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カテゴリ:携帯な日々
明日引越しのNさんが、教えてくださった、「詩」を紹介します。
箕面小「かきのき文庫」さんからかなり以前に頂いた栞を、Nさんがずっと大切にお持ちになっていたものです。 最初の質問 長田 弘 今日、あなたは空を見上げましたか。 空は遠かったですか。近かったですか。 雲はどんなかたちをしていましたか。 風はどんな匂いがしましたか。 あなたにとって、 いい一日とはどんな一日ですか。 「ありがとう」という言葉を、 今日、あなたは口にしましたか。 窓の向こう、道の向こうに、何が見えますか。 雨の雫をいっぱい溜めたクモの巣をみたことがありますか。 樫の木の下で、あるいは楓の木の下で、立ちどまったことがありますか。 街路樹の木の名を知っていますか。 樹木を友人だと考えたことがありますか。 このまえ、川を見つめたのはいつでしたか。 砂の上に坐ったのは、草の上に坐ったのはいつでしたか。 「うつくしい」と、あなたがためらわず言えるものは何ですか。 好きな花を七つ、あげられますか。 あなたにとって、「わたしたち」というのは、誰ですか。 夜明け前に鳴きかわす啼きかわす鳥の声を聞いたことがありますか。 ゆっくりと暮れてゆく西の空に祈ったことがありますか。 何歳のときの自分が好きですか。 上手に歳をとることができるとおもいますか。 世界という言葉でまずおもいえがく風景はどんな風景ですか。 いまあなたがいる場所で、 耳を澄ますと、何が聴こえますか。 沈黙はどんな音がしますか。 じっと、目をつぶる。 すると、何が見えてきますか。 問いと答えと、いまあなたにとって必要なのはどっちですか。 これだけはしないと、心に決めていることがありますか。 いちばんしたいことは何ですか。 人生の材料は何だとおもいますか。 あなたにとって、 あるいはあなたの知らない人々、あなたを知らない人々にとって、 幸福ってなんだとおもいますか。 時代は言葉をないがしろにしている― あなたは言葉を信じますか。 最初の質問 長田 弘 詩「小道の収集」 より お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.16 19:56:24
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