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  航空写真

  　ネットで地図を見るのにGoogle Mapをいつも使っているのだがここの航空写真がなかなか面白い。自家もブロードバンドになってからはGoogle Earthも使えるようになってときどき御縁のある場所や知らない街を見ているがニューヨークなどは車どころか人の姿も確認出来るくらいであちこち見ていても飽きない。宇宙から見た地球からぐっとズームアップして人の姿まで迫るのはイームズの作った映画をおもいだす。ぼくの好きなひともみんなこの何処かに住んでいるのだなと想うとちょっと神様の視座を得たようでこういうのはいかにもヴァーチャルな楽しみだ。　日本の写真はまだアメリカほどの解像度はないし特に山間部などはまだまだ荒い画像でしか見ることは出来ないが、それでも生畑も以前に見た時よりはだいぶん細いところまで見られるようになって自家の屋根もしっかり確認出来るし茶色いトタンの窯屋根も見える。緑色のユーノスは地面の色に溶け込んでしまったか何処かへ出掛けているのか知らないが見えないけれども小さな白い点がいつもトラックを停めている場所になんとか確認出来るのが面白い。　Google Earthだけではなくしばらく前から使っているソフトにFirefoxがあるが、今日ははじめてこのソフトから書き込んでいる。このブログを始めてから全ての記事はMac版のIEでアップしてきたが、IEでは太字やリンクを付けるボタンとか高機能エディタとかタグとか表示されなかったのだが知らない間にだいぶん便利に進化しているので驚いた。そういう訳で初めて今日はタグを付けてみた。

  2007.08.28

• ５　１　５３　２４　三　百

  　この生畑皿山通信もはじめに書いた日から早くも5年も経ちました。最初の1年ちょっとは本当に何でもないような日々のことでも少しづつ毎日欠かさず書いていたのですが、その後は元来こういうことを続けるのが難しいぼく自身の性質もあって楽天の管理画面に出てくる記入率はとうとう53％まで落ちてしまいました。それでも自分自身の実感としては半分以上も書いているような気はしていなかったのでこの数字もちょっと意外な気はしています。　こういうことを書いていると、そう言えば子供の頃はまだ24日では余裕で遊んでいて宿題や絵日記に取りかからなかったもんな、などということを思いだしてしまいました。三つ子の魂百までとはよく言ったものですが、それでも意志と意地は生来の性質を少しは補正することが出来ると思うので少し発破を掛けて頑張りたいと思います。もちろんこれは毎日ブログを書くということではなく、怠け癖を戒めて生きてゆきたいということです。

  2007.08.24

• 送り火

  　朝から石に水を掛けたり線香の煙で燻したりしたのも何年ぶりのことでしょう。午後は楽天で知りあった友人達とこれも数年ぶりに集まって食事を済ませた後ぎっしりと大勢の人がいる鴨川の土手から真正面の大文字を見る。子供の頃はいつも家の近くで見ていた大文字さえもやはり10年ぶりくらいに見た気がするが、大人になってから見る大文字はなかなかよいものだった。少し場所を移動すれば妙法の法の字がやはり正面によく見える。大以上に意味の籠められた妙法の文字はさらに想いが深い。外国人も沢山見に来ていてこのようにして精霊を送る京都の街のやり方の想い出を持ち帰って欲しいという気がした。

  2007.08.16

• 陶器まつりを終えて

  　多くの窯元や個人の作り手がそれぞれの意図で参加している陶器まつりですが、自分にとっては展覧会とは違う位置付けなので何をどう見せたいということではないのです。品物自体は先日も書いたとおりに登り窯ではどうしてもたくさん出来てしまう不上がり品や半端物や試作品などの特売が目的で、これは自分の付け値は安いつもりでも他の方からすれば特別安くもなかったにも関わらず持って行ったほとんどのものをお買い上げ頂きどこかで使って頂けるのでありがたいことだと感謝しています。　そういう品物のこととは別に陶器まつりに参加したのは一度野外で展示してみたいというようなことがひとつの動機でした。ところが抽選で自分が割り当てられた場所は人の流れからすればいい場所だとのことですが歩道の幅などの関係でつもりしていたテントを張ることが出来ないので仕方なく前日の準備日に現場で角材で組んで半透明の波板で屋根を作りました。こういう作業は窯屋根や薪小屋を作っているので慣れてはいるのですが、これが前もって頭の中で出来ていたものとは大違いの予想外のちゃちなものになったので相当気を落としたのは事実です。おまけに大変暑いと聞いていたその暑さは京育ちだしまあ予想内のこととは言え東山五条のいつも渋滞しがちの交差点でおまけに山科に抜ける高架の下とあっていつも居る生畑と比べてのあまりの空気の悪さに準備が終わった地点でもう早くもすっかり嫌気がしてしまいました。　ところが実際に4日間が終わってみるとなかなかこれは面白かったという気持ちになりました。こういう場だけにやきものに対する見方も実に様々な人が居るのです。大きさやかたちを目処にものを探している方、少しでも安く普段使いのものをと探している方、自分好みのやきものが何かないかと探している方などなど。たとえばいかにも京焼風のきっちりしたものを買う方はぼくのブースには立ち止まることはありません。招き猫やカエルの置き物を探す人にもご縁はないようです。こういうことがはっきり見えるのは実に面白いとおもいました。　蓮を入れるためのものを探していたという方には穏やかに叩いた面取りの白丹波風の瓶を選んで頂きました。スリップウェアをみつけて立ち止まり歓んで様々な紋様の中からお気に入りを丁寧に選んで下さった方もありました。ただ叩き伸ばした土の板を焼いたものを気に入って選んで下さった方もありました。赤土を薄く轆轤したシンプルな器は随分遠くへ旅立ちました。白い器の類もカップやボウルなどいくつもの食卓へと選ばれてゆきました。ほかにもたくさん・・・ありがたいことです。　そのような陶器まつりを見に来られた方々と共にまたやきものを作っている出品者の方々などたくさんの方と出会いいろんなお話をさせて頂いたことが本当に楽しい経験でした。　この陶器まつりには旧知の知人や友人も何人か参加しているものの皆かなり離れた場所だったのですが、初参加で様子も分からない自分に近くの出品者のみんなから大変親切にして頂いたことも忘れ難くありがたい想い出となりました。　最後になりましたがここでの告知を見て訪ねて下さった方も数人ありましたし、またお目にかかったその後に検索してここを御覧下さる方もあるかもしれません。どうもありがとうございました。　

  2007.08.10

• 陶器まつり

  　今年は長年続いている京都五条坂の陶器まつりに参加します。生畑皿山窯のブースは五条通北側歩道のほとんど東の端、河井先生の家から五条へ出て信号を北へ渡った辺りです。たくさんの作り手が参加していて立場はそれぞれでしょうが、自家は率直にいえばこれを見て欲しいというようなことではないのですが、半端品、試作品、不上がり品など中心に持って行っています。お近くにお越しの方は覗いてみて下さい。　7日から10日まで9:00～23:00です。京都の街の一番暑い最中。　

  2007.08.06

• 夏の虫たち

  　毎日雨が降りじけじけとしたこの季節はどうにも好きになれない。前からそうだったのかどうだか忘れてしまったが、ここに住み始めてからは山際で谷川の側のこの家の湿気がすごくてどうにも黴っぽくて困るのだ。例年のことだが特に遅い螢というのはいるもので昨夜もひとつ飛んでいた。大きく明るかったので別の種類のものというわけではなく、たぶん源氏螢だったのだろうと思う。今年は6月1日から月内はそれなりにたくさんの螢を見ることが出来た。カブトムシやクワガタムシももう半月ほども前から出ているし、今朝はセミも鳴いていたし季節は確実に移ろっている。

  2007.07.16

• 秋葉原～新木場～京橋～早稲田～神田～新宿

  　朝は早くからいったん東京駅へ向かいコインロッカーに荷物を入れてから乗り換えて新木場へ向かう。秋葉原は人も多く蒸し暑かったが海に近い新木場は風も吹いていくぶん過しやすいような気がする。新木場などという妙なところへわざわざ出掛けたわけは木材屋さんを見たかったからで、ただの木材屋さんや銘木屋さんは京都でもたくさんあるがここにはメイプルやスプルース、マホガニー、エボニーなどギターやヴァイオリンに使う楽器用材を扱うお店があったからなのである。今回マンドチェロを求めることが出来れば楽器を作るという機縁も遠のくが、そうでなければ自分のためのマンドチェロをいずれ作ってみようかとも思っているので一度品質や値段や品揃えを見ておきたかったのである。楽器を作るというのも唐突なようではあるが、楽器には10歳頃から親しんでもいたし実は大学に行く前にそれはまだやきものに出会う前のことだがヴァイオリン製作の道に進もうかという気持ちもあって話を聞きに製作家を訪ねたこともあるので自分にとってはそう気まぐれな思いつきというわけでもないのである。素材としての木も好きなので楽器用の木ばかりではなく栗や欅や栃や屋久杉やそれに神代杉や神代欅などまで様々な木が揃っているこのお店は眺めているだけでも楽しくいろいろとお話も聞きながらわりあい長居してしまった。　昼前に京橋まで戻って数年ぶりの懐かしい人に会い丸の内のちょっと自分では行かないような上等そうなお店でお昼をご馳走になり、いろいろな話をしてから早稲田へ向かう。これは昨日民藝館でみた展覧会案内のポスターを見て知った「八重山古陶展」を見るためで急遽どうしても見逃せないと予定に組み込んだのだ。会場は新宿の早稲田大学敷地内にある會津八一記念博物館である。この展覧会は早稲田の丹尾安典教授と沖縄古美術を扱われる観宝堂の吉戸直さんと現地で窯跡を発掘された阿利直治さんの最新の研究成果の発表でもあり、今まであまり明らかにされていなかった分野だけに非常に重要な展覧会であると思う。沖縄陶に関心のある自分などにしても八重山古陶といってもパナリ焼などは知っていてもその全体像はよく知らなかったし、あの素晴らしい沖縄本島の陶器の亜種くらいにしか思っていなかったから、それが実に骨太で立派なまた特別なうつくしさを持つものだったのでこれには驚かされ非常に感激した。確かにこれは沖縄のやきものではあるがその造型にも独特の格調があり、また原料も違うのだろうし一概には言えないにしても窯の温度を上げて焼き切るのになかなか苦労したような感じがするものも多く、だからこそそこに籠められた力は大変なものだと想った。沖縄のやきものはよい仕事を選べば今出来のものでも日本本土のものとは桁違いの力量があるものも少なくなく、すこし時代を遡れば仕事はさらに素晴らしく頭が下るものばかりなのである。実際に自家でも沖縄のものは大好きなので随分いろいろと身近に置いて眺めまた使っているがどういうわけかこのページではあまり紹介したことがないように思うのでこれはまた日を改めて機会を作りたいと思っている。古いものの内でも1682年の壺屋に統合される以前の喜納、涌田、知花などの古窯のものはさらに質朴であり、今までは喜納や知花だと思われていたものも最近の研究では実際には八重山であることが明らかになったりして、研究者でない無責任な立場のぼくなどは素晴らしいものはみんな八重山などと言ってしまいたいような気持ちにさえなるほどに素晴らしいものものを見ることが出来た見ごたえのある会だった。よいものを見れば言葉を失い黙ってしまうかあるいは誰かに感激を伝えたくなってしまうかだが、ちょうどそこに思い掛けないことに日本民藝館の若い学芸員さんが休みをとって見に来られたのに出会ったので、昨日は展示会場で何か忙しそうに仕事をされていたのでご挨拶くらいしか出来なかったということもあり、ご迷惑かとは思いながらもこれ幸と捕まえてあれこれ話しかけてしまった。　とは言えやはり今日も予定はぎっしりと詰まっていて、これも予想以上のなかなか充実した常設の方もざっと見て二時間足らずで神田へ向かう。早稲田といえば古い知り合いがかつて住んでいたところでいっしょに神楽坂から飯田橋まで散歩したのもいい想い出だが、また漱石の家があったあたりでもありちょっとゆっくり歩いてみたいと言う気もしたがこれもまたいつかということにせざるを得ない。　神田の神保町は古書で有名だが小川町から駿河台あたりには多くの楽器屋さんが集まっている。今回の東京行きは昨日の柳宗悦邸の公開日と共に、もうひとつはこの内の一軒にマンドチェロがあると教わったのでさっそく連絡を入れて見に来たというのが目的だったのだが念願のKentucky KK-4 マンドチェロも実際に見て弾かせて頂けば発売当時の値段から想像していたよりも材もよくなく音の出方も腑に落ちなかったし、それにネックもごろんと太くて自分の手にはあまりに扱いにくいような気がしたのもありせっかくだったが見送ることにした。期待しすぎたのかもしれないが無理して支払うには躊躇われたのでほとんど連れて帰る気で出掛けてきたから残念だったが仕方がない。　一応目星を付けて来た古いギターを扱うお店を数軒廻りマンドチェロがないか尋ねて廻るがやはりないので古いマーチンギターを見せてもらう。自分の経済ではギターに今支払える気はしないが、それでも同じほど出すならマンドチェロより断然こちらだよなと思えるような40年代や50年代のよく鳴るO-18などいくらもあって弾いて魅かれる。古い楽器には特有の反応のよさと鳴り方があって好きだ。御茶丿水の駅に着くまでには本当にたくさんのギターショップがありよいものを何台も触れて満足。これは結果からするとマンドチェロに未練を残さないためにも役に立ったような気がする。楽器なのでもちろん個体差はあるに決まっているがこうなった以上はもうKentuckyのマンドチェロは探さないで自作するか他を当たるかで考えるしかない。　御茶丿水から東京駅へ向かいロッカーの荷物を出してそのまま北回りの山手線で新宿へ。新宿では少しその辺を歩き回ってみたが簡単な食事を済ませればもう持て余すほどの時間はなく西口から京都へ向かうバスに乗った。　早稲田での「八重山古陶展」はすでに14日で終わってしまいましたが次は那覇と八重山にて展示されるようです。大和の人にとってはとんでもなく遠いのは事実ですがそれでもやきものに興味のある方はぜひ出掛けて行って御覧下さい。強く御薦めします。・東京展　早稲田大学會津八一記念博物館　6.25~7.14・那覇展　那覇市立壺屋焼物博物館　7.31~8.12・石垣展　大濱信泉記念館　8.17~8.25

