原田ひ香「彼女たちが眠る家」
彼女たちが眠る家 (光文社文庫) [ 原田ひ香 ]<内容紹介より>九州の離島に、この家はある。ある共通の過去を抱える女たちが、世間から離れ、静かに共同生活を送る「グループホーム」。互いの本名や出自も知らないまま、厳しい禁忌のもとに行動する彼女たちの家に、ある奔放な親娘が入居したことで、その日常が大きく崩れていく。女たちが迷いと衝突、葛藤の先に見る地平とはー。話題作を次々ものする著者が放つ、感動長編。ミステリーなのかそれとも心理小説?なんとなく中途半端な感じ。過去を語らず互いに名も知らず仮の名で共同生活をしている女性たち。新しい入居者母娘によってこの共同体「虫たちの家」が壊されるのではないか。この母娘の抱える過去は一体何なのか。「虫たちの家」を守るために、疑問、不安を持った主人公は共同体の約束を破り母娘のことを探ろうとする。現在進行形と登場人物中の誰かが語る過去の2部構成。てっきり過去を語っているのは主人公かと思ったのですが・・・そんなこともあり、誰のことを言っているの?とかわかりにくいところも。彼女たちの過去を含め諸々後味が悪く内容紹介にある「感動長編」には疑問しかありません。主人公はじめ傷ついた女性たちが「虫たちの家」を出て前向きに生きている。ということでは読み手もほっと救われる。それが感動長編と言う表現になるのかなーーーーと言う感じでした。これ、同じような内容の話を男性作家が書いたら、もっと後味が悪かったのではと思います。