|
カテゴリ:大学院・心理学
社会学者の書いたものをたくさん読んでいる今日この頃。玄田有史、宮本みち子、山田昌弘、などなど。あとは、精神科医の、斉藤環とか、香山リカとか。みんな、現代ニッポンの若者、特に定職につかない、ニートやらフリーターやら引きこもりやら、という問題にスポットを当てている。これ、よっぽど流行りというか、hot issueであるらしい。で、実際こういう話を読むの、面白い。
今日は、久木元真吾という人の書いた面白い論文を発見。 「やりたいこと」という論理~フリーターの語りとその意図せざる帰結~ 短いけど面白いから、若者の就労の問題に興味ある人はぜひ!プリントアウトしてお読みください。公表済みのフリーターへの大規模なインタビュー調査をもとにした二次分析。インタビューに答えた若いフリーターの実に半数以上が、「やりたいこと」という語彙を使って自分の現状を正当化しようと試みているという。(たとえば、「やりたいことがみつからないからフリーターをやっている」「やりたいことを目指してフリーターをやっている」など) なぜかといえば、彼らは「正社員の仕事は、めちゃくちゃキツイ」と知っていて(もしくは、そう思い込んでいて)、「やりたいことと仕事が一致でもしてなけりゃ、とてもあんなキツイ正社員なんて、続けられるはずがない」と決めつけているからだという。 この論文の中にも、そして最近読んだほかの多くの文献でも、フリーター増加の一方で、正社員として長時間労働を強いられている若者も増えていて、労働時間の二極分化が進んでいることが示されている。そして、うつ病に倒れた僕自身の実感としても、正社員の仕事がキツイっていうのは間違いないと言い切れる。当時の僕の周りの先輩社員たちも、みんな苦渋が貼りついた顔で働いていたし、口を開けば仕事の話題しかできないような哀しい人間ばかりでもあった。たぶん、フリーターの若者は、毎日会社に通って抜け殻のようになったお父さんたちを見て絶望しているのだろう。ああはなりたくないと。 酷使される正社員と、不安定なフリーター、ニートへの二極分化。なんだか、日本は夢のない、絶望的な、階層社会へと向かっていないだろうか。問題の闇の深さに暗い気持ちになる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年07月16日 18時53分17秒
[大学院・心理学] カテゴリの最新記事
|
|