  2007.07.12

• 築地～渋谷～駒場～荻窪～青山～秋葉原

  　前回懲りたはずの深夜バスにまた乗って東京へ向かう。前は京阪バスの営業所で手配した両方の窓側と中心に席があるゆったりしたバスだったが、ネットで探せば普通の観光バスのような中心の通路の両側に二席づつがあるさらに格安のバスがあることが分かったので今回はともかく値段を最優先にしてその安いバスを予約したのである。ネット予約での値段は曜日や便によって多少値も違い往路は3500円、復路は4000円という格安のものが手配出来た。何がどうでかくも安いチケットを選んだのかというと基本的に貧乏なのは言うまでもないが、今回の東京行きの目的のひとつがとある楽器屋さんで見付けたと情報を頂いたマンドチェロを見ることで場合によっては自分にとってはなかなか思い切った値段のこれを買って帰りたいと思ったから交通費などは少しでも節約したかったのである。　そういうわけで前日夜に京都駅を発したバスは早朝に東京駅に着いた。前回は後の予定に近いという理由で新宿で降りたが時間をあまりに持て余して弱ったので今回は東京駅まで乗って築地市場で朝ごはんを食べた。やはり贅沢はやめて海鮮丼のお店に入ってみたが期待したほどでもなく案外なんてことはなかったのだが、まあこれはこれでかまわない。　山手線で半周して渋谷で降りその辺のカフェで慣れない街の地図を見ながら一日の行動順の計画をだいたい立てて、昨年復原された駒場の旧柳宗悦邸を見学する。ここは最初の公開期間はものすごい人出で混雑していたそうだが今はもう落ち着いたのか朝一番に訪ねたぼくはゆったりとひとりで見ることが出来た。昭和10年に建てられた伝統的な日本家屋ではあるが随所になかなか個性的な工夫が見られるように思った。たとえばやはり民藝運動の同士である京都五條坂の旧河井寛次郎邸などはこれもなかなか斬新に創作されてはいるが、それでもそのベースには後に民芸様式としてイメージされるような骨太な農家が原型にあるように思われる。しかしこの柳邸には全くそういう気配はなく実に往時の都会の暮らしに見合ったものだという気がした。やはり民藝運動の中心的人物である益子の濱田庄司旧邸は北関東の豪壮な農家をそのまま移築して住んでおられたことも含め、これはそれぞれの資質と好みが現われたことのようでなかなか面白いという気がする。建築のことは素人の自分にはよくわからないがそれでもこの家の書斎であの膨大な柳宗悦の思索と著述が為されたのだと思えばこれはなんとも感慨深いものである。　柳邸の向かいにある日本民藝館の本館のほうはいま「白磁と染付」と題された夏らしい展覧会が行われていた。伊万里や李朝（今では「李朝」というよりはやはり「朝鮮時代」と言うほうが本当でしょうが民藝館のものは柳宗悦が当時使っていたこの「李朝」と言う呼称がしっくり来るような気がします）や古染付などを中心に様々な調子の白と藍色の磁器の世界を楽しんだ。いつも図録などで親しんでいるものも多く展示されているが、中でも砥部焼の鎬紋の筒は探しても類例さえ見かけないもので実に好きなこれが出ていたのも嬉しかった。民藝館の収蔵品は言うまでもなく素晴らしい工芸品の集積だがそれは普通の意味での名品主義ではないので、いまでも数千円くらいで露店で買えそうな傷物の伊万里雑器でも世界規模のオークションでそれよりさらに数千倍も評価されそうなものでも同じ美しいものとして等しく扱われ並べられていることがこれはこれで当然そうあらねばならない有様とはいえなかなか実現し得ない希有なことだと思います。こういうことをやって美的水準とその統一感が全く破綻しないのはよく言われるような柳宗悦の眼の確かさと共に民藝館の現スタッフの方々の力量のように思います。白磁と染付以外の展示室もそれぞれ非常に見ごたえがあり、土器や焼締などを中心に土肌のものが集められた部屋は堤、信楽、瀬戸、丹波、多々良など一際印象の深いものでした。　この後は荻窪のあたりが最近面白いと聞いていたので特に情報もあてもなく行ったものの荻窪駅から西荻窪の駅まで歩き回っても何も見つからず雨と蒸し暑さに嫌気がしてまた電車に乗り新宿で一軒、青山で2軒の見たかったお店を訪ねてみた。東京の街は行き先の住所がはっきりしていてそして簡単な地図でも持っていれば街角にたくさん番地の表示があるし、人に尋ねても割合みんな親切だから簡単に目的地に行きつける。しかし青山では駅に戻ろうとして迷子になり延々と墓地の間の道を歩いたがこれほど広くたくさんの墓があるとは思わなかった。東京は他所者の自分などがイメージするよりはよほど緑もあり、青山霊園でもたくさんネコがいてなかなか悪くない気がした。歩き回っている内に暗くなりはじめたのになかなか墓地から抜け出せないで弱った。ようやく大きな道路に出て駅にたどり着いた。　夜はこれも前から一度は泊ってみたかったカプセルホテルをこの機会にあらかじめネットで格安予約したのだ。たくさんある内でも秋葉原を選んだのは翌日の予定の便宜と共にやっぱりオタクの聖地とかいわれているくらいだし何かオタクなものがちょっとは見られるかという気もあったのだ。ところが荷物を置いて食事に出たが秋葉原の街はあんがい夜も早くてシャッターが降りているところが多い。メイドさんがティッシュを配っていたのと道路の向こうに巨大なしょこたんの看板をみつけたのとくらいであっけなくアキバを満喫したような気にならないでもなくなんとなくそれで満足して、適当にその辺のお店で簡単なご飯を済ませてこの日の予定は終了。・9月24日までの「白磁と染付」を身の回りのものに関心のある全ての方にお薦めします。

  2007.07.11

• 日々

  　長いこと生きていると少しづつ思い出が積み重なってゆく。ぼくはそういう日付をあまり覚えないほうだがそれでもいったん覚えたら忘れもしないので、かつて身近にいたひとの生まれたり亡くなったりした日に気が付けばやはりちょっと懐かしく特別な気持ちがするものだ。何年も会うことが無ければそれがこの世の人であろうとなかろうとたいした違いがある訳もなく、誰であれ何年かあるいは何十年かすればまた会うのだという気がする。もちろん身体と精神は死ねばそれまでで霊魂も何も残らないからこそ、無いところに在る人が無いところで会うような気がしないでもない。　写真は手元でいつも眺めている鉄鉢。

  2007.07.07

• 白釉　鉢

  白釉　　鉢　　　2007春　　h:12cm　w:25cm　今回のシリーズは三脚を使わないで写真を撮るには光量不足で手振れ気味ですがそのことはまあともかく、畳の上のこういう感じもものを撮るには悪くはないと思います。でもこの鉢なんかは特に瑞々しいサラダでもどかっと入れて朝の光で撮りたいような感じもしますね。　　このように口辺を押して変化を付けた鉢や皿は輪花鉢とか輪花皿とかいいます。ぴしっと轆轤でかたちされた口辺が好きです。茶道のお茶わんみたいにグネグネと破形を狙って潰したものはグロテスクで使えないと思っていますが、轆轤のかたちを残しながら変化を付けた輪花のものは、たまにはこういうのもおおらかな感じがして悪くない気がします。　5日間続けてきたギャラリーアールのシリーズもこれでひとまず御終いです。作陶家のブログでこういうのもなかなか珍しいかもしれませんが、5日も連続で自作のものを紹介するのはたぶんこれが初めてです。

  2007.06.26

• 白釉　壺

  白釉　　壺　　2007春　　h:21.8cmさらにもう一枚ギャラリーアールでの写真です。網代、古材、畳。こういうのいいですね。

  2007.06.25

• 白釉　皿

  白釉　　皿　　2007春　　h:21cmこれもギャラリーアールでの写真です。かたちは17世紀頃の古いデルフトをほぼそのまま写したのですが、このような縁が大きく取られたものはありそうでなかなかありません。実際に在るのか無いのか、という気がします。それは幻かもしれませんが在って欲しいものを作ってみたのです。白釉もデルフトと同じく錫の白なのですがこれは窯も焼き方も違うのでああいう気配を求めながらも技術的には東洋の灰釉陶器の伝統に基づいています。本当のデルフトと比べるとやきものとしてはかっちり堅くてよく締まって重みがあります。白無地のよいデルフトの皿をひとつ手元に置きたいと念じつつ・・・

  2007.06.24

• 白釉　阿古陀壺

  白釉　　壺　　阿古陀型　　2007春　　h:12cm今日も昨日に引き続きギャラリーアールの展示中のものです。こういうくぼみのある姿のものを阿古陀といいますがこれは阿古陀瓜のかたちに由来した呼び名のようです。その瓜を自分はまだ見たことがありませんが、丹波立杭で師の元で修業していた時にこういうかたちの柿を見たことがあります。この柿の姿を思い出しながらときどき阿古陀のものを手がけています。

