、こんな本を書くなんて・・ 『ジミヘン』(かの有名なロックの神様ジミー・ヘンドリックスではない)、地味で変だというところからあだ名されている通り・・修平は友達がなく、人と人間関係を築くのが苦手で、そんな修平が唯一付き合いのある人間は、幼馴染の高森だけだった。 来る者、拒まず、二股三股当然の節操無しの修平は、男と別れの修羅場になると高森を呼び出し、恋人のふりをしてもらって、その場をしのいでいた。 いつか刺されるぞ!いい加減にしとけ!という高森の忠告が本当になり、大事に至るところを高森に救われた修平・・。 その日から修平は、高森を意識しだす。 修平は高森に告白するが、今までの修平の素行を見てきた高森は信用しようとはせず・・、とうとう幼馴染の自分にも声をかけてきたのか・・と、勘違いし、高森は怒って、激情にまかせて修平を抱いてしまう! ・・そう、高森も修平が好きだったのだ・・。 「好きでもなきゃ、お前みたいなロクデナシの尻拭いなんぞするか、阿呆。」 こうして、二人は晴れて恋人同士に う~ん、何か物足りない話だった・・と思っていたら、このお話はこれからだったのだ!(もうすでに150P) 恋人同士になって充実した日々を送っていたはずの二人・・しかし修平に異変が・・!? 「好きになってもらいたい、愛されたい・・」と思うほどに、心に広がる漠然とした不安。 この先の明るい未来が見えない・・いつか高森に捨てられる・・と感じてしまうのは何故? 何か思い出しそうで、思い出せない過去・・、そう修平は何故だか幼い頃の記憶があまりない。 修平はこのままではいけない気がして、自分の過去を取り戻そうとする・・。 最後まで一気に読んだ私は、自分の頬が濡れているのに気がつきました。 前半150Pまで、面白くない本だというレッテルを貼っていた私・・、最後まで読んで初めて・・この馬鹿げた(ごめんなさい)お話こそが意味のあることだったのだと気づきました。 後半は、興味ある人は読んでみてください。 私の満足度★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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