『フランケンシュタイン』観劇
日生劇場で公演中の『フランケンシュタイン』幕が上がって2日目の公演を観てきました。フランケンシュタインって、小さい頃は継ぎ接ぎだらけでお化けの仲間だと思っていました。なので怖〜い話で、本で読んだら怖くてトイレに行けなくなっちゃうっとも思っていました。その後、1994年の映画(ロバート・デ・ニーロ主演)を見て、あれ全然違うじゃない。怖いというよりも悲しい話だったのね、と知った次第。しかもフランケンって、怪物ではなく、彼を造った博士の名前だったという・・・無知ってやーねーっ、恥ずかしいですわ。そんなことを思い出しながら、HPやポスター等で公開されている迫力あるビジュアルに、どんな話になっているのだろうと楽しみにしていました。<キャスト>ビクター/ジャック 柿澤勇人アンリ/怪物 加藤和樹ジュリア/カトリーヌ 音月桂ルンゲ/イゴール 鈴木壮麻ステファン/フェルナンド 相島一幸 エレン/エヴァ 濱田めぐみ一幕ビクターは母の死をきっかけに、肉体の再生を試みるようになった。子どもの頃に子犬を生き返らせたことで、人々から恐れられ故郷を追い出された。大人になりアンリという親友を得て研究を重ね、故郷に戻る。しかし姉エレンにも幼馴染のジュリアにも心を開かない。そして戦争が終わったことから研究の為の死体を手に入れることが出来ず、はずみから殺人を犯してしまう。研究を続けてほしいと願うアンリが、ビクターの罪を被って処刑される。悲嘆のビクターは、アンリを生き返らせたが・・・二幕ビクターにより蘇ったアンリだったが、ビクターの思い描いた再生ではなかった。怪物と罵られ銃を向けられた怪物(アンリ)は逃亡。怪物の行方を探すも見つからず、3年後にビクターは幼馴染のジュリアと結婚。しかしその夜、怪物が復讐に現れ、その後の悲惨な日々を語る。そしてビクターに復讐のため、おまえの大切な物を奪っていくと宣言。新婚初夜にジュリアが殺される。ジュリアの父(ビクターの叔父)も殺され、叔父殺しの濡れ衣を着せれた姉エレンは処刑される。北極へと逃げた怪物をビクターが追うといった内容でした。非常に重い話でしたが、涙は出なかった(年をとると鈍感になるのよね)。一幕ではビクターの執事ルンゲが、良い感じで笑いを取りバランスを取っていました。が、二幕は救いがない。主要メンバーが一人二役で、HP等にある強烈なビジュアルは怪物となったアンリが、ビクターの元から逃げ出した3年を語る中の登場人物でした。このキャラクターがどれも強烈で、人間の浅ましい部分をクローズアップしたかのよう。反吐が出るくらい(ばっちい例えですみません)。唯一人間らしさを持っていたカトリーヌも、結局は己を守るために怪物を売るという。そのカトリーヌの現実も悲惨すぎる。二幕のこの地獄のようなシーンがあるため、リピートはちと苦しいなあと感じます。もし観るなら、時間を空けてからにする。歌についてはとても難しそうで、初日直ぐだったこともあり、まだ苦戦しているなあ、と感じる方もいました。そんな中、濱田さん、鈴木さんはさすが!特に濱田さんは、お一人もう別格に特出していました。劇団四季在団時は迫力ある歌声が魅力の方だと思っていましたが、今は迫力というか厚み深み奥行があり、エレンは声そのもので心を語っているという感じでした。それに対して二幕のエヴァは余裕綽々といった感じ。鈴木さん(つい芥川さんって言いそうになっちゃう)は、不安定なところがありません。笑いは持っていくは、難解なメロディーでも歌詞が明瞭。これは四季時代の独特な発声法が効いているのですかね。一番楽しみしていた桂ちゃん!宝塚退団後、映像中心に活躍されているので、本格的なミュージカルへの出演はまだ数本。元男役だったとは思えない、美しいジュリアでした。先行画像とは異なり、ロングヘアのハーフアップが可愛かった。歌は相変わらず綺麗な聞きやすい歌声で、高音を除けばさすがの安定。ジュリアの高温はやや声量不足で、優しい声で歌おうと心がけていたのか、語尾が弱く聞き取りにくくなってしまったのが残念。これはもっともっとミュージカルに出演して、女役として慣れれば解消されると思います!!だからもっと舞台で歌ってほしいですよ桂ちゃん。カトリーヌの方が歌いやすそうでした。プログラムにもカトリーヌの方がやりやすいと書いてありましたね。柿澤さんも検討していましたが、もっと歌いこなれた感じが欲しいと思いました。回を重ねるごとに良くなるのだろうとは思いますが、まだ微妙なところがありました。でも、盲目的、追い詰められた感等は良く出ていました。加藤さんはビジュアルが良いですよね。アンリとしてのスラッとした姿も、怪物しての姿も美しい(怪物は美しくちゃいけないかな?)ただやはり歌がまだ完全に自分の物にしきれていない様子でした。いや、ご本人は自分の物にしていると思っているかもしれない(出来は悪くないのだもの!)だけど、声が完全に上がりきっていないところが二幕でちょこちょこありました。そこがもったいないなあと感じます。ビクター、アンリのお二人の役はそれぞれ役替わり。ビクターは中川晃教さん、アンリは小西遼生さん。実はこちらのキャストでも見たかったのですが、日程が合わなかった。中川さんの狂気の演技、歌はもちろんのこと、小西さんの怪物もそれはそれは美しく、だからこそ哀愁を誘うと思うのですよね。でも、もう一回日程調整して観に行くには、この話は私には痛くて重い・・・