  2007.06.23

• 白釉　水注

  　またもしばらくぶりになりましたが自作のやきものを紹介します。春に焚いた窯のもので、ギャラリーアールの会場で写した写真です。春の窯はほとんど全てオランダのデルフト焼のような錫釉の白い器を入れました。暖かく柔らかい調子でミルクのように光を吸い込むような白を作りたいと願って数年間取り組んできたものがようやくおおよその目処が立ったのでたくさん取り組んでみたのです。ところがやってみると思ったよりも焼成条件がデリケートで薪の灰が掛かったものが好ましくなかったり、心持ち控えた温度が徒となって釉薬が溶け切らなかったりして思い掛けないくらいのロスがでてしまいました。もちろんこういうことはこの経験をふまえて次に生かせばよいのですから構わないのです。こういう風合いのものならばどのようなかたちが好ましいか、というような感じで先に色つやがあり、そのもとでかたちを探りながら仕事したのはあまり今までにない経験でした。　ちなみにこういうハンドルの付いた水注は伝統的にはあまり日本では見られなかったものですが、おそらくは1923年の濱田庄司さんのイギリスからの帰国後の仕事などが始まりではないでしょうか。しかし例外的に九州の小鹿田の窯にはどういう訳か1954年のBernard Leach来訪以前はもちろんのこと、濱田の影響など受ける以前の昔からあったそうです。こういうハンドルと注ぎ口のある器は日本では水差し、水注あるいはピッチャーと呼ばれることが多いように思いますが、アメリカではPitcher、そしてイギリスではJugと呼ぶほうが一般的であるように思います。

  2007.06.22

• 鉈鞘

  　しばらく前にとある道具屋さんの会でかねてから切望していた鉈鞘の籠を見付け求めました。アケビやブドウの蔓のものもよくあるのですがこういう竹で編まれたものが欲しかったのです。以前にもここで鉈鞘には触れましたがそれはちょうどこういうふうなものを思い浮かべて書いていた訳です。　かつて日本の暮らしのなかで用途に応じた様々な籠や笊が作られ使われていたのですがそれらはどれも素敵にうつくしいものです。中でもこのような山人の暮らしに伴うものは彼らの自製であるかもしれません。荒っぽい仕事ではありますが花入れの籠などとは対極の素直でたくましく好ましい気がします。　何か夏の花を入れて見たいと思っていたのですが買った日にあっさりと京都の実家に取られてしまいました。まあこちらも持ち出したものなどあったりするので文句も言えません。先日少し寄った折りにオトギリソウ、シモツケソウ、コバンソウ、アザミなどが入れられていました。

  2007.06.17

• 30年ぶりに聴いて感じたこと

  　南丹市のケーブルテレビにはふたつの独自のチャンネルがあり一方は地域の天気予報を一日中流しており、もうひとつは様々な地域情報番組のチャンネルである。夜ふとテレビをつけると永富研二とテネシーファイブのライブ演奏が放映されていた。子供の頃から地元京都のラジオ局で諸口あきらさんの深夜放送を聞いていたので初めて行ったコンサートが諸口さんのたしかDJ10周年記念だったと思うがそのアンコールコンサート。ちなみに初めて買ったLPレコードはやはり諸口さんのファーストアルバムでそのアルバムのバックバンドは高石ともやとナターシャセブンであった。そしてそのコンサートの方のバックバンドが当時から京都のカントリーミュージックでは有名な永富研二とテネシーファイブだった。諸口さんの同じ曲でも演奏が違えば随分違うものになるのだな、ということを知ったのも自分の好みは軽やかなナターシャセブンのサウンドであったこともいまでも鮮やかな記憶であるが、とはいってもこのコンサートは子供心に大いに興奮したことも覚えている。　子供の頃からバンジョーの音色が好きでブルーグラスなど聴いたり演奏したりしてはいたものの、もともとカントリーミュージックはどうも肌が合わないところがあって好きではなかったのでテネシーファイブの演奏はそれ以来聴いたことがないように思う。それが10年ぶりに手に入れた我が家のテレビから30年ほどの時を経て突然現われたのである。メンバーには若い人も居られたのでいくぶん変動はあったようだが何といってもその頃から30年もの長い間活躍されていること自体は簡単ではない立派なことである。　ところが当時は音楽のことは何もわからない子供だったとはいえ随分感心して聴いていた同じような曲もこちらが変ったのか先方が変ったのかはわからないがやるせないほどにお粗末なものに感じた。嫌ならすぐにチャンネルを変えて見なければいいといえばそれまでだが、なつかしいのと永富さんとはその後二十歳前後の頃には多少の縁もあったりしたのでついつい見てしまったのだ。お粗末なだけならばそれでよいがそれがなんとも醜悪なものを見てしまったような気になったのには正直自分でも戸惑った。　世の中にはよい音楽とひどい音楽がある。よい陶器とひどい陶器がある。ものをはっきり言わない時代のなかでこういうことが曖昧なままに容認されているのはあまり幸福なこととは思わない。政治、道徳、倫理、哲学全ては同じような事情のもとにあるのだ。

  2007.06.12

• どくだみ

  　6月になったすぐから螢が飛び始めた。気が付いたのが6月の初日であるというだけのことで5月の終わり頃からたぶん出ていたに違いなく今年は少し早いような気もする。そして家のまわりでは初めてのどくだみの花が今日咲いた。わらびもまだ少しづつ出ているし、あざみはもう少し早くから咲いている。こういう季節のことを記すのは気分の良いものだ。　どくだみの花は気品のあるシルクのような白い色をした十文字の花。赤い茎もやはり赤く縁取られたハート型の葉っぱも印象的なものだ。失敗した陶器の欠片で軽く押さえて李朝白磁の碗に入れる。　　

  2007.06.09

• 篠山へ

  　午後から思い立って篠山の丹波古陶館に行く。丹波の古陶は気持ちの中でスリップウェアと並んで自分のやきものの大きな柱なのでいつでも何度でも見たいのだが日本でいちばん古丹波のあるこの館が車で一時間ほどの気軽に行ける場所にあることはありがたく幸せなことだと思う。古今東西うつくしいやきものはいろいろとあるし好きなものもいくらでもあるが八百年の歴史を重ねた古丹波のその時代時代の様々な姿のそれぞれに気持ちが魅かれるのだ。これほど長い歴史を重ねているのに嫌なものがほとんどないうえにとんでもなくよいものが各時代にあるという窯は日本でも多くない気がする。　そういう訳で丹波のやきものはいろいろと手元にも置いて身近に暮らしてはいるが、特に室町時代以前の世評の高い立派な品は自分などの買い得るものではなく、年に何回かここを訪ねてゆっくり拝見しているのである。今回も多分半年ぶりくらいであったが入ってすぐ受付の方に「前野さまですね」と声を掛けられて驚いた。地方の街の小さな美術館とはいえ年間数千人は来客もあるだろうに年間の会員ではあるものの何も特別な客でもない自分の顔などどういうわけで覚えておられたのだろうとこれには面食らった。　何度来ても丹波の古陶は素晴らしすぎて満足する。満足すると同時に自分の仕事の覚束なさも突きつけられているようで息苦しいような気持ちもする。ともかく夕方までゆっくり拝見してそのあと篠山の友人のところを訪ねた。玄関に掛けてあった大判の羊皮紙に書かれた古いグレゴリア聖歌の楽譜が素晴らしく立派で、子供もいたりしていろいろ大変だろうにと思うとそれでもうつくしいものを思い切って買った偉さには頭が下る気がする。最近の蒐集や仕事を見ながら話しする。なんともよい仕事ぶりで自分も頑張らねばと刺激を受ける。こういうことを書けばまた角も立つというものだが、友達や知り合いにもものつくりのひとは少なくないが、よい仕事をすることは誰にとっても難しいことでむしろよいもののほうが少ないというのは世間一般であれ交友関係であれ大差はない。古丹波やネウマ譜が立派なのはとてもかなわないと呑気に逃げを打つことも出来ないではないが、同時代におなじような事情の元で為された仕事が立派であればこれは自分もひときわ精進してやるしかないという気になる。思い切ってものは買わねばならない。できる限りの無理は乗り越えて仕事は精進しなければならない。

  2007.06.06

• トップページ

  　ひさびさにトップページの写真を入れ替えました。2月3日からのシュトーレンはそのうつくしさも大変満足していたのですがさすがに時期外れですから。

  2007.05.30

• インターネット

  　生畑ではインターネットの接続環境は長い間ISDNが最速最善の選択だったが、ようやくケーブルテレビが開通してこれと共にネットもブロードバンドに移行した。ISDNは64Kbpsで現状は光ケーブルで30Mbpsなのでおおよそ500倍くらい速くなった訳でこれは亀と飛行機くらい違う訳だから大変便利になったのだということだ。　前にも一度書いたような気がするが、ぼくが初めて買ったコンピュータは大変歴史的なiMacの最初のモデルであり直接のきっかけは研究者達が集まっている場でデータをメールでやりとりしているのを見たことだが、その1998年頃にはインターネットという言葉の意味とその概念が自分にはいまひとつはっきりわからないもののこれが世界を変えるというような期待感がボンヤリとあった。ここに乗り遅れては取り残されてしまうというような不安感と共に、ネットが全く新しい世界を開いてくれるというような期待もあって取りあえずは使ってみたいという気になったのである。今になれば確かにネットの導入ですっかり手紙を書く機会も減りメール中心になり、またテレビと新聞がないこともあって主な情報源はネットになったし、様々な調べものもまずはネットでというようになった。一番ありがたいと思ったのは古書を探すような場合で、京都のような比較的古本屋の多い街にいても何軒も廻りまた一日へとへとになって古書市で探しても見つからなかったような本が簡単に日本全国から探し出すことが出来るようになったことだった。また仕事の資料にしても事情は同じで日本全国はおろか米国や英国からさえ簡単に取り寄せることが出来るとはしばらく前には夢のようなことだという気がする。　とはいうもののこのいかにも未来的なものと期待してはじめたインターネットに初めて繋いだ時はまだダイヤルアップ接続のアナログ回線で小さな写真でも表示されるまでに何秒も掛かり、動画などは3分間10円の接続料金を気にしながら10分ばかりも待ってようやくディスプレイに開いた小さなウィンドウにかくかくとぎこちなくひどい画質のたった数秒の映像が映し出された時には全く腰を抜かしそうに驚いた。未来の夢であるはずのインターネットがこのようなテレビにさえはるか及ばないものだとは夢にも思っていなかったのである。　ようやく接続と設定も完了してちょっとした動画も普通に見ることが出来るようになったが、動画ばかりでなくこの高速回線がこれからどういう世界を開いてくれるのかということを大いに楽しみにしている。　メールのほうはそのうち主に使うのは新しいものになると思うがまだ当分は今までのアドレスを使うことにする。このブログの写真についても今までどおりにそれなりに圧縮して100KB以下のものを使いたいと思っている。

  2007.05.20

• 藤原道長

  　京都の国立博物館へはいったい何年ぶりだろうかというくらいに久々のことだった。藤原道長展のチケットを貰ったのでどうせなら常設の縄文以来の考古遺物なども楽しみにしてゆっくり見ようと訪ねたのだ。売店の横に過去の展覧会図録があり見ているとそこに記された会期はすでに十年ほども前の日付で、その時に一緒に見に来たひとのことなど懐かしく思い出す。　ああいう権力と栄華をどっぷりと享受して最後は来世の心配くらいしかすることが無くなったような人には興味はないが、あの時代の工芸というのはやはり日本の文化のひとつの原型でもあり確かに見応えのあるものではある。ただし展示されているのほとんど全てが道長のような特権階級のもので自分などの暮らしぶりとはあまりに遠く好みとはいえない。平安美術を代表する佛像や佛画の類も小像にいいものがあったが、しかしそのほとんどはどうにも肌があわなくて好きになれない。これは多くのひとも同感するところと思うが佛像なら推古佛のほうが遥かに美しく、またこちらはほとんど賛同者はいないだろうが佛画なら国中に佛教が広まり佛画の需要も増してたくさん摺られるようになった江戸期の佛版画のほうが余程良いような気がする。好みというのは全くどうしようもないもので、そういう好みをはっきりさせることはつまり自分自身をはっきりと自覚するということでもあるが、好きでないものを見ることはただ勉強になるというだけのものでしかない。この展覧会で見たかったものは経塚関係のもので金銅の経筒や経筒の外容器である渥美や須惠の壺であったが予想どおり何でもない空き缶や壺と同じだった。しかしだからと言ってそれらの価値が下るものではなく、むしろ何でもないからこそそれは素晴らしくうつくしい。ほかにも経箱や紺紙金泥経も大変風格のあるもので心魅かれた。平安写経の類は個人が買えるような数行のものではなくさすがに一巻そのままで並んでいたが文字と風合いのよいものを数行でも持てればという気になった。道長があの時代に浄土を希求する気持ちは自分などがこういうものを欲しがるのと本質的な違いはないのかも知れない。彼も999年後に生れたらいったいなにを欲しがっただろうか。

