町田そのこ「星を掬う」
星を掬う (単行本) [ 町田 そのこ ]<内容紹介より>辛かった哀しかった寂しかった。痛みを理由にするのって、楽だった。でも……。千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎えーー。町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。さざめきハイツに住まう4人の女性。捨てた側、捨てられた側。自分を責め、誰かを責め続けて生きている。歩み寄りたいと思い少しずつ近づく度、心の傷がまた増える。そんな女性たちの葛藤、再生が描かれています。親子、特に母娘関係は難しい(←自身でも感じてます)意識していないのに、自分を重ねて見てしまうことがあるから。ああ、若いころに母に言われて嫌だったことと同じことを娘に言っている。あんなにうざっと思って聞いていたことを。でも、今なら母の気持ちがよくわかる。そんなことがしょっちゅうあります。大きなすれ違いがない、ごく普通の母娘でもそうなのです。ましてや長年後ろめたさや、恨み、卑屈さを抱えて生きていたならば相手を理解することは容易ではない。一生かかっても理解どころか歩み寄ることも出来ないかもしれない。絶望、期待、怒り、諦め・・・そして希望 私は、もしかしたらある人が身を挺して亡くなってしまうのでは、と思って読んでいました。最良の〆方でした。