カテゴリ:ケロ日記
6月に帰還、回収された『はやぶさ』のカプセルの中に、果たしてイトカワの砂が入っていたのか・・、私は分析結果が出るのをずっと心待ちにしていました。
そして16日、宇宙航空研究開発機構・JAXAは、「カプセルの中からイトカワのものと見られる、1500個の微粒子が発見された。」と発表した。 しかし当初、カプセル内に何も入っていないように見えた、関係者は真っ青になったという。 光学顕微鏡でようやく60粒の0.01mmほどの粒子を見つけ、その後特性ヘラを作って容器内をこすり、さらに電子顕微鏡で0.001~0.01mmの微粒子を発見したという。 その微粒子は、地球にはない結晶構造を持ち、イトカワのものと結論づけたらしい。 これで『はやぶさ』のサンプルリターン計画は成功した。 月より遠い天体のサンプルを持ち帰った事は今までになく、人類史上初めての快挙です この採取された微粒子から、今後の研究・分析で、太陽系誕生の謎が解けるかもしれない。 私は先日『小惑星探査機はやぶさの大冒険』を読んだのですが、『はやぶさ』の計画に携わった各関係者の方々の熱意と見事な連携、そのプロフェッショナルな姿に感動しました。 度重なるトラブル、何度も今度こそ・・・と、絶望視されながらも困難を乗り越えてきた経緯はだいたい知っておりましたが、この本で、各関係者のインタビューを交えた話で詳しい事実を知るにつれ、私の想像を超えた苦難さに唖然とするばかりでした・・・。 成功のカギは、技術力の素晴らしさはもちろん事ですが、関係者の方々の決して諦めない姿勢が困難に打ち勝ったのだと思います。 夢は諦めなければ、いつかは叶うものだと、今回のプロジェクトで『はやぶさ』に教えてもらった気がします。 しかし、危機のたびに行ってきた究極の選択は、『はやぶさ』の身をけずり・・『はやぶさ』はボロボロになりながらも、それに応えてきた。 プロジェクトマネージャーの川口淳一郎氏は、『はやぶさ』について、こう語っている・・。 『はやぶさ』そうまでして君は。 彼を諦めさせることなく、動くものは何であれ動員して、改めて走り出させることに成功した・・いや走らせてしまった。 どうして君はこれほどに、指令に応えてくれるのか? そんなにまでして。 当初の計画では、カプセルを地球に放出させた『はやぶさ』は、さらなる宇宙の旅を続けて工学的な実験を続けるはずだったのだが・・、化学推進エンジンの推進剤が燃料漏れで全て無くなってしまったために、『はやぶさ』はカプセルだけを地球に還す力しか残っていなかった。 その一度きりのチャンスに万全を尽くすスタッフ。 そして、川口淳一郎氏はこうも語る。 その万全さは、逆に『はやぶさ』自身の最期を確実に演出してしまう、残虐さに繋がってしまう。 万全の準備とは、冷酷な準備でもある。 『はやぶさ』の覚悟が何であり、何を望んでいるのかが判った気がした。 スタッフは残りの電力で、『はやぶさ』に地球を撮らせた。 そして、『はやぶさ』はカプセル(子)を地球に還して、大気圏で燃え尽きた。 私はネットで、その様子を見ていた。 パチパチと火の粉を飛ばしながら弧を描き、流れ星になった・・それは、哀しいほど綺麗だった・・・。 『はやぶさ』が最期に撮った地球の映像は、私のPCの壁紙となりました。 力尽き、涙でぼやけて見えたような地球の姿に私は泣きました。 これを見ると、『宇宙戦艦ヤマト』の沖田艦長の最期を思い出します。 過酷な旅を続けて帰って来た沖田艦長の身体は衰弱し、窓に映った地球の姿を見て、 「地球か・・、何もかも皆懐かしい・・。」 そう言って力尽きてしまいます。 『はやぶさ』もこんな気持ちだったのかも知れません。 私は、この地球を見るたびに思うのです・・私は地球人でここで生きているのだと・・そして、私の還る場所だと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.11.19 03:20:06
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