  2007.05.18

• スリップウェア物語　16

  slipware!!!SLIPWARE!!!!!すりっぷうぇあ！！！！！！！スリップウェア！！！！！！！！！！！！イギリスのスリップウェア出ました！しかも売り物なんだぜ！！！とあるところに2点、さらに1点とあるお方が手放すという情報がっ！　

  2007.05.17

• 大阪日本民芸館へ行く

  　大阪日本民芸館の展覧会『現代の染織-暮らしの美を求めて』の記念講演会に行く。国画会の重鎮柚木沙弥郎・古澤万千子の両氏による「染織の楽しさ」と題した対談。大変尊敬する古澤先生のお話が聞けるとあって出掛けてみたのだが両氏共に手仕事の人でありあまり話慣れされている風ではなく対談としてはうまくかみ合わないふうな感じだった。古澤先生は年長の柚木先生をたえず立てるような調子であり、その話から受けたのは非常に知的な作家であるという印象だった。こういう話を聞けばやはりいろんなことを考える。本当ならばきっちり聞いて頭に叩き込んで帰ればよいのだが、その場であれこれ考えてしまい日が経った今になれば肝心の話がはっきりと残らないという間抜けなことになってしまった。　展示の方も同じでこういう日に行けば知り合いも多く、しばらくぶりで話し込んでしまったりして生田和孝師の大鉢が並んでいたことやお茶席で出して頂いたものがやはり生田師の黒釉の茶碗であったことと古い伊万里の蕎麦猪口や英国のスリップウェア、スペインの家具が無類に立派だったことなどばかりで現代の染織の印象が薄くなってしまった。　　

  2007.05.13

• フォーク

  　ふと思い出したのだが幼稚園の頃はプラスティックのハンドルの部分にトッポジージョの絵が描かれた小さなスプーンとフォークでお弁当を食べていた。記憶というのは面白いものでこのひとつのことに引き出されるようにブルーの小判形のやはりプラスチックのお弁当箱を黄色いナプキンで包んで持って行っていたというようなこと、それに先生の顔や唄っていた歌のことまで思い出した。それはともかく、このスプーンとフォークはいかにも子供向きのもので小さいころは気に入って使っていたのだろうが、やがてはその頃のどこの家庭にでもあったようななんでもない安っぽいステンレスのものを使うようになり、壊れるものでもないので一人暮らしをはじめるまではそういうもので間にあっていた。親類の結婚式などでホテルで食事をする機会にはもう少し分厚くて上等そうな大小様々のスプーンやフォークを使うことはあっても、日本の普通の青少年は大抵そうだと思うがはたして世の中にどのようなスプーンやフォークなどのカトラリーの類があるのか、またさらに言うならカトラリーはどうあらねばならないのかというようなことにはまるで関心を持つ機会がないままに育ったのである。　しかしやがてやきものに興味を持つようになり、器に対する好みもはっきりしてくると当然カトラリーも相応の選択をするようになるのは必然のことであった。その頃から少しづつ買ったものが韓国の匙ややはりどこか外国のオリーブを食べる為の小さなフォーク、柳宗理さんデザインのカトラリーなどこのブログでも以前に写真を紹介したものもので、他にもいろいろとあるが今も日々これらを気に入って使って暮らしている。　ハンドルの部分に余計な装飾をしたものはひどいものもあるにはあるが、用途に忠実に作られたカトラリーは総体にうつくしい姿をしている。例えばスプーンならすくいやすくまた口当たりの良いかたちである必要があるし、また同時にハンドルは手に馴染むかたちで重さも全体のバランスがとれたものでなければならない。スプーンというのは用途や素材によって様々な工夫がなされ世界中のあちこちで昔からいろいろ作られてきた。17世紀のオランダで作られたピューターのものやイギリスなどの銀のものにもよいものがあるし、また東洋では古いところでは古墳から出てくる高麗の薬匙などはいかにも優美な姿をしていてうつくしく、時代が下った平たいかたちの李朝のものにしても大いに魅力的である。景徳鎮で焼かれた染付の散り蓮華もなかなかおおらかだし日本のものなら古い根来塗の匙などになんともよいものがある。このように比較的昔からスプーンのうつくしいかたちは完成されていたのである。ナイフやフォークのことはあまり知らないが事情はおそらく似たようなものだと思う。現代の様々なデザイナーもこのやりがいのある仕事に取り組んでいるが他とは違うというような意味での個性を主張したようなものは結局使いにくかったりその特徴が鼻に付いたりしがちでなんでもない普通のものにはかなわない。かといってその辺のお店で売っているプレスで抜いただけの安物も変な装飾があるものは論外としてもそうでない場合さえシンプルではあってもちゃちすぎて機能面でも美の点でも物足りないものが多いのも事実である。ステンレスのようなある意味味気ない素材は扱いが難しいのだろうと思われる。　ステンレスのものと真鍮のものは口に含んだ時の味が明らかに違うし、熱の伝わり方も素材ごとに違うので例えばアイスクリームを食べる時には銀のスプーンの冷たさが魅力であるようにこれは料理によって考えなければならない。料理の半分は眼で味わうということからするとそういう意味では当然スプーンの素材とかたちも味の内である。　　日々の暮らしにはこういう実用品としてのいくつものカトラリーが欠かせないが、最近見た古いフォークには大変感激した。それは開拓時代のアメリカで使われていたもので、古いごみ捨て場跡から見付けられた実になんでもない粗末な鉄のフォークである。そこからは様々な鉄製の品物が発見されたのだそうでアメリカにもこういうものを面白いと見て探し集めてくる人がいるということも素晴らしいことだが、そこに美を認めて招来した日本の道具屋さんの見識と審美眼にも頭が下る。初めてこれを見せられた時にそこには他にも沢山の素晴らしい器などもあったがそれらにも増してこのフォークには魅かれた。その時に思ったのはあの有名な広隆寺の弥勒菩薩のことでこれはたぶんこの細くやつれたフォークとあの像の指の色や形が似ているという即物的な印象ばかりではなく、もともとの姿が長い時を経てその髄だけが残ったとでも言うような繊細であると同時に強靱な研ぎ抜かれた美の確かさに同質のものを感じたのである。それであんまり感激して「もうこれから一生これでご飯を食べる」と言ったが事実その時はそう思ったのだ。しかし実際は錆びて脆くなったこのフォークはいわば高松塚の壁画のようなものでもありもう現役で使うべきものではなく現代のしっかりとしたものを使うほうが暮らしとしてはよほど健全であるということがわかった。しかし工芸品としてこれほどうつくしいものはまたと無い（実際にはあるのだろうが）というようなシンボリックなこのフォークを手元に置くことは工芸家にとっては多いなる幸福感とよい仕事をするべき責任を感じるのである。

  2007.05.04

• 第14回草萠舎展閉会

  2007.4.25~30京都の烏丸夷川にあるギャラリーアールにて第14回草萠舎展を開催しました。沢山の方にお出で戴きありがとうございました。竹田道生さんの磁器と松井一晃さんのガラス絵と木版画に自分は今回は全て錫釉を用いた新作の白無地の器を並べました。古い京町家を利用したこの画廊はぼくたちの仕事を優しく受け止めてくれたような気がします。冒頭の写真は一階の外から見たものです。二階は町家そのままなのでさらに落ち着いた雰囲気なのです。

  2007.05.02

• 再会

  縁と言うのは不思議なものでこんなところで再会するとはと驚くようなことってあるのですね。すごいものは果てしなくすごいな。

  2007.04.29

• 第14回草萠舎展のおしらせ

  　今日は生畑は小雨が降っています。京都市内はどうでしょうね。いま12時を少し過ぎたところですが本日正午から30日まで京都の烏丸夷川にあるギャラリー・アールで3人展をしています。自分の今回の展示はこの前の窯焚きの分の無地の白い器のみです。マグカップやカフェオレボウルなど普段使いの小さな器がほとんどです。お近くの方やこの辺に用事のある方は覗いてみて下さい。　

  2007.04.25

• 弥勒菩薩半跏思惟像

  　佛像に少しでも興味のある人なら誰でも知らない人は無いこの有名な京都太秦の広隆寺にある弥勒菩薩半跏思惟像を今更あえてうつくしいなどとここで取り上げるのはあまりに馬鹿げているには違いないが、しかし実際にこれほどうつくしい佛像はまたと無いとも思われるのも本当だ。この佛像が国宝第一号に指定されたのも当然と思われるくらいにこれは図抜けて優れた作である。同じような姿をした半跏思惟像が奈良の中宮寺にもありしばしば同列に語られもするが、ことうつくしさの点ではこの広隆寺佛と中宮寺佛では比らぶべくも無いというのが実感だ。何も国宝はうつくしいものを選んで指定している訳ではなく、むしろ貴重なものを指定しているので美の方からすれば案外にも嫌なものやつまらないものも少なくないがこの半跏思惟像は玉虫厨子や高松塚古墳の壁画などと共に真に日本の宝物としてうつくしさの点でも資料的価値からしても文句無しの選定であろうと思われる。　この佛像については日本で作られたという説や、新羅か百済で作られたとする説もありはっきりしないが、こういうものが我が国で千年以上も大切に守られてきて今のこの姿で存在するということを認めてまさに日本の国宝であると言って差し障りはない。これはやはり陶器の国宝である井戸茶碗が朝鮮の産であるのに日本の宝であるということと事情は同じで、日本に伝わらなかったとしたら間違いなく今この姿で残ってはいないと思うのだ。ひどく冴えた作りではあるにせよあの投げやりな程に粗っぽい仕事ぶりの安物の丼碗を日本の美意識は汚れても割れても捨ててしまいはしなかった。また本来はこくそ漆で肉付けされてよりふくよかで金色に輝いていたこの佛像が長い年月と共にやつれ果て赤松の心材だけになった姿そのままを眺めてきたのである。井戸茶碗にしても弥勒菩薩にしても諸説あるのは承知しているが、変なナショナリズムで眼を曇らせないでただもの自体と向き合いたいと自分はこのように想っている。　書き始めればついつい前置きが長くなったが、写真は京町家で暮らす外国人のともだちが神棚に置いていたポストカードの部分を写したものである。「ここは神棚だから惜しいけどちょっと違うんだよ」と指摘した時に彼はそれを気にしてかすぐにカードを下ろした。その時にこの佛像のうつくしさについて話したかどうかは覚えていないがたぶんそういう話をしたのだろう、彼はぼくにこのカードをくれた。余計なことを言ってしまったような気がしたことは覚えている。以来数年間このカードはぼくの轆轤の脇の壁にピンで留めていたのだ。　その彼がもうすぐ国に帰ってしまう。ぼくは彼から沢山のことを学び、拙い日本語や違う文化に育まれた人の言動から自分自身と日本文化を相対化してみることで様々なことに気付かせてもらった気がする。今日しばらくぶりに会って一遍上人の話をした。ぼくには数年間のなんともありがたい付き合いであった。

