74…縁
暑い、暑い、暑い、……蒸し暑い台北。連日30度以上なのだ。さすがに参った私は「扇風機があっでも我慢できなかったらどうしよう」という憂いをさて置き、扇風機を始動させた。これ以上は我慢できない。が、本当に怖いのは、晴天の天気。暑いと言っても、空はまだまだ曇り空、快晴ではないのだ。今週最後の授業は、視聴覚室で通常通りに行われた。「先週のように映画を見るのでは?」と期待していた私は面食らったが、何とか終了。来週一番に小テストをするらしい。先週知り合った台湾人の友人(日本語学科)と待ち合わせて、お昼ごはんを食べた。彼女と会うのは2度目だが、すっかり4時間も長話をしてしまった。夕方は、日本人の友人(一緒に烏来に行った彼女)と、旅行で台湾に来ているその友人、韓国人の友人の4人で夜市に行った。そこで、事件(?)は起こった。お店で商品を見ている時に、あるおばちゃんが話しかけてきたのである。彼女は昨日日本旅行から帰ってきたばかりだと言う。会話の練習にもなるし……、と軽い気持ちで少し話をしていたら、彼女は韓国人の友人のにきびを気にしだした。近くに、にきびを観てもらってアドバイスをする所があるから、一度見てもらってはどうかと言う。普段は絶対に断っている。が、悪い人ではなさそうだし、面白そうなので、今日は直感で付いて行くことにした。想像では、夜市でなじみの、机とイスがあるだけの小さな所だと思っていた。が、着いた所は小さな美容センターらしき所。「無料だと言うし、そんなにお金を持っているわけでもないからぼったくられないだろう」と思っていたものの、想像と違う場の雰囲気に怖気づく。「すぐ済むと言っていたので、さっさと済ませて帰ろう」と思っていたが……。台湾人の「すぐ」は信用ならないのである……。結局、私も見てもらうことになり、2時間ほどかかってしまった。角質を取ってもらったのはいいのだが、あちらもやはり商売なので、本格的ににきびを治したいのなら、1万5千元(1元≒3.4円 約51,000円)で治せると勧めてきた。おばちゃんの施術前の写真からもその技術は信用できると思ったが、この金額は出せない。友人は全て断った。すると、洗顔フォームもあると言う。その気になってきたのか、情が移ってきたのか……。洗顔はどうせ毎日使うものだし……と、私は買う気になってしまった(535元≒1,819円 2,3ヶ月使用可)。これで一日に4回洗顔をしなければいけないそうだ。面倒くさがりやの私が、果たしてそれを実行することが出来るのか……。効果は出るのか……。その前に、これはメイクをするなと言うことかしら。聞くのを忘れたけれど、台湾の女性はメイクをする人が少ないし……。でも、先生はしっかりとアイメイクしていたしなあ……。帰りは、そのおばちゃんの知人で、彼女がここに通っていると言うお兄さんに車で送ってもらった。センター内の雰囲気はまるで皆、昔からの友人のように仲が良かった。日本人だと聞くと、人が集まってきた。旅行で来ている友人はモテモテであった。彼に、何故初対面の私たちを送ってくれるのかと聞くと、台湾人は「縁」を大事にする。会う人は全て縁があるから会うのであって、それが初対面であろうともう友人なのだ、と説明してくれた。この考え方に、台湾人の親切さの原点を見た気がした。少々(?)お節介なところもあるが、本当に親身になって世話をしてくれるのは外国人にとってありがたいことも多い。感動することもしばしばである。少しばかりドキドキな体験であったが、良い勉強にもなった気がする。さて、次に声を掛けられた時は、どうするかな……。