カテゴリ:ボーイズ・ラブ
発売当初から気になっていたものの、あらすじで主人公が女装を楽しんでいるように書かれていたため、基本的に女装ものが苦手な私は最初スルーしていました。
女装ものなら・・何か理由があって仕方なくしていたり、その彼が外面に反して実はとても男らしい性格だったいう話ならアリです。 しかしその後、あまりに多くの方が、この作品をおもしろいと評価されているのを見て、読んでみたくなったのです。 古本屋に行く度に探してはおりましたが、本が傷んでいたり、発行日の古い割にとても高い値が付いていたりして、なかなか踏ん切りがつきませんでした。 しかし先日、私のお気に入りに登録させていただいているしげこさんが上巻を読まれて、大変おもしろかったとおっしゃっていたので(やっぱり~)、居ても立ってもいられずに即行買ってきましたよ~ 本当におもしろいっの一言に尽きる本でした。 私は食わず嫌いならぬ、読まず嫌いをするところでした 『美しいこと』上下巻 木原音瀬/日高ショーコ ホリーノベルズ 2007年11月25日発行 同棲していた彼女とも別れ、仕事のストレスもあって、彼女の残していった化粧品や服で、つい女装してしまった松岡・・。 出来上がった自分の姿は、そこら辺の女性よりも美しく、街を歩くと必ずと言っていいほど男の人に声をかけられた。 それだけのことでも気分が良く、毎週金曜日の晩だけの楽しみとして女装して出かけていた。 ある晩、中年男性にホテルに連れ込まれ脱がされそうになり、男だとバレて殴られた松岡は、靴も履かずにそのまま逃げ出したが、気分も悪くなって雨の中、座り込んで途方に暮れていた。 ドロドロになった小汚い、訳ありそうな女に声をかける者もいない。 しかし、一人だけ大丈夫かと声をかけ、傘を差しかけて、靴とお金を与え、名前も告げずに立ち去った親切な男がいた。 松岡は、その男を知っていた・・。 違う部署だが同じ会社で働く・・要領が悪く、いつも上司に怒られているという評判の良くない野暮ったい男・・寛末だった。 靴とお金を返すために仕方なく女装して会った松岡は、優しく誠実な寛末に好意を持ってしまい、成り行きで江藤葉子と名乗り、病気で声を出せなくなった女性と偽って、会う回数を重ねてしまう。 他人と話すのが苦手な寛末にとって、筆談で交わす葉子との会話は穏やかで楽しく、とても優しいのだけれどハッキリものを言う葉子の性格を好きになった。 とうとう寛末に告白され、寛末の人柄に惹かれた松岡は、今度こそ初めから男として知り合い、友達になることを望み、もう女装して会わないと決める。 しかし、寛末に葉子が松岡だとバレそうになった時、自分の気持ちが友人としての好意以上のものだと自覚した松岡は、意を決し真実を告げた。 寛末は「葉子さんがどんな姿になっても愛せる」と言っていたにも拘らず、やはり松岡を受け入れられなかった・・。 寛末の愛した葉子の本質は、そのまま松岡であったはずなのだが、女性じゃなかったというだけでこうも全否定になるものなのだろうか・・? 実際はそうだろうね・・? 『同性を愛する』ということは・・性別を超越するほど人格を愛し、かつ性的欲求を覚えるほどに愛おしいと思えなくては成り立たない。 ノンケの男性が同性を愛す可能性は極めて低い。 リアルBLって、こんな感じだと思います。 ルックスも良く女性にモテて、若くして課長に昇進した松岡・・一方、野暮ったく、左遷されたあげくリストラに遭い会社を辞める寛末・・、寛末は同じ男としての能力の違いを感じ卑屈になる。 異性だと頼もしく思えることも、同性だとプライドが邪魔をすることだってある。 そして人は失って初めて、失くしたものの大切さに気付くこともある。 恐いほど一途な松岡と、何度も嫌な現実から逃げては結局、葉子(松岡)を忘れられない身勝手な寛末・・。 変わってゆく二人の想い・・とっても切ない恋愛小説ですっ! ところで、あの寛末さんの時計はどうなったのでしょうか?(笑) 私の満足度★★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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