  2007.04.21

• 窯道具

  　やきものの窯道具というと大別してふたつの群に分けることが出来る。一方は窯を焚く時に使う金属の道具類で薪や窯の中に溜まった燠などを捌く時に使う棒などで先端をＬ字型に曲げたものや縦や横に小さな金属板を溶接して燠を掻きやすくしたものなどが見られる。もちろんスコップ状のものや鋏になっていて色見本や茶碗などを高温の窯からつまみ出すような道具もある。自家ではＬ字型のものと先端がＹ字型に開いたものでだいたい間に合っている。　そうしてさらに多様なのがもう一方の品物を窯詰する為の道具類である。一般的に使われているのは高温に耐えるカーボランダムやムライトなどの材料で作られた棚板とツクと呼ばれる棚板を支える支柱であり窯のサイズに合わせた様々なサイズの棚板と品物の寸法に合わせた高さのツクとで窯の中に何段かの棚を組んで品物を詰めるのが最も一般的な方法である。場合によってはサヤと呼ばれる四角や丸の桶状のものに品物を入れて積み上げる方法もあるが嵩張るのと燃費の問題から登り窯以外ではやや特別な場合以外はあまり使われていないように思う。　これらが現在日本の陶家で用いられているほとんど全てであるが、カーボランダムなどの高耐火度の材料がなかった時代には火に強い土を選んで分厚い土の板を作って用いていたし、さらに遡れば天秤積みと呼ばれる方法や、品物ひとつづつを小さな焼台に乗せたりなど様々な方法が工夫されていた為にそれぞれ固有の形状の窯道具が使われていた。今ではあまり一般の陶器ではしないが茶碗でも皿でも壺でも土瓶でもいくつも積み重ねて焼くことも極当然に行われていたのである。　自分が知っているのは日本やそのルーツである朝鮮の窯のことばかりだが、技術の系譜を全く異にするヨーロッパの窯ではまるで違う方法がとられていたことは今に残るやきものそれ自体を見れば明らかである。例えばオランダのデルフトなどを見れば器の底まで全体が釉薬に覆われているものが少なくない。こういうものを焼き上げるのは日本の陶工にとってはなかなか厄介なことである。窯の構造の問題があり、土や釉の性質と焼成温度などの問題があるのは事実だが、やきものを見て技術的な面で第一に驚くのはやはりいったいどのようにして窯の中に置いたのかということなのである。割合大きな皿などでも口辺に近いような場所に三ヶ所ほど小さなピンのようなもので支えた跡が残っている。こんなやり方で瀬戸や唐津が焼いたとすれば高温の窯の中で器はひとたまりもなくかたちを崩してしまうに違いない。このことからデルフトは土が軟らかくなるような高温で焼いていないということがわかる。あるいはいったんしっかり焼いて固めた後で比較的低温で熔ける釉薬を掛けて再度焼いたとも考えられる。　いったいデルフトの皿はどのようにして焼かれたのか、ということは自分の長年の疑問であった。出来上がった品物を見てあるいは陶器のかけらを見てその原料や技術を学ぶのはやきものの一般的な勉強法ではあるが、これはスリップウェアでもそうだがまるで違う系譜の外国のやきものが語りかけてくれる言葉はなかなか理解に手間取った。自分にとって本当に肝心なことはデルフトならデルフトのうつくしさを現代の日本の暮らしに用いる器に生かしたいということで、何もデルフトと見分けがつかないものを作ろうということでは決してないのだが、それでも本来のデルフトがどういうものかを知ることは不可欠なのである。自分はまだまだ試行錯誤の途中であり、釉のことや焼具合も掴み切れないでいるが、窯詰のことに関してはオランダによく行く人に探してきてもらった古い窯道具を見た時におおよその見当をつけた方法と道具はそう遠いものではなかったことを知った。　それは器物を焼く時の台でその目的は解らないがこれ自体が薄く施釉されているように見える。燃料の灰が掛かって溶けた自然釉だとすれば合点も行くのだが灰が熔けるほどの温度で焼かれたとは考えにくいし、そもそも薪を燃料とした窯なのか石炭なのかさえ自分は知らない。　現代の日本のやきものはカーボランダムの棚板に品物を置く場合には棚板にアルミナを塗ってまた器のほうは底の釉薬を拭い取ってそのまま置くのが一般的である。ガスや灯油や電気の窯なら普通は土と棚板はくっつかないものだが、薪窯の場合は窯内の場所によって変に高温になって焼き付く場合があるのと燃料の灰が溶けてくっつくのとでほとんどがシリカ分である砂か籾殻の灰を撒いた上に置いたり、石灰分の多い貝殻の上に乗せたり、あるいは耐火度の高い荒い小さな土の粒を底につけて外れやすくしたりという工夫をする場合も多い。昔はそうするよりなかったこの方法を今でもあえて採用する理由としては籾や貝のアルカリ分が土に反応したり、炎が底にも回ったりして棚に直に置いたのとは違う味わいのうつくしさに恵まれるということも大いにある。　自家の窯も普段はほとんど全て小さな土粒を付けて焼いているのだが今回はデルフト調の白無地がほとんどだったのでデルフトのような窯道具を沢山作って使ってみた。品物に合わせて大小様々な型を作って何百と型を起こす作業はそのいくらかを遊びに来た友人にも手伝ってもらった。こういう慣れないことをしたのも一際時間が掛かった原因なのである。

  2007.04.16

• 「フ」

  　なんだかんだで相当遅れてしまったが一昨日ようやく窯を焚き終えた。結局予定を遅らせて作ったあれこれは入りきらずこれならひと月前に焼けばよかったというようなことだった。昨日は一日ゆっくり休むつもりが次々来客があり休まらず。最近ヲタになるとか言ってるもので友人が液晶の地デジ対応の新しいのに買い替えたからとのことでずっとテレビを持っていなかった自分の為にテレビとそれに旧型のプレステとゲームソフト沢山を届けてくれた。しばらく前に「いらない？」と尋ねられた時にちょうどこの地区も近々ケーブルテレビが開通するので遅かったネット環境もようやく改善されるついでにテレビも契約しようかなぁと思っていたところだったので渡りに船と頂くことにしたのだ。ところがこれがワイドの29インチで部屋の真ん中にとりあえず置いてみたが大きすぎてこの狭い家のどこに置こうかと思案中。　珍しく徹夜しないで窯詰して、手伝いに来てくれた友人達にまかせて窯焚きの日も3時間程眠ったのでいつもよりは消耗しなかったとはいえそれでも身体は集中したひと月ほどの仕事に切りが付きどんより重く疲れていたので今日は近くの日吉温泉に行ってみた。先日の能登半島の大きな地震の日以来温泉の湯が泥湯のように変ったと聞いていたがたしかに真っ黒に濁ったちょっと油臭がするような感じの湯になっていた。今までは金錆のような臭いの赤茶けた湯だったのだ。誰だって田んぼの泥みたいな中に入りたいとは思わないが不思議なもので温泉だとこういうのもなんとなく有難いような気がするので噂を聞いて来た人たちでいつになく混んでいた。　温泉のポイント会員になろうと受付で申し込み用紙に住所や名前書いて、それを提出して新しい会員カードとサインペンを渡されて「裏にカタカナで名前を書いて下さい」といわれてマエノナオまで書いて手が止まった。カタカナの「ふ」の字がどんな字だったかわからなくなったのだ。受付のお姉さんが「どうしました？」と言うので「ふがわからなくなりました」と言うと「カタカナで名前を書くことってあんまりありませんからね」などと慰められて今さき書いた申し込み用紙を見せてくれた。つい数十秒前にはなんの躊躇いもなくサラサラと書いた文字がわからないのだから困ってしまう。　それから帰りに出口じゃないところから出ようとしてガラスに頭をぶつけた。これはスリップウェアのことを考えていたから仕方がないがやっぱりひどく疲れているのだろう。

  2007.04.13

• ふたつの展覧会「櫻井智子作品展と米国工芸展」

  　あまりにバタバタとしていてとうとう書くことが出来ないままにすんでしまったが京都のギャラリー・アールでの「かたちをさがすー櫻井智子作品展」を28日に見て来た。櫻井さんのことは1年ほど前に友人がネットで見付け教えてくれたのだが、その後数点の小品を実際に見てたいへん気になる作家として記憶に留めていたのである。岡村吉右衛門さんの御作を見て取り組まれたという型絵染の作品なのだが、こういうものを上手く言葉に表すことは出来ないがともかく岡村さんの星座やアイヌを主題とした連作の数々と同じくこれがなんとも霊性的であり素晴らしく、どうしても観ておきたかったのだ。期待をたいへん膨らませて行ったにもかかわらずさらに期待以上のもので大変満足する。御作にはいくつもの相反する要素があるようで素材や姿は違うにしてもこういうものを作りたいものだと改めて思った。　　東京ではアメリカのスリップウェア展があと30分ほどでまもなく開会。ぼくは今日も今から窯焚き手伝いに行き、引き続き例によって遅れている自家の窯も焚かねばならないので行くことも出来ないがこういう会は京都でして欲しい。しっかりお金を貯めておいてそれで誰より先に出掛けて行って初日の朝一番から並んでいちばんいいのが買いたい。実際これほど美しい陶器はない。これを読んだひとは全員夜行バスとか新幹線に乗ってぜひ見に行って下さい。　時間がないので慌てて書いていたら話がちょっとお馬鹿なほうにずれてきたからついでに書いておくが、自分は使えるだけのお金は全部スリップウェアのために使いたいと最近決めたので他は丹波の名品でも型絵染の名作でもなにが出ても極端に節制したいと思っている。

  2007.03.31

• 窯焚き直前

  　搬入や納期のある場合は逆算して期限を切らざるを得ませんが今回は具体的に何日までという縛りがないのでいくぶん気持ちもゆったりと取り組むことが出来るのです。早く焼いてまた次に掛かればよさそうなものだとは思いますが、そういう気持ちと共に今回あれもこれも少しづつでも試しておきたいというような気持ちもあってなかなかキリが付けられませんが、実際に窯に入る量には限りがあるわけでそのあたりをどこで折り合いをつけるかということは気持ちの上でなかなか難しいことなのです。　このところずっと寒くて雪が降ったり凍りついたりの毎日で釉掛け、窯詰の外作業にかかりにくいということもあり、窯焚き直前でもまだあれこれ思いながら轆轤に向かっていますがそろそろ切り上げて進めなくてはなりません。この2年ほど何とは無しの不調でペースダウンしてしまいのぼり窯を以前は年に4回も焚いていたのが嘘のような気持ちになります。今回もほぼ1年ぶりになりますが、実際にこうして日々もの作りの仕事に明け暮れていると身体はヘトヘトになりながらもなかなか夢中になって楽しいもので、次の窯は早いのではないかというような予感がします。今回は白無地のものが大半で、他はスリップウェアや粉引の小品類などなどです。　今まで大半は素焼なしの生掛けを基本としてきましたが、今回は思うところあって白無地のもののほとんどは素焼をしての作業になります。昨日から小さな灯油窯で焼いている素焼もあと数時間で終わります。

