NHKの「クローズアップ現代」で、焼酎ブームについてやっていた。今は空前の芋焼酎ブームで、プレミアがついて1本何万円もの値段で売られているものすらあるという。その理由について解説されていたのだが、醸造学の先生が出てきて「焼酎は翌日に残らないからいいんだといって、お酒の好きな人は好んで飲みますけれど、それはお湯で割って飲むので薄まっているからですよ。」との単純明快な解説には笑ってしまった。そもそもお酒なんだから健康にいいはずはないと思うけど、奇妙な健康志向に毒された日本人は、「酒の中では体にいいから」と思い込んで焼酎を飲み、マスコミにあおられて我も我もと焼酎を買いに酒屋に走り、飲み屋で焼酎を注文する。「右にならえ」のメンタリティが強く、マスコミの作るブームに弱いのは日本人の情けない習性だと思う。少し前はみーんな赤ワイン飲んでませんでしたっけ。
で、値段が上がるなによりの原因は、値段の高騰に乗じて儲けるため、「転売する」ことだけを目的に焼酎を買いあさる人間(ヤフオクで個人的にやっている者から、大規模な業者まで)が多数存在することだという。これって、「焼酎ブーム」というよりは、「焼酎バブル」と呼ぶのがふさわしい。買い占めればあとで値段が上がって売り抜けられるだろうという思惑の連鎖は、いつか値段が上がりすぎて買い手がつかなくなり、破綻するときを必ず迎える。土地でも株でもなんでも同じだ。近いうちに必ず「焼酎バブル」はハジけ、在庫の山があふれるようになるだろう。転売業者はまた新たなバブルの種を見つけ、そちらに走れば済むが、在庫を抱えて泣きを見るのは真面目に焼酎を造っているメーカーだ。番組でも、自分が造って卸した値段の何倍もの値段で酒屋に並ぶ商品を見てため息をつく蔵元さんの姿があった。「焼酎は庶民の酒なのに、ブームのせいで勝手にプレミアがついて庶民のものではなくなっていく・・・ブームが去ったら庶民に見放されてしまう」と言っていた。蔵元さんには、バブルのあとどうなるかわかっているのだ。気の毒になあ、と思う。
マスコミに踊らされず、流行り廃りに惑わされず、自分の感覚でモノを選ぶようにしたいなあと思う。
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Last updated
2005年02月15日 21時37分54秒
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