歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」
葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫) [ 歌野 晶午 ]<内容紹介より>「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たしてー。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。初っ端からセックスかと思ったら、夜闇の中を墓荒らし?それとも死体遺棄?少し読み進めたところで登場人物が多いというのか風呂敷を広げ過ぎでは?と思いつつも、読む手を止められず読み進めていました。ラスト60頁でどういうこと、いや確かにあちこちに散りばめられた違和感。発刊が20年前なので今更ネタバレもないので書きますが初っ端のセックスシーンから主人公成瀬は30代~40代の脂が乗った世代だと思いました。が、キヨシが高校生でその年齢差を考えると20代。ヤケに達観したというか老けた20代だなーーーキヨシにしても愛子にしても10代がスポーツクラブに通うかなそれも愛子は聖心に通うお嬢様、なんか違和感あるなあこの設定。キヨシはもしかして定時制高校生設定で、実は20代。成瀬はやっぱり30代なのでは?と思っていたのですが・・・年齢設定がキーになる話であることに間違いはなかった。良い感しているじゃないの私。とは思ったけれど、さすがに明かされた年齢設定には驚きが隠せませんでした。ミステリーとして広げた風呂敷が確実に回収されて面白いのだけれど驚愕とともに何となく拍子抜けというか肩透かしのような。タイトルからは映像化とかしそうだけれど、絶対に映像化は出来ない作品ですね。