  2007.03.17

• スリップウェア物語　15

  　これはアメリカのスリップウェアです。イギリスのものとは技術も材料も違うのでやはりその結果としてのやきものの調子も違うわけですがやはりどちらもうつくしい。自分とやきものを決定的に結んだもののひとつは学生時分に見たスリップウェアで、スリップウェアに対する想いは親しくまたはるか高く、日々情愛を感じて過ごしています。　美術館のケースの中で見たスリップウェアも普段は東京駒場の日本民藝館や栃木の益子参考館に所蔵されている品々の写真を眺めては想いを込めて想像していたのですが、ある日1枚のスリップウェアが東京のとある道具屋さんの雑誌広告に出ていたのを見付けてしまいました。外国の古いやきものが実際に販売されているとは当時の自分にはずいぶん思い掛けないことで驚いたのですが、心を躍らせて取り急ぎすぐに問い合わせの電話を入れたのです。告げられた値段はその頃していたアルバイトの時給の1000時間近くの価格で、心底欲しく想いながらもなんともならなかった悔しさは今もありありと思い出されます。　ところがこの大鉢のことをぼくから聞いた当時の友人が思い切って買い求めました。苦学生の彼がこれを求めたことはどんなに大変だったろうと想像は付きます。思い出してもほんとうに立派なことだと感服するしかありません。受取りに行った東京からの帰りに彼がそのままぼくの家にきて二人で感激して遅くまでいつまでもその鉢を手に語りあったことは20年ほどもたった今でも忘れられません。それは大変立派なイギリスのスリップウェア角鉢でした。　機を逃すというのはほんとうにいけないことで、それから今に至るまで未だ結ばれないのがイギリスのスリップウェアとのご縁ですが、数年前に京都で催された「スリップウェアと流掛釉展」で分けて頂いたアメリカのスリップウェアが今日の写真のものです。これを日々眺めながら仕事が出来るということはなんともありがたく幸せなことだと想っています。アメリカのスリップウェアについてはまたあらためて書きたいと思っていますが、オランダからあるいはイギリスから新大陸にひとが渡った時にやはりやきものをはじめとする暮らしの道具が伝わり彼の地で作られるようになったのがアメリカのスリップウェアなのです。ヨーロッパからアメリカに沢山のひとが渡った開拓時代がちょうどスリップウェアの時代と重なっているのです。ひとが来るということはその暮らしと共に暮らしの道具も伝わるということなのです。渡航の経緯は同じとは言えませんが、新羅のやきものが日本で須恵器に、会寧が唐津に、朝鮮の甕器が黒薩摩や能野になったのと同じようなことではないでしょうか。　ともかく、この展覧会を企画された杉本さんは普段は京都寺町二条の角にある大吉というお店でご家族と共に伊万里や、欧米や日本の民窯物などを扱うお店をなさりながら、年に何度か見ごたえのあるものを集めてよい展覧会を企画されましたが、今月末から今度は東京で「american folk art - 米国工芸展」を開かれます。その案内状には「十八・十九世紀の米国工芸品は、欧州の華やかさとは違う日本的なたたずまいのある物が多々見受けられます。この度、米国スリップウェアを中心に開拓時代の慎ましくも美しい、生活より生み出された陶器や木工品、鉄器、布等々を展示販売させて戴きます。」とあるようにまた多くの素晴らしいものを集めた会を催されます。このブログを御覧のスリップウェアに関心のある方は是非当日会場へ行って御覧下さい。見るべきものはスリップウェアだけではないはずですが、まだまだ知られていない素晴らしいアメリカの工芸に出会えることと想います。　ちなみに今回出されるもののうちからただいま発売中の雑誌『小さな蕾　4月号』にて数ページ紹介されているようですのでこちらも是非御覧下さい。アメリカのスリップウェアをまとめた貴重な資料です。　　場所：港区青山6-1-6　パレス青山アーケード内　「東青山」　tel03-3400-8167　　　根津美術館のすぐ近くのようです日時：3/31（土）～4/8（日）　12：00-20：00　

  2007.03.13

• スリップウェア物語　14

  　これは求めて以来日々使っているフランスの古い茶碗です。以前ヨーグルトを家でこしらえていた時はこの碗がしっくりと来るのでもっぱらヨーグルトに用いていましたが今は本来の生れのままにカフェオレに使うことが多いです。また時には抹茶を点てたりもしています。ケーキやクッキーなどの洋菓子で抹茶を楽しむ時にはこういう茶碗もなかなかよいものです。さすがにこの色では白米はむずかしいのですがワラビご飯や大根葉のご飯などには案外悪くありません。　作陶家には自作ばかりをもっぱら使うという人もいますが、自家では自作のものももちろん使いはしますが気に入って求めた他の人の作やこういう昔の器もどんどん使っています。自分のものも実際に使ってみなければその使い勝手などわからないのと同様に、こういうものもただ図録の写真や美術館のケースの中のものを眺めるだけでなく、手に取り口を付け、他との取り合わせや盛りつける料理を工夫したり、使った後洗ったりして共に暮らしてみなければわからないものです。うつくしいものを知るということは作陶家にとって技術的な訓練と同じ以上に必要なことなのです。　　フランスにもスリップウェアはあるようですが、これは紋様こそありませんが技術的にも感覚的にもまさにそういうものと同類のやきものでやはり19世紀頃の仕事ではないでしょうか。そういう訳でこの碗についてはスリップウェアとは言えませんが何度かこのページで触れながらも未だもの自体をしっかりと写したことがなかったので先日のドイツの鉢に次いでスリップウェアと同系統のものとして改めて紹介してみました。参照・高麗茶碗とフランスの茶碗・ある日の朝ごはん・ヨーグルトとブドウ

  2007.03.05

• 

  荷物

  昨日は玄関のチャイムが鳴って目が覚めた。朝早くから誰だろうと思ったら何か荷物が届いたのだった。目を擦りながらハンコを捺して受取り、時計を見ると9時を少し過ぎたところだった。自分が夜型でまだ眠ったばかりだったので早朝のような気がしたが、まあ世間的には当たり前の時間だ。 陶器が届くのは珍しいことではないが。はて、○さんから何だっただろう？ なかなか厳重に梱包してあるな。 ん？手紙が入っている。ふんふん、みかんでも盛って使ってくれと。なるほどなるほど、了解しました。ではさっそくみかんを買ってきて・・・うん、ちょうどよかった、悪くない。って。。。わーわーわああぁぁー！！！一部、再現画像を交えてお送りしておりますがこんなふうにブログのネタにして遊ぶようなもんじゃない！！！続きはみかんが無くなった頃にまたいつか・・・

  2007.03.02

• 梅の花が咲きました

  　春ですね。まだまだ夜から朝方に掛けては氷も張り、冷え込みますがそれでもこの冬はやはりおかしいくらいの暖冬で雪も結局は沢山降ったのは二度だけだった。仕事もしやすいしそれに雪掻きが無いのは楽で助かりはするがやはり冬はうんと冷え込んで雪に閉ざされて過ごすのがいいというような気もしないではない。　まあそんな暖冬のせいで今年の梅は二月から咲いていた。生畑では例年三月も半ば頃になってようやく梅が咲き、桜とたいして変らないなぁなどと思っていたのだが今年はずいぶん早く咲いた。先日ちょっと出掛けた帰りに膨らんだ蕾の付いた枝を一枝持ち帰って瓶に挿しておいた家の中の梅も咲いた。ひとつ咲けばはっきりといい香りがするのが梅だ。　丹波の徳利に入れるために少し整理した小枝を伊万里の小壺に挿してみた。雪持ち笹と梅の紋様がたっぷりと膨らんだ胴に描かれた十八世紀頃の鬢付け油を入れた油壺はその用途のためにぐっと絞り込まれた小さな口が可愛らしく梅を受け入れる。描いて描いてここまで省略された表現はさすがに全国津々浦々に運ばれた伊万里の陶画ならではの冴えで、こういう筆の勢いはやきもののうつくしさの大切なひとつの要素だと思う。　まあ今日の主役は梅の花なので油壺のことはまたそのうちちゃんと紹介するとして、梅のことを書きたいのだが、毎年春の初めを告げる梅の花のうつくしさとその香りは寒い冬を乗り切ったという歓びを実感させてくれる。梅が咲くようになればまだまだ雪が降ることも氷が張ることもあるにしても昼にはいかにも春らしい暖かな日差しがあり、またまもなく草木も沢山の花を咲かせてやがて鮮やかな桜が咲く春の盛りも近いのだということを保証する。桜はどこか濃厚でこってりしたところがあるが梅はもっときりりとした清楚なうつくしさでどちらもそれぞれ好ましい。つんつんした枝ぶりに沢山付いた丸い蕾もよいものだし、また繊細な蕊とこれも丸い花弁の取り合わせは毎年見ていてもその度になんともよく出来たものだと感心しないわけにはゆかない。　今年は丹波の徳利のほうも伊万里の油壺のほうもどうにもうまくいけることが出来なかったが、こういう時はやはり写真に撮ってもなんとも収まりが悪いものでしっくりこないがこれはまた来年の課題にするよりない。　毎日次の窯焚きに向けて仕事を進めているが、それとは別に年末からひどく気に掛かっていた大切なことをひとつ片付けた。そろそろ自分も日々こうして残したことをひとつづつ片付けてゆかねばならない年齢になったというような気がする。

  2007.03.01

• スリップウェア物語 13

  　この前はシュトーレンというクリスマスの時期のドイツのパンを紹介しましたが、今日紹介するのはドイツのスリップウェアです。スリップウェアはイギリスにあり、オランダにあり、フランスやルーマニアにもあるのだからドイツにもないわけはないと思っていたらやはりこんなものがありました。焼成や装飾技法からするとまさにイギリスやオランダのスリップウェアの仲間です技術的には轆轤で挽いたかたちにくすんだクリーム色の化粧土を内側と外は腰まで掛け、そして見込みの部分に4色を垂らしてマーブルに紋様しています。口辺とそのやや下に鉄絵の具で筆書きの線が入って全体を締めています。これは割合深さのある碗型の器なのですが外側にはやはり鉄で波線が引かれこれがこの鉢をおおらかなものにしていると思います。そしてそういう装飾の後、透明に熔ける釉薬を掛けて低火度で焼いたものだろうと思うのです。　簡単な説明通りの何も面倒な仕事はしていないなんでもないものですが、この地味な色はいかにもドイツのものらしい質朴な静けさが感じられて好ましい様に思います。が、しかしそれと同時にあのイギリスのスリップウェアの明るさとおおらかな骨っぽさはここには見られないことが寂しいような気もするのです。そう想うとやはり黒地に黄色のたおやかな線の魅力は格別ですね。　この鉢のひとつのポイントは唯一彩度の鮮やかな緑釉ですが、こんなところにいかにもむずかしい色を使ったものだというような気もします。これが結果としてはたしてよかったのか悪かったのかよくわからないのですが、もしこの色がなければこの鉢はさらに地味な印象のものであったとは思います。　技術的なことであんまりここに細いことを書いても仕方がないとは思いますが、この緑の色ははたして化粧土といってよいものかどうか、あるいは釉薬としてとらえるべきものを使った可能性もあるとは思います。もっとも釉薬と化粧土には明快な境界が引けるものではなく、どちらともとれる中間的なものもあるわけですがもしも自分がこれを再現しようとするならばそのファーストチョイスは銅分を混ぜた白土を使い上掛けの透明釉の中で緑色が発色するのを期待するかなとは思います。そういう方法で実際に白地に赤紋様という自分好みのものを試作したこともあるのです。　この鉢も譲って下さった方によると19世紀のものとのことですが、その辺は自分にはよくわかりません。西洋アンティークなどを扱うお店などは沢山あってもこういう産業革命以前のヨーロッパの土ものはまだまだ日本では見る機会も少ないように思います。中国や朝鮮のものならば古代から近世に至るありとあらゆる古陶が美術館や図録などで紹介されつくし、また古美術店などでも手に取って見る機会もいくらでも作れますが、西洋のものは自分の手元にあるささやかな資料もこうして公開することで何かの役に立つこともあるのではないかというようにも思っています。もののうつくしさについて書くというのはむずかしいものでここでも作陶家として技術的なことばかりになってしまいましたが、あとは写真で立体を手に取るように想像して下さい。

