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2007.07.11
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カテゴリ:日常のこと
 前回懲りたはずの深夜バスにまた乗って東京へ向かう。前は京阪バスの営業所で手配した両方の窓側と中心に席があるゆったりしたバスだったが、ネットで探せば普通の観光バスのような中心の通路の両側に二席づつがあるさらに格安のバスがあることが分かったので今回はともかく値段を最優先にしてその安いバスを予約したのである。ネット予約での値段は曜日や便によって多少値も違い往路は3500円、復路は4000円という格安のものが手配出来た。何がどうでかくも安いチケットを選んだのかというと基本的に貧乏なのは言うまでもないが、今回の東京行きの目的のひとつがとある楽器屋さんで見付けたと情報を頂いたマンドチェロを見ることで場合によっては自分にとってはなかなか思い切った値段のこれを買って帰りたいと思ったから交通費などは少しでも節約したかったのである。
 そういうわけで前日夜に京都駅を発したバスは早朝に東京駅に着いた。前回は後の予定に近いという理由で新宿で降りたが時間をあまりに持て余して弱ったので今回は東京駅まで乗って築地市場で朝ごはんを食べた。やはり贅沢はやめて海鮮丼のお店に入ってみたが期待したほどでもなく案外なんてことはなかったのだが、まあこれはこれでかまわない。
 山手線で半周して渋谷で降りその辺のカフェで慣れない街の地図を見ながら一日の行動順の計画をだいたい立てて、昨年復原された駒場の旧柳宗悦邸を見学する。ここは最初の公開期間はものすごい人出で混雑していたそうだが今はもう落ち着いたのか朝一番に訪ねたぼくはゆったりとひとりで見ることが出来た。昭和10年に建てられた伝統的な日本家屋ではあるが随所になかなか個性的な工夫が見られるように思った。たとえばやはり民藝運動の同士である京都五條坂の旧河井寛次郎邸などはこれもなかなか斬新に創作されてはいるが、それでもそのベースには後に民芸様式としてイメージされるような骨太な農家が原型にあるように思われる。しかしこの柳邸には全くそういう気配はなく実に往時の都会の暮らしに見合ったものだという気がした。やはり民藝運動の中心的人物である益子の濱田庄司旧邸は北関東の豪壮な農家をそのまま移築して住んでおられたことも含め、これはそれぞれの資質と好みが現われたことのようでなかなか面白いという気がする。建築のことは素人の自分にはよくわからないがそれでもこの家の書斎であの膨大な柳宗悦の思索と著述が為されたのだと思えばこれはなんとも感慨深いものである。
 柳邸の向かいにある日本民藝館の本館のほうはいま「白磁と染付」と題された夏らしい展覧会が行われていた。伊万里や李朝(今では「李朝」というよりはやはり「朝鮮時代」と言うほうが本当でしょうが民藝館のものは柳宗悦が当時使っていたこの「李朝」と言う呼称がしっくり来るような気がします)や古染付などを中心に様々な調子の白と藍色の磁器の世界を楽しんだ。いつも図録などで親しんでいるものも多く展示されているが、中でも砥部焼の鎬紋の筒は探しても類例さえ見かけないもので実に好きなこれが出ていたのも嬉しかった。民藝館の収蔵品は言うまでもなく素晴らしい工芸品の集積だがそれは普通の意味での名品主義ではないので、いまでも数千円くらいで露店で買えそうな傷物の伊万里雑器でも世界規模のオークションでそれよりさらに数千倍も評価されそうなものでも同じ美しいものとして等しく扱われ並べられていることがこれはこれで当然そうあらねばならない有様とはいえなかなか実現し得ない希有なことだと思います。こういうことをやって美的水準とその統一感が全く破綻しないのはよく言われるような柳宗悦の眼の確かさと共に民藝館の現スタッフの方々の力量のように思います。白磁と染付以外の展示室もそれぞれ非常に見ごたえがあり、土器や焼締などを中心に土肌のものが集められた部屋は堤、信楽、瀬戸、丹波、多々良など一際印象の深いものでした。
 この後は荻窪のあたりが最近面白いと聞いていたので特に情報もあてもなく行ったものの荻窪駅から西荻窪の駅まで歩き回っても何も見つからず雨と蒸し暑さに嫌気がしてまた電車に乗り新宿で一軒、青山で2軒の見たかったお店を訪ねてみた。東京の街は行き先の住所がはっきりしていてそして簡単な地図でも持っていれば街角にたくさん番地の表示があるし、人に尋ねても割合みんな親切だから簡単に目的地に行きつける。しかし青山では駅に戻ろうとして迷子になり延々と墓地の間の道を歩いたがこれほど広くたくさんの墓があるとは思わなかった。東京は他所者の自分などがイメージするよりはよほど緑もあり、青山霊園でもたくさんネコがいてなかなか悪くない気がした。歩き回っている内に暗くなりはじめたのになかなか墓地から抜け出せないで弱った。ようやく大きな道路に出て駅にたどり着いた。
 夜はこれも前から一度は泊ってみたかったカプセルホテルをこの機会にあらかじめネットで格安予約したのだ。たくさんある内でも秋葉原を選んだのは翌日の予定の便宜と共にやっぱりオタクの聖地とかいわれているくらいだし何かオタクなものがちょっとは見られるかという気もあったのだ。ところが荷物を置いて食事に出たが秋葉原の街はあんがい夜も早くてシャッターが降りているところが多い。メイドさんがティッシュを配っていたのと道路の向こうに巨大なしょこたんの看板をみつけたのとくらいであっけなくアキバを満喫したような気にならないでもなくなんとなくそれで満足して、適当にその辺のお店で簡単なご飯を済ませてこの日の予定は終了。

・9月24日までの「白磁と染付」を身の回りのものに関心のある全ての方にお薦めします。





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Last updated  2007.07.27 05:12:13
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