  2007.02.28

• 急須

  黄釉　急須　　2001年頃　　　h:10.0cm w:18.0×12.7cm　日々緑茶に紅茶にといろいろ使っている自家用の急須です。これは最初の試作のうちのひとつで土も荒すぎたためか割りあい早くに茶が染み渡り色が残ってしまいましたが、このあと材料やかたちに少しづつ工夫しながら何度かくり返して取り組んでいます。こういう汚れについては長年使い込まれた陶器の場合はどうにも仕方がないものでむしろ使い味として尊ばれもするのですが、今では暮らしも美意識も変ってきていますから嫌がる人もあるのではないかと思います。これはもちろん台所用の漂白剤を使えば取れますし、量産の食器の場合はしばしば出荷前に防水作用のあるシリコンなどで処理することにより汚れを防いでいる場合もありますが、これもぼくなどからすれば良し悪しで使い込んだ道具が自然に使い込まれたように育ってゆかないというのはもったいないような気もするのです。それともちろん食器用の無害とされている防水剤とは言えなんとなく気持ちが悪いような気もしないでもないのですが、これは人それぞれでしょうか。そういうわけでぼくは一部の例外はありますが基本的にはシリコンなどでの処理はしていません。やきものとしてのうつくしさを犠牲にしては元も子もありませんが、それでも土の種類や精製度、あるいは焼きかたを工夫することで汚れにくいものは作れるように思っています。　急須といえば横に取っ手が突き出しているものが伝統的な日本の急須の姿ですが、急須を作ろうと取り組んでは見たもののこれがどうしても納得ゆく姿におさまらないために結局このようなハンドルに仕上げました。自作の場合だけではなく横に取っ手が突き出した急須についてはぼくには良いと思えるものがほとんど無イのですが、たったひとつの例外は苗代川の窯でかつて作られていた黒物の急須でこれは大変穏やかで可愛らしい姿をしています。　取っ手を下にして立てて自立するのが使いやすくバランスの良い急須だとはやきものを作る人なら誰もが聞いたことのある話だと思いますが、これはたしかにそういう感じはします。しかしこれ自体は特別難しいことでも面倒なことでもないのですが、使いやすくかつおさまりのよいうつくしい姿を捕まえることは並大抵ではないという気はしています。だいたい胴を作り、蓋を作り、さらに別に作った注ぎ口や取っ手を付けるというような急須や土瓶などの仕事は余程成熟した構成力がなければ手に負えるものではありません。素人や茶人の手びねりでもなかなか面白いものが出来てくる茶碗などとはまるで性質の違う「面白い」などということを許さない世界のものです。　このブログで自作の器を紹介する機会が少ないのは何も遠慮しているとか、自信がなさすぎるとかそういうことではないのですが、ほんとうに紹介するべきうつくしいものはいくらでも他にあるということで、それらに自作の器類はまるで及ばないという理由以外ではありません。これは作り手としてはなんとも悔しいことではありますが、ものの見手としての率直な感想には違いありません。それでもちょっと悪くないなと思った時には自己紹介代わりに載せてゆきたいとは思っています。今日も古いものですが朝の光の中で一枚。

  2007.02.22

• 拝見

  　わーわーわー、となんだか気持ちが高揚しています。どこで何をなどとはっきり書かないほうがよさそうなので書かないが、どういう事情だかよくわからないのだがとある方からとあるものを見に来ませんかというふうなお誘いを人伝てに頂いた。それはあまりに素晴らしいにちがいないあんまりにも好きなものだったので、どういう経緯でぼくに声を掛けて頂いたのかということもちゃんと尋ねるのも忘れてぜひ拝見したいと即答した。　出掛けてそこで見せられたものは期待しすぎていたはずの期待以上で、さらに今日の本題以外のものも沢山出して見せて下さった。好きなものがあまりにありすぎて結局興奮してそういう話ばかりして、間抜けなことにお誘い頂いた経緯はここでも聞き忘れて帰ってきてしまったが、どうしても特別な御厚意には違いないので嬉しくてもったいなくてありがたいことです。凄い凄い凄い。　

  2007.02.19

• 疲れ果て。。。

  　年に何度かひどく疲れ果てる夢を見る。疲れ果てる夢っていってもその夢を見て疲れ果ててしまうわけじゃなくってその夢の中で果てしなく疲れているだけで、目が覚めれば別になんでもなく元気なのでまあかまわないんだけど、いったいどういうわけでこんな夢をしょっちゅう見るんだろうか。　それはその時によって場面や登場人物の状況は様々だけど、自分一人だけひどく疲れ果てていてもう力を入れようとしても腕も上がらないし脚だって１歩も踏み出せないというような夢なのだ。ちょうどものすごい突風に向かって歩こうとしているような抵抗感があるのだが、こういう時にもうどうにも無理だと思ったらとたんにあっさりあきらめてしまうところがやっぱり実際の自分とおんなじだなというのがなんとなく可笑しい。　これがよく言う金縛りなのかなとある時ふと気が付いたのだがよくわからない。金縛りは疲労から来るものだと言われているが、お化けの夢を見るからなのかどうかそういうものと結びつけてひどく恐がる人がいる。ホテルの部屋に入った途端に「ああここは嫌だ」と言うような人もたまにいるが、自分は心霊現象的なものは心底馬鹿にしているので気の毒なことだなとしか思いようがない。前に死体のあった部屋で寝た時のことだが、なにものかにものすごい力で引きずり込まれそうになってとうとうブチキレテ殴る蹴るの暴行を働いたことがあるが、こんなことはただの夢とはいえとっさに粗暴な自分が出たようで情けないことだと恥じた。　　このところ不規則な生活が続いていたが昨日はとうとうくたびれて仕事も投げ出しがち。本を読んだりネットを見たり音楽を聴いたり。外の用事があるのにビュウビュウ台風みたいな雨風が吹きつけるし、椎名林檎さんがアップルのインタビューに答えるし、中川翔子さんは1日で85回もブログを更新するし、ひっきりなしにチョコレートを持って来る女のひとの応対に追われるしで、なんだか大変な日だった。　椎名林檎さんとアップルは言うまでもなくリンゴ繋がりだが、実は林檎さんが今度蜷川実花さんの初監督作品『さくらん』の映画音楽を担当していて、そして蜷川さんの次の写真集が中川さんであるという不思議な繋がりもあるのです。蜷川さんのことはよく知らないけれど写真は凄い色彩感だなとちょっと興味がありました。蜷川さんも中川さんもお顔がお父さんにすごく似てますね。それと林檎さんと書くとどういうわけか樹木希林さんを思い出してしまう。　などとかなりどうでもいいような休日らしい内容で1回更新。あっ、文中に見栄張ってちょっとだけウソも書きました。。。

  2007.02.15

• 白磁のれんこん

  白磁の蓮根？これは排水口のフタなのです。ホームセンターなどで見かける今出来のステンレスのフタもなかなか美しく感心しますが、一昔前のこういう手仕事のものにはまた独特の暖かさがあります。お手洗いの排水口のフタがこれほど美しいとは、泥中蓮華そのままの素晴らしいことだと感激します。しばらく前に偶然ふと立ち寄ったお店でデッドストックのこのフタが沢山重ねて売られているのを見付けて歓んでひとつ求めたのです。かたちもサイズもそっくりおんなじなこのフタを作った人が蓮根のことを思わなかったはずはないのです。蓮根の写真を撮った時にこのフタのことを思い出しました。先日と同じ皿に乗せて写してみました。使い込まれたものはさすがにお皿にのせられませんけどね（苦笑）

  2007.02.09

• れんこん

  なんとなくたべものの写真が続いています。ここでも何度も書いていますがあんまり蓮の実が好きなので、蓮の花や蓮根も好きになりました。スーパーに出掛けるとついつい蓮根が買いたくなってしまいます。蓮根は姿もうつくしく、蓮の実に繋がっているものとしていかにも納得のゆくものです。一時蓮根チップスに凝って極小の天麩羅鍋を買ってごま油で薄くスライスした蓮根を揚げていました。きんぴらにしても美味しいのですが、今回は平松洋子さんの本に紹介されていた大根や長芋や人参やそういう根菜類いろいろの焼野菜の中から蓮根のみです。一番簡単な食べ方でオリーブオイルを引いたフライパンでじっくり焼いておいしい塩をすこし打っただけ。器は自作の呉洲刷毛目の平皿です。

  2007.02.08

• もも

  だいぶん前に頂いたまま誰かひとが来た時にと思って取っておいた大きな缶詰を開けた。つややかに光って、甘くて美味しい。まあなんてことはない日常な訳ですが。。。器は藁灰釉の自作の小鉢。

  2007.02.04

• シュトーレンをピューターに

  お正月が明けてからこしらえたというシュトーレンを頂いた。ドイツではクリスマスを待つ四週の間に少しづつ薄く切って楽しむのだそうですが、ぼくは日本人らしく（？）これで節分を待った訳です。洋酒のよく効いた素地に数種類のドライフルーツと白い紛糖が鮮やかできれいなものですね。そしてこの色の調子の美しさ以上にこれあり得ないくらい美味しかったのです。実は正直ドライフルーツの御菓子はあんまり好きでないぞと思ったのですが、なんと上手に出来ていることかこの手の御菓子の概念を吹き飛ばすような上々の出来でした。残りは半分、ああ名残惜しいことです。。。という訳で食べ切ってしまう前に古いオランダのピューターにのせて記念撮影。ピューターの鈍く沈んだ輝きはいかにも渋く古いヨーロッパの気配があるような気がします。金属の食器というのはあまり日本ではなじみがないものですが、パンや御菓子やそれにオーブンで作ったような温かい料理にもなかなかよいものです。ちょっと確かめ直してみないと確信がないのですが確かちょうどあの頃のフェルメールとかの絵画にもデルフトやなんかの器やタイルなどと共に描かれていたような気がします。ドイツとオランダは日本と朝鮮みたいにお隣同士の文化層の似た国じゃないかと思っています。これだってちゃんと調べ直さないとはっきりしたことは書けませんが、両国のやきものを見ただけでもそういうふうな気がするのです。ぼくは朝鮮の（北も南もない頃の古い朝鮮の）器や御膳をいろいろと日々使って暮らしています。朝鮮のものの美しさというのは日本人にとっても非常にしっくりとくるものです。今現在の政治的な立場だけで国と国、民族と民族が対立するようなことは少しも東洋のためにはならないいかにももったいないことのように思っています。異例の暖かい冬ですが今夜は大いに冷え込んで早い時間から外は凍りついています。灯油の窯で素焼を焼ながら夜なべしています。話がかなり脱線気味なのでこの辺で。

  2007.02.03

• やきものの土

  　自分の場合はいわゆる産地の陶工ではないので出来上がった土を買ってそのまま使うということはほとんどないが、次の窯の分に細かい白い土を使いたいものがあって京都の五條坂あたりの清水焼の窯元などでもたぶん極普通に使われているある製土工場のものを買ってみた。ところが少しさわってみてあまりにも手にネバネバと気持ち悪くまとわりつくことに躊躇った。おそらくは大量に使う土にそれなりの良い品質の原土が使えないためか作りやすさのためか知らないが土の粘りを出すためにかなり大量の増粘剤がはいっているものと思われる。轆轤に使うためには相応の土の粘りは不可欠ではあるし、もともとの自然の土も様々な土地の地層によっては掘ってきたそのままでも割合粘りがありすぐに轆轤に掛けられるものもあるがしかし多くの場合は小石などの不純物を除いてよく練った状態でしばらく寝かしてこそようやく轆轤に使えるほどのものになるのが普通なのである。しかし今回のこれはそういう種類の粘りではなくいかにも即席に糊を入れた間に合わせのものだというような感じがして手に心地の良いものではなかった。　山から工場へ原土が運ばれて、精製したり逆に小石などを加えたり数種類をブレンドしたりこういう添加物で調整されたりしていわゆる製品としての陶芸用粘土となり、陶家へと出荷されすぐに轆轤に乗せられる。ここまでのサイクルにそれほど時間が掛けられているはずは無く、しからば当然こういう増粘剤の使用も不可欠であろうとは考えられるが、添加物いっぱいの工場出来の食べ物が舌に嫌な刺激を感じるのと同じような意味でこういう土は手に違和感を感じない訳にはゆかなく気持ちの良いものではない。土に糊材を入れたとしてもそれは焼いてしまえば燃えてなくなる訳で出来上がったやきものには直に関係のないことではあるから一概に危なっかしい食品添加物と一緒には出来ないかも知れないが、問題は本当の自然の食べ物の味を知らずに加工品ばかりで育った子供と同じような意味でこういう土しか知らない陶工というのも沢山いるのではないかということで、これはこれでやきもの文化からすればおおいに疑問と不安を感じるのである。　工場から届いた土が少し柔らかかったか固かったかして「こんな土が使えるか」と土を投げつけて怒鳴ったというとある清水焼の老陶工の話をそこにいた人から聞いたことがある。柔らかければ少し風に当てておけばいいし固ければ水を加えればよいだけのことで、それをちょうどよい状態のものをあてがってもらわなければ気が済まなくて癇癪を起こすというのはいかにも赤子か寝たきり爺さんのようなもので、こういうのがベテランの陶工の話だと聞けばいかにも哀れなことだという気がした。しかしながら伝統的な京焼の轆轤師は完全な轆轤の専門家でもあり、一日仕事してひとつあたりがいくらというような賃挽きの場合も少なくはないようで、だからこそ真空の土練機を通して工場から届いた土を場合によっては手で練ることも無くそのまま轆轤に乗せて使うのが常識のようなこの世界ではこういう話もそう驚くようなではことでもないのである。完全分業の轆轤師や絵付師に分れた仕事は京焼の歴史的な必然には違いないし、実際こういう日々一日轆轤を挽いている彼らの技術は自分などのもたもたした轆轤とはまるで違った見事なものなのである。しかし金の為に仕事をするのは悪いことではないがぼくなどからすればやきものの為に働いて欲しいという気がするのもまた本当のことで、轆轤師は絵付師や裏場さんと呼ばれるような釉掛けや窯詰などをする人たちと共に、またさらに言うなら製土工場で働く人や桐箱の職人さん達と共に陶器をこしらえているのだということに付いて十分自覚的でないのではないか。　清水焼は沢山の若い陶工を育ててはいるが、添加物いっぱいの陶芸用粘土しか知らない陶工ばかりを排出するというのではいかにも不十分だという気がする。こういう土でかたちを作って電気窯で焼く、これは即戦力の轆轤師を育てようとするやきもの学校でも手軽に陶芸を楽しもうとする陶芸教室でも極あたりまえのことではあるが、実のところやきもののほうからすればこういうやり口は一種の方便のようなものでもある。土のことは土屋さんにまかせるというのは一見正当な言い分のようではあるが、その土がどういうものであるかということをまるで知らないのでは陶工の側からすれば本末転倒と言わねばならない。山で土を掘って小石や木の根を手でよって練上げた土でかたちを作り焚き火で焼いたら土器が出来たと、陶器の一番の根本はそういうところにある訳で、だからこそたとえ専業の轆轤師を育てるとしても、そういうことを実際にやってみるというところからはじめる必要は絶対あるという気がする。・参照：「やきものができるまで」より「下準備　土」

  2007.02.01

• 月夜

  これはお正月が明けて何日目だったでしょうか。月に雲がかかって素晴らしく幻想的に輝いているのを見付けた。急いで車を止めてカメラを構えたが、すでに雲は流れその一瞬をとらえることは出来なかった。ところが後で写真を見返してみれば送電線の鉄塔がなかなか悪くない姿をしているということに気が付くんです。普段見ていては風景をぶち壊しにする無粋なものとより思わなかった鉄塔ですが、あらためて見ればなかなか優美であのうつくしい法起寺の三重塔を思い出します。いまごろになってふとこの写真を載せてみる気になりました。そろそろまた月は満ちる頃でしょうか？ずいぶん古い写真だね。ずいぶん古い写真だね。

  2007.01.27

• ヲタ

  　いつも思っていることなのですが絶えず新しいものから目をそらしちゃダメだと、そういう気がするもので1日のアクセス数が200万以上（ちなみにこの生畑皿山ブログはせいぜい100内外ですけど/苦笑）という新ブログの女王と何かに紹介されていた中川翔子さんのしょこたん☆ぶろぐをちょっと見てみたら半分以上何が書いてあるかわからないんですね。世代の問題というのもあるんでしょうけれどこれはちょっとショッキングなことだったんです。　以前にやはりブログの女王と紹介されていた眞鍋かをりさんのブログを見てみた時はちょっとした文章に起承転結があってなるほどこれはなかなかよく出来ていて人気もある訳だと感心したものですが、しょこたん☆ぶろぐは全く理解出来ないんですね。ネコをかわいがったりおしゃれしたりゲームや漫画に夢中になっていたりというあの世代の女の子の日常といえばそうなんでしょうけれど文章がわからないということもあるのですがそれ以上に感性がわからない。そしてこれが現代の1番人気ブログなのだということは自分と時代とが乖離しているって言うことなんです。それでもわからないからつまらないのかというと決してそういうことはなく、素直で気取りの無いしょこたんはなかなか魅力的なんです。そういうしょこたんの日々をブログの中でしばらく見ていればmmtsgzkwysみたいな感覚も共感してくるんですね。　以前に無名の人たちが綴るブログが現代の万葉集であり21世紀初頭の代表的文学だということを書いたことがありますが、同じような意味で非常にセンシティブにギザカワユスと日常を切り取ってゆくしょこたんがいとおかしとあの時代の日常を書き留めた清少納言に比肩するようにも想われます。生きた証を貪欲に残すんだというのが本人の弁ですが、ケイタイで写真を撮って簡単な文章を添えてどんどん綴ってゆくスタイルの軽やかさは非常に現代的な意味で随想的なんです。　たぶんそういうしょこたん☆ぶろぐのせいでヲタクという存在に興味を持って、べつに新年そうそう何か宣言しようということじゃないんですけれどもちょっと思うところあってヲタクになろうっていうような気になっているんです。ヲタクを知るにはヲタクに関する本を読んだりするよりは実際に内側から味わうのが本当じゃないかと、どうもそういう気がするんですね。ヲタクなんてなろうと思ってなるもんじゃないのはわかっているし、もともと陶器や板切れに関するヲタクだといえばヲタクなのでしょうけれどもそういうのじゃなくってもっと普遍性のある普通なことについてのヲタクになりたいと思っているのです。　　それは例えばアニメのビデオをいっぱい見るとか、漫画喫茶に行って漫画を沢山読み込むとか、乗り鉄とか撮り鉄とか呼ばれる人みたいに電車に夢中になるとか、フィギュアを集めて遊ぶとか、アイドル追っかけるとか、メイド喫茶に通うとか、コスプレするとか・・・ああ、数え上げてみても最後のほうはあまりにも敷居が高くて無理そうだし漫画も電車も全く興味がないし、アニメもせめて宇宙戦艦ヤマトとか宮崎なんとかさんのトトロだかラピュタだか見てればよかったんですけれども子供の頃見ていたサザエさんとかドラえもんみたいなあんまりヲタっぽさに欠けるのしか知らないしで、自分の今までの経験と興味の対象はあまりにヲタクからは遠いんですね。　それで困り切って出来そうな事はと少しは詳しそうな友人たちに相談してみると「まずはガンプラを作れ」ということで、ガンプラというのはガンダムのプラモデルのことなのだそうですけれどともかくそう言われて一緒に見に行ってみたけれども、ガンダムの名前くらいは聞いた事はあったが物語の筋もガンダムがロボットなこともまるで知らないのではどうにも乗り気になれなくて手が出ないんです。よくよく考えてみたら手先の不器用な自分がプラモデルなど作れる訳も無いんですね。　「2ちゃんねらーになってみようか」と言えば「初心者はだまされてウイルス感染したり個人情報を抜かれたりするからお薦め出来ない」と言われ、たしかにそれは困るし、それで仕方がなく出来ることからはじめようという訳でエヴァンゲリオンのビデオを借りて見るとか、それにゲームをしてみようと思ってちょっとパソコンで初心者的なのを探してテトリスしてみたらこれが案外面白いんですね。ゲームセンターやテレビゲームもそれほど経験が無いほうなのでこれはなかなか新鮮なのですが、友人が言うには「テトリスはヲタじゃない、もっと萌えって感じのをやらなきゃダメだと」。それはちょっとピンと来ないんですけどじゃとりあえず何かゲーム買ってみてもいいかなという気がしたもんでテレビ持ってないからしょこたんもしているDSでもと思って街に出た時電気屋さんに行ったら何軒か見ても全然置いてないんですね。店員さんに尋ねてみればなんでも入荷してもすぐに出てしまうような人気商品なのだそうで、帰ってネットで探してみても定価以上のプレミアで売られていたり、抽選販売だったりで簡単には手に入らないことがわかってちょっと驚いています。新しく物事に取り組むことはワクワクして好きですがなかなかヲタクへの道は遠いんです。

  2007.01.23

• 年末のニュース

  　イラクのフセイン元大統領の死刑が執行された。フセインが何をやってきたかは世界中が知っている訳で、だから彼を擁護する訳は無いがどういう経緯で裁判が行われ死刑が確定したのかはそれほどニュースに普段注目していない自分でも想像が付く。報道された内容以上に知る由も無いので沢山は書かないが、考えさせられる内容はいろいろある。　イスラムの宗派的な事情と今年の内にとあまりに政治的配慮を感じさせられるようなかたちでかたをつけるように執行されたこの処刑がはたして本当に正当なものなのかどうか。それ以前に誰であれ本来死刑というふうなことが正当なものなのかどうか。独裁政治が悪で民主主義が善だといえるのかどうか。フセインが悪でブッシュが善だといえるのかどうか。あるいはフセインが悪でブッシュもまた悪だという発言で人は責任を果たしたといえるのかどうか。　

  2006.12.30

• 暮れの一日

  　何があるという訳でもないけれど師走はなんとなく慌ただしい感じがする、というようなことを毎年書いてきた気もするが、今年は年内にという期限を決めたことをギリギリまで繰り越したせいで実際に慌ただしい年末を送っている。これでは今年こそ早めにと思っていた年賀状を書くのもまた例年通りに年が明けてからのことになりそうである。　何年もお待たせしているものもあるにはあるが出来る時にしか出来ないのだからそれはそれとご容赦頂くしかないが、年内に納めるべきものは出切る限り届けて、引き取りにゆく薪を引き取りにいったり、とうとう年内に出来なかった登り窯がなるべく早く焚けるように準備したり、何かとやるべきことが沢山ある。　昨夜から雪が降って朝にはそこそこ積もった。雪の朝は静かで障子もやけに明るいのですぐにわかる。昨日取ってきた薪がまだトラックに積んだままだったので、厄介なことだと思ったが早くに起きて雪を掻く。とうとう今年は結局一度しか登り窯を焚けなかったので薪小屋もいっぱいになってうまく整理しないと入らない状態で思いがけず時間を喰う。昼には融けるかと思っていたが案外温度が上がらず、氷も雪も解けることはなく、さらに降ったぶんが積もって夜には30センチに少し足りないかなというくらいの量になった。　盆も正月も無いというふうに仕事がしたいというような気持ちはあるが実際には世間並みにいろいろとあって自分にも盆はともかく正月は来る。来年はあれがしたいこれがしたいという思いはいろいろあるがそのことはまたそのうちに。

  2006.12.29

• グレープフルーツ

  ものすごく難しいことをもっと見事に出来る様に思っていたが、不器用なことをしてしまったというような気がする。これでほんとうにやるだけのことはやったと言えるのかどうかはわからないが、これはこれで今の自分自身の力量そのままで仕方がない。表現というものはかたちにされるもので、気持ちに嘘は無くともどのようにかたちされるかというのが肝心なことだ。夕方スーパーでグレープフルーツを買った。

  2006